お役立ち記事 精神疾患関係

本人の自覚が無い場合が多い「パーソナリティ障害」とは

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人は成長していく中で、生まれ持った性質や環境によって人格を形成していきます。
中には極端に偏りのあるものの考え方や衝動的な行動など他人と違う性質によって、社会生活を普通に送れず苦しんでいるような場合に診断される精神疾患にパーソナリティ障害があります。

他人や出来事に対する認識、反応、関わり方に柔軟性がなく過剰な被害妄想・不適切な思考や行動が繰り返されたり、態度が常に演技的・感情のコントロールがきかないなど社会生活に影響を及ぼす状態をパーソナリティ障害と言います。
パーソナリティ障害は生活環境に上手く適応できないことが"一時期"続くもので【人格の障害】ではありません。
時間とともに回復することもありますが、放っておくと摂食障害やうつ病など、他の病気を併発する可能性もあるので注意が必要です。

目次

パーソナリティー障害の原因とは?

生まれもっての特性や、幼少期のトラウマ、苦難など環境の問題が関わっていることが明らかになっていますが、まだはっきりした原因が分かっていないのが現状です。
現在分かっているところでは、その人の生まれ持った性質や遺伝と環境によるもの、幼いころに体験した虐待や母親からの愛着形成をうまく築けなかったことなどが発症につながるとされています。
衝動的な行動は神経伝達物質であるセロトニンが作用する神経系の機能低下が原因で起こると言われています。

パーソナリティ障害は、A群、B群、C群の3つに分けられます。

A群に分類される疾患(奇妙な行動や発言が多く風変わり)

妄想性パーソナリティー障害(広範な不信感や猜疑心が特徴)

妄想性パーソナリティー障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 性格は冷淡で、人にはよそよそしい態度を示す。
  • 他人が自分に悪意を抱いていると疑い敵意や悪意に満ちた動機を見出そうとする。
  • 自分勝手な思い込みで憤慨し対立が生じると、自分のせいとは思わず他人に報復やしばしば法的手段に訴える。
  • 職場では比較的孤立した状態にあるが、場合によっては非常に有能でまじめ。

統合失調質パーソナリティー障害(非社交的で他者への関心が乏しいことが特徴)

統合失調質パーソナリティー障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 感情の起伏が乏しいので、性格は冷淡な人に見られがち。
  • 周囲への関心やかかわりへの欲求が乏しいため、他人に興味がなく周囲から孤立している。
  • 非常に内向的で引っ込み思案。
  • いつも自分の考えや感情に没頭し、空想を好み行動するよりも理論的な思索を好む。
  • 統合失調症のような独特の思考や認知を持っている。

統合失調型パーソナリティ障害(会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠くことが特徴)

統合失調型パーソナリティ障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 社会的にも感情的にも孤立している。
  • 思考や認知、会話にみられる奇妙さや妄想など統合失調症に似ている。
  • 魔術的思考を持っている(自分に魔術的な力があると思い込み、自分の意思でどうにでもできるという考え)

「統合失調質パーソナリティ障害」「統合失調型パーソナリティ障害」は非常に似た病名ですが、症状は異なります。
基本的にパーソナリティ障害の人は、自分の思考や行動のパターンに問題があるとは思っていないので自分から治療や助力を求めません。
代わりに、その行動が他の人に迷惑をかけているなどの理由で、友人や家族、あるいは社会的機関によって医療機関に連れて来られることがあります。
パーソナリティ障害をもつ人の大半は自己の人生に悩んでいて、職場や社会環境における人間関係に問題を抱えています。

気分障害、不安障害、薬物乱用、あるいは摂食障害などの問題を同時に抱えている人も多くいます。

B群に分類される疾患(感情的で移り気なタイプ)

演技性(ヒステリー性)パーソナリティ障害(他者の注目を集める派手な外見や演技的で移り気な行動が特徴)

別名ヒステリー性パーソナリティー障害と言われ、以下の様な症状が一部に見られます。

  • 注意を引くために体の不調などを大げさに訴えることもあります。
  • 他人の注目を集めたい傾向にあり、自分の外見を気にします。
  • 行動が演技がかっており感情的
  • 表現力が豊かで友人はすぐにできるが、それらの関係は表面的で一時的に終わることが多い。

これらのタイプは、異性に対して性的に挑発するような行動をとったり、性的な関係を求めていない相手にも性的な関係を持ち込んだりすることがあるが、求めているのは性的関係ではなく、誘惑的な行動には『誰かに頼りたい、守ってもらいたいという願望が隠れている』ことがあります。

自己愛性パーソナリティ障害(傲慢・尊大な態度を見せ自己評価に強くこだわるのが特徴)

自己愛性パーソナリティ障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 傲慢な態度で優越感が強く、人からの称賛を求め自分の価値や重要性を過大評価する
  • 失敗、敗北、批判などに極度に敏感
  • 自分の欲しいものは何でもすぐに手に入るのが当然と考えている。
  • 他人へ共感する心が欠如し他人の欲求や信念は重要視していないため、人を平気で利用することがある

このような行動は、周りの反感を買い、自己中心的、傲慢、利己主義とみなされます。
典型的な症例では、クレーマーなどとして社会でトラブルを起こしていたりすることあります。

反社会性パーソナリティ障害(反社会的で衝動的、向こうみずの行動が特徴)

反社会性パーソナリティ障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 男性に多い傾向がある
  • 人に対して不誠実で権利や感情を無神経に軽視する
  • 欲しいものを手に入れ自分が単に楽しむために人を利用する(自己愛性パーソナリティ障害の人が、自分は優れているのだから当然だと考えて人を利用するのとは異なった考え方)。
  • 衝動的かつ無責任
  • 不満があると我慢ができず、敵意を示したり暴力的になったりする
  • アルコール依存、薬物依存、性的に逸脱した行動、性的無規律、投獄といった問題を起こしやすい傾向
  • 反社会的な行動、薬物乱用、離婚、小児期に情操面での養育放棄(ネグレクト)や身体的虐待などの家族歴がある

この障害は年齢とともに治まっていくか、安定する傾向があります。

境界性パーソナリティ障害

気分の波が激しく感情が極めて不安定で、良い・悪いなどを両極端に判定したり、強いイライラ感が抑えきれなくなったりする症状をもつ人は「境界性人格障害」に分類され「境界性パーソナリティ障害」とも呼ばれています。
「境界性」という言葉は、「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状を示すことに由来します。
例えば、「強いイライラ感」は神経症的な症状で、「現実が冷静に認識できない」という症状は統合失調症的ものです。

境界性パーソナリティ障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 若い女性に多く人口の約1~2%に見られる病気
  • 大量服薬や自傷行為起こすことが多い
  • 周囲の人から見捨てられることを極度に恐れ、嫌われないように異常な努力をする。
  • 絶賛していた人を急にこき下ろしたり、反応が両極端になる
  • 感情と行動が不安定で周囲の人が混乱する為、コミュニケーションが安定せず対人関係も悪くなる
  • 相手が悪い、周りが悪いと思い込む傾向にある。
  • 感情のブレーキが効かずちょっとしたことで激しく怒り、癇癪(かんしゃく)を起こすがそのくせ傷つきやすい。
  • 薬物・アルコール・セックス・万引き・過食・買い物などに依存したり、危険運転など衝動的な行動を繰り返したりする。
  • 強いストレスがかかったとき、一時的に記憶がなくなり、精神病状態に似た症状を起こしやすい。

C群に分類される疾患-抑うつ的な行動や思考をもつ(不安で内向的であることが特徴)

強迫性パーソナリティー障害(融通性がなく、一定の秩序を保つことへの固執(こだわり)が特徴)

強迫性パーソナリティー障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 予測できない出来事が起こる状況に柔軟性に欠けるため、変化に適応できず仕事を最後まで全うできないことがよくある。
  • 慎重であらゆる局面を比較検討するため決断を下すことが苦手
  • ルールを守ることに極端に固執するため、摩擦が生じてしまうこともある。
  • 成績が良かったり高い業績を上げていたりすることが多く知的分野の成功者に多くみられる。
  • 責任に伴う不安に常に悩まされるため、成功してもそれを喜ぶことができない。

依存性パーソナリティー障害(他者への過度の依存、孤独に耐えられないことが特徴)

依存性パーソナリティー障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 自信に欠け、自分の能力について強い不安を感じ、大きな物事の決断や責任は他人任せにする
  • 【自分には決められない、何をしたらよいかわからない】といった弱音をしばしば吐く
  • 頼りにしている人を怒らせるのが怖く、自分より相手の欲求を満たすことを優先し自分の意見を言いたがらない

回避性パーソナリティ障害(自己にまつわる不安や緊張が生じやすいことが特徴)

回避性パーソナリティ障害と呼ばれる疾患には以下の様な症状が一部に見られます。

  • 傷つくことや失敗することを恐れ、新しい対人関係を築いたり何か新しいことに挑戦することができない
  • 愛情や受け入れられることに対して強い欲求を抱いているので拒絶に対して過敏

『どうせ自分にはできない、どうせ自分は他人から嫌われている』など否定的な感情を持っており、不安感や緊張が強くいつもオドオドしている場合が多く、両親が過度に批判したり、過保護であったりすることが発症の原因のひとつと考えられています。

パーソナリティ障害の治療法は?

治療法はパーソナリティ障害のタイプにより異なりますが、すべての治療に共通する原則があります。

1.カウンセリングや行動療法

大半の治療の基本となるのは心理療法で、依存、不信、傲慢、人につけこむといった対人問題の原因となる態度や行動を、本人がよりはっきりと認識するのに役立ちます。
不適応行動や対人関係のパターンに変化がみられるまで、通常1年以上続けることが必要となります。
この病気は、本人が自分の思考や行動に問題があると思っていないので、治療者は繰り返しそれを指摘しその事実を認識させることが必要で、行動に制限を加えることも必要となります(たとえば、怒って声を張り上げるのを禁じる)。

2.薬物療法

不安、抑うつや苦痛を伴う症状があれば、その軽減が治療の最初の目標となり薬物療法が有益になります。また、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)などの薬剤は、抑うつと衝動性の双方に有用です。
抗けいれん薬は、衝動的な怒りの爆発を抑えるのに効果がみられます。
一般に薬物療法が人格特性そのものに作用することはありません。

3.家族療法・グループ療法

・家族療法:家族の行動は、本人の問題行動や思考に影響を与えることがある家族の協力は治療多くの場合不可欠です。
・グループ療法:居住施設での共同生活、治療を兼ねた社交サークルや自助グループなどが、社会的に望ましくない行動を変えていく上で役立ちます。

パーソナリティ障害は、パーソナリティ(人格)という言葉のため「性格が悪い病気だ」「人格の障害だから治らない」と誤解が生まれやすい病気ですが【人格】の障害といったものは全て誤解です。
人格特性が形成されるまでに長い年月がかかるため、パーソナリティ障害を短期間で治す治療法はなく、適応の妨げとなる特性の治療にもかなりの歳月が必要となります。
また、医師と患者の間に親密で協力的な信頼関係を築くことや家族や周囲の人の理解と協力が重要となります。


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