「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第3回は、前回の「『怒り』をうまくコントロールできないと損をする」の続き、「4つの『怒り』の特性」を解説していきます。
目次
4つの「怒り」の特性
怒りについて、もう少し詳しくみていきましょう。
怒りには、4つの性質があると言われています。
【1】怒りは高いところから低いところへ流れる
親から子、上司から部下、客から店員など、怒りは高いところから低いところへ、言い換えると、力の強いところから弱いところへ流れる、という性質があります。
上司から部下へ怒りが流れるパターンは想像しやすいかと思います。
ただし、異動してきたばかりの新任課長に対して、そのすぐ下のベテラン社員が逆パワハラをするパターンもあります。
新参者の課長に対して「こんなこともできないんですか?」「前の課長だったら、こんなこと私に頼みませんでしたよ!」などと、怒りをぶつけるパターンです。
これは、職位とは関係なく、知識や情報を持った「上の立場」の人から怒りが流れる形です。
そして、その怒りは、それはさらに低いところへ連鎖していく、という特徴があります。
つまり、上の立場の人からぶつけられた怒りは、跳ね返されるのではなく、自分よりも下の人へ、怒りをぶつけやすい人へと向けられるという「負の連鎖」が起きてしまいます。
親から怒られた子は、妹や弟や立場の弱い友達に、上司の部長から怒られた課長は、さらに自分の下の部下に、という具合に怒りを発展させていきます。
【2】怒りは伝染する
同僚や家族など、近くの人がイライラしてるのを見て、自分も同じようにイライラしたことはありませんか?
「情動感染」といって、喜怒哀楽などの感情は周囲に伝染すると言われています。
パソコンのキーボードを不機嫌そうに打つ人。
イライラしてため息をつく人。
チッ!と舌打ちをする人。
ブツブツと愚痴や不満を口に出している人…。
これらの怒りは、知らず知らずのうちにあなたにも伝わっています。
このような怒りをまともに受けて、自分までイライラしないように気を付けましょう。
【3】怒りは身近な対象ほど強くなる
パートナーに、「洋服は脱ぎっぱなしにしないで!」「使ったものは元の場所に戻して!」だったり、子どもに「部屋を片付けなさい!」「何時だと思ってるの!早く寝なさい!」など、「何度言っても直らない」とイラっとしたことはありませんか?
怒りは身近な対象ほど強くなる性質があります。
長く一緒にいる身近な相手ほど「コントロールできるはずだ」という思い込みがあるからです。
また、よくわかっている相手だからこそ、相手への期待度も高くなり、甘えも生まれやすくなります。
結果、思い通りにならない時に怒りが生じやすく、それを相手に向けて、怒りの度合いも強くなっていきます。
長く一緒にいる人であっても、相手は自分とは違う人間であり、違う考えや価値観を持っています。
身近な人でも、「言わなくてはわかってもらえない」「思う通りにはならない存在」なのだと考えましょう。
「言わなくてもわかってくれるはず。何度同じこと言わせるの?」
「このくらいのことは、普通に察してくれるはず」
身近な人に対してこんな気持ちになった時は要注意です。
【4】怒りは行動を起こすモチベーションになる
怒りは強いエネルギーを持っているため、その扱い方によっては「いつか言い返してやる!」「仕返ししてやる!」といった、非建設的な行動の源になることがあります。
復習やストーカーに結びつくケースもあるくらいです。
しかし、アンガーマネージメントを学べば、それらの怒りを建設的な方向へ導くことが可能です。
例えば、バカにされて怒りを覚えたけど、それをバネに奮起して「今に見てろ!」「絶対に結果を出してやる!」と行動して、実際に結果が出たという経験はありませんか?
このように、怒りのエネルギーをうまく使い、建設的な行動へ意識を向けることもできるのです。
次回、「問題となる4つの怒り」、へ続く