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境界性パーソナリティ障害とは?① ~感情が不安定で対人関係にも問題が…。境界性パーソナリティ障害の8つの症状~

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前回までの記事↓
パーソナリティ障害とは?① ~生きずらさの原因は…?10種類のパーソナリティ障害とその特徴~
パーソナリティ障害とは?② ~原因と治療法~

パーソナリティー障の中で最も多いと言われているのが、「境界性パーソナリティ障害」です。

境界性パーソナリティ障害は、パーソナリティ障害のB群(感情的で移り気、不安定。演技的な行動をとりやすい)に分類されています。

境界性パーソナリティ障害の特徴を一言であわらすと、

対人関係や自己像、感情が不安定で、衝動的な行動がある。

となります。

詳しく解説する前に、あなた自身、または周囲にこんな振る舞いをする人はいないか、チェックしてみませんか?

こんな人は境界性パーソナリティ障害かも…?チェック

  • ある日はとても好人物に見えたが、次の日には別人のよう自分勝手な振る舞いを見せ、感情のままに行動する
  • 感情が激しく、突然怒ったと思えば、絶望や悲嘆に沈みこむ
  • 何をしていても虚しい。また、目の前の仕事を本当の自分の仕事だと感じられない
  • つらい体験をきっかけに、自分の手首や腕などを傷つける自傷行為をする
  • 何度も自殺未遂をしたことがあり、周囲の人を心配させる
  • アルコールや薬物を乱用、または依存している
  • 恋人や配偶者と安定した親密な関係が続けられない

境界性パーソナリティ障害とは?

境界性パーソナリティ障害は、気分の波が激しく不安定なのが特徴です。

0か100か、といったように物事を極端に捉える傾向があります。

また、強いイライラを感じたり、冷静に物事を見られなかったりします。

境界性パーソナリティ障害は、若い女性に多く見られ、高齢になると減少し、また地方より都市部に多いことが分かっています。

境界という言葉が使われる理由

境界とは、2つのものの境目をあらわす言葉ですが、精神医学では、統合失調症と、神経症(不安障害など)のどちらともいえない境界線上の疾患がある人たちが、「境界例」と診断されました。

統合失調症に近い症状を見せるものの、その診断には当てはまらない人たちがいる、ということです。

20世紀後半に研究が進むと、それまで境界例とされてきた患者さんの主な症状は、パーソナリティ障害の症状として位置づけられるようになりました。

その時に、境界例の境界(ボーダー)という言葉が引き継がれたのです。

境界性パーソナリティ障害の症状

境界性パーソナリティ障害は、感情、行動が不安定で、そのために対人関係がうまくいかない、という症状があります。

気分や感情がころころ変わりやすいため、周りの人がついていけないことがよくあります。

そのため、対人関係に問題が生じることがしばしばあります。

また、物事をいいか悪いか、白か黒か、と極端に捉える傾向にあり、急にカッとなって衝動的な行動にでることもあります。

感情の波も激しく、極めて不安定です。

境界性パーソナリティ障害は、本人は自分が病気だという自覚がとぼしく、周囲が悪いと思い込んでいる場合があります。

周囲の人から見ると、問題を起こす困った人と思われますが、本人も自分の中の感情をコントロールできず、苦しんでいます。

  1. 激しい感情
  2. 二極思考
  3. 衝動的行動
  4. 対人関係の障害
  5. 空虚感
  6. 自己同一性障害
  7. 自傷行為
  8. 薬物乱用

1.激しい感情

境界性パーソナリティ障害の人は、怒りなどの影しい感情をコントロールすることができません。

周りの人から見ると大したことではないと思われることも、急に怒りを爆発させて、激しく非難したり、暴言を吐いたりします。

時には、相手を殴る、物を投げつけるなど、激しい行動に出ることもあります。

周囲の人は、そうした感情の激しさに驚き、おそれ、動揺させられます。

怒りの矛先は、一緒に生活する家族へ向けられることが多いですが、勤務先の上司や部下、時にはお店の店員の態度が悪いと怒るようなケースもあります。

2.二極思考

境界性パーソナリティ障害の人は、物の考え方が柔軟でなく、極端に考えをつきつめることがあります。

ある日はとても明朗で感じのいい人だったのに、ある日は別人のように身勝手な振る舞いをします。

一人の人とは思えないような二面性を見せることがあり、この極端な変化に周囲の人は困惑してしまいます。

本人自身も、ある時は自信に満ちているのですが、きっかけ一つで一転し、自分は生きている価値がないと低い評価に変わってしまいます。

いつも、白か黒か0か100かの二極化で考えてまい、人に対しても敵か味方か、善かあくかで二分してしまい、人間関係に緊張やトラブルを引き起こしたりします。

3.衝動的行動

境界性パーソナリティ障害の人は、感情だけでなく、行動のコントロールもうまくできません。

怒りが爆発すると、状況や立場を考えずに、暴力や暴言などの衝動的な行動に走ることがあります。

また、無謀な運転をする人、物を買いまくる人、突発的に薬を大量に飲んだり、リストカットなどの自傷行為をする人もいます。

これらの行為は、本人の命を危険にさらすだけでなく、周囲の人にも大きな衝動を与えてしまいます。

4.対人関係の障害

激しい感情と衝動的な行動が原因で、対人関係が安定しません。

人に対して、「自分と同じだ」「自分の理想だ」という思い込みがあり、関わることを強く求めますが、そうでないと感じると、裏切られたと考え、今度は一方的に相手をこき下ろします。

こうした対人関係の不安定さの背景には、「見捨てられることへの不安」があります。

人は、幼少の頃は母親との一体感を持っていますが、成長すると次第に親離れし、反抗期を経て、自分なりの価値観を持って人と付き合うようになります。

境界性パーソナリティ障害の人の中には、この過程がうまくいっていない人がいると考えられています。

見捨てられないために、何十回も電話やメールをしたり、夜中に押しかけるなど、強引な行動にでる場合もあります。

また、特定の人を自分の味方にしようとトラブルになったり、逆に本人が人に巻き込まれることもあります。

5.空虚感

一見、活発で陽気に見える人でも、内面では「生きていても虚しい」「自分は空っぽだ」という感覚を慢性的に抱いている人がいます。

特に、対人関係が破綻してしまったあとや、怒りなどの感情が過ぎ去ったあとに、強い虚無感に襲われます。

慢性的な空虚感を埋め合わせるため、相手と密着することを過剰に求め、それが叶わないと反動で激しい怒り、抑うつ感が生じます。

そのため、対人関係が不安定になりがちです。

また、「生きていても虚しい」という感覚は、うつ病の症状の一つでもあるため、うつ病を合併しているかどうかの診断が必要になります。

6.自己同一性障害

「自己同一性」とは、自分の感覚や、他社や社会から見ても一貫性のある自己の性質のことで、アイデンティティと同じ意味です。

人は、自分がどこで生まれ、どこに住む何人で、こういう家庭で育ち、こういう仕事をしているなど、一貫した自己の像を持っています。

若い頃はそれがはっきりしませんが、社会に出て年齢を重ねると、その特性が確かなものになっていきます。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人は、そうした自己の特性を確認し、自己同一性を固めていく作業がうまくいっていません。

境界性パーソナリティ障害は、この自己同一性の障害が中心にあると考えられています。

自分としての考えや感じ方が定まっていないため、他人への評価が「善か悪か」の両極端になりがちです。

自分の位置が定まっていないため、いつも不安な気分になります。

不安定で、トラブルが多く、激しい感情に揺さぶられることが、抑うつ感や精神的な苦痛に繋がってしまいます。

7.自傷行為

虚しさや強い抑うつ感、精神的苦痛から逃れるために、自分の体を傷つける行為(自傷行為)に走る人がいます。

自傷行為にいたるきっかけは様々ですが、その多くは対人関係から生じるストレスや悩み、社会文化的な要因など、状況的要因です。

その人の心には、罪悪感、孤独感、怒り、絶望、悲しみ欲求不満などの強い苦痛、虚しさや焦燥感、離人感などが見られます。

自傷行為を行う人は、死にたいから行うのではなく、生きていることの苦痛から一瞬でも逃れたいために行っています。

自傷行為は、むしろ生き延びるための行為とも言えますが、自傷行為を繰り返し行うと、本格的な自殺へ発展する可能性が高まるため、自傷行為が慢性化することを防ぎ、自殺への発展を防ぐ対応が重要となります。

8.薬物乱用

薬物やアルコールを乱用したり、依存することも、広い意味で自己破壊的な行為と言えます。

精神的苦痛から逃れるために、アルコールや薬物を使用しますが、苦痛から解放されたと感じるのはほんの一時的な効果でしかありません。

むしろ、乱用や依存は、境界性パーソナリティ障害からの回復を妨げてしまいます。

また、こうした物質の乱用・依存は、周囲の人を巻き込んで大きな問題に発展しかねません。

アルコールなどを飲んで、衝動的に自傷行為を行い、危険な状態になることもあります。

薬物を多量に服用した場合は、ただちに医療機関で手上げを受けなければなりません。

境界性パーソナリティ障害だった有名人

境界性パーソナリティ障害という病名が広く知らていなかった時代にも、その診断に当てはまると考えられる人たちがいます。

太宰治

日本の昭和時代を代表する作家の一人。

左翼活動の挫折後、自殺や薬物中毒を繰り返しながら、第二次世界大戦前から戦後にかけて、次々に作品を発表しています。

多くの専門家が、度々の自殺企図、薬物依存、乱脈は女性関係を境界性パーソナリティ障害の特徴だとみています。

マリリン・モンロー

1950年代のハリウッドを代表する映画スター。

3歳で両親が離婚したあとは、里親や孤児院などを転々とするなど不幸な生い立ちであることが知られています。

1953年、「紳士は金髪がお好き」で一躍スターになりましたが、撮影現場にはたびたび遅刻し、私生活では、結婚と離婚を3回繰り返し、多くの著名人と浮名を流しました。

感情や対人関係の不安定さから、彼女は境界性パーソナリティ障害だったと考えられています。

有名になりたい、女優になりたいという上昇志向と、育った環境からくる自信のなさや低い自己評価に引き裂かれていたのではと推察されています。

ダイアナ元妃

元イギリス皇太子妃。

ダイアナは、自伝やテレビインタビューで、新婚当初、自分の手首や腕、ももを傷つけるなどの自傷行為を行っていたと明らかにしています。

また、過食や嘔吐を繰り返す摂食障害もありました。

ダイアナは、名門の伯爵家に生まれましたが、6歳の時に両親が離婚し、不安定な養育環境の中で成長しました。

学業はふるわず、「私は何をしてもダメでした」と述懐しています。

皇太子妃として王室に入り、夫の裏切りによる怒りや不安を抱く中、公務で自分が人々に感銘を与える素質を持っている事に気づいたダイアナは、摂食障害の専門医による治療を受け、様々な人との出会いから人間的な力をつけ、自傷行為から回復していきました。

離婚の試練を乗り越え、チャリティー活動の中に自らを活かす道を見出したダイアナは、境界性パーソナリティ障害に苦しんだ女性が、本来の自分を見出し、大人へと成長していく過程として見ることができます。


参考:
新版 よくわかる境界性パーソナリティ障害 こころのくすりBOOKS Kindle版, 林 直樹,株式会社主婦の友社,2017/03/01

 

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