前回の記事⇒「発達障害とは?① ~代表的な3つの障害の特徴~」はこちら
今回は、発達障害のひとつ、アスペルガー症候群の特徴について詳しく見ていきます。
自閉症やアスペルガー症候群は、アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」では、「自閉症スペクトラム障害」という障害に分類されており、人との関わり方が独特・コミュニケーションの障害・感覚の過敏さなどの特徴があります。
発達障害と聞くと、知能レベルの事を思い浮かべる方もいるかと思いますが、アスペルガー症候群は知的な問題ではなく、人とのコミュニケーションによる障害、社会への適応性の欠如といった対人関係、自己主張の強弱の思考が、普通の人と違います。
知的な問題がないため、一見、普通の人と同じように見えますが、少し長く時間を共有すると、「ん?ちょっと変わってるな…?」「なぜこんなに一つのことにこだわるんだ?」と不思議な印象を与えます。
逆に、アスペルガー症候群の人にとっては、「なぜ理解してもらえないのか?」「ここにあった物がどこかへいってしまった…どうしよう」といった理不尽に感じる事があります。
自分や家族、近しい人がアスペルガー症候群かも?と気づくことはなかなか難しく、気づいた時には既に人間関係が破綻している、または破綻に進んでいるといったことも少なくありません。
もしかして、自分は症候群ではないか?または周囲の人がそうではないか?と思う方は、以下のアスペルガー症候群の特徴をチェックしてみてください。
- 1.じっとしていられない(落ち着きがない、多動)
- 2.集中力がない
- 3.片づけ、整理整頓や掃除が苦手
- 4.人とのコミュニケーションが苦手
- 5.ひとつの物事にこだわる
- 6.物音に敏感
- 7.好き嫌いがはっきりしている
- 8.物をよくなくす
- 9.物を分解、壊す
- 10.変化が苦手
3つ以上、当てはまる人は、ややアスペルガー症候群の傾向があります。
5つ以上の人は、アスペルガー症候群の傾向があります。
7~10当てはまる人は、よりアスペルガー症候群の傾向が強いです。
一つひとつ特徴を見ると自分もこれが当てはまるよ、という人もいると思いますが、大抵は対人、社会性、コミュニケーションにおいて、グッとこらえる力があります。
しかし、アスペルガー症候群の人は、我慢ができない、通常のこと、と思い生きているのです。
以降では、アスペルガー症候群の人の「人との関わり方」、「物事にこだわる」について、より詳しく見ていきます。
目次
人との関わりが独特
アスペルガー症候群を持つ人の中心的な特徴として、「人との関わりが独特」という特徴があります。
人と関わる意欲がない場合もあれば、逆に意欲があっても一方的に話して会話のキャッチボールが成り立たなかったりなど、通常の会話とのズレが生じてしまう場合があります。
相互的なやりとりが苦手
普通の人は会話など、自然に相互的なやり取りができますが、アスペルガー症候群の人はこれが苦手な傾向にあります。
一方的に話続けるか、反対に話を聞くばかりで会話が続かない為孤立してしまうことがあります。
- 一方的に話し続ける
- 相手の話をひたすら聞いている
- 余計な事を言ったり、思った事をストレートに言ってしまう
臨機応変に対応するのが苦手
その場の状況を的確に読む、俗にいう「空気をよむ」ことが苦手であったり臨機応変に対応するのも苦手な人が多いです。
- 突然の会議の変更や中止についていけない
- 人から突然誘われても断ってしまう
アスペルガー症候群の人の人との関わり方、4つのタイプ
アスペルガー症候群の人は、人と相互的に関わる能力や意欲に欠けている事が主な症状で、その関わり方のタイプは4つに分ける事が出来ます。
受動群
自分から人に関わる事をしようとしないタイプです。自分の気持ちや考えを人に伝えたり表す事が苦手です。
- 表情が乏しい
- 自分から人と関わるのが苦手
- NOと言えない。言われたままになりやすい。
- 自分の気持ちが言えない
積極奇異群
積極的に人と関わろうとしますが、自分の関心事を一方的に話したり、自分の要求がある時だけ人と関わろうとしたり、自己中心的に見られやすいです。
- 感情表現が大げさ
- 人と関わる事自体は嫌いじゃない
- カッとしやすい
- 思った事を全部言う
- 人との距離感が近い
孤立群
小さい子供に多いタイプ。
一人でいる事を好み、自分に必要な時だけ人と関わります。
形式ばった大仰な群
青年期から大人に見られるタイプ。
努力家で、ルールに従順に従う傾向があり、ケースバイケースでの行動を取る事ができず他人からすると言動に違和感を感じる事があります。
物事にこだわる
アスペルガー症候群の人は、自分が好きな分野、または得意な領域に対して、強いこだわりを持つ特徴があらわれる事があります。
例えば、算数の数字へのこだわりが強く、いつも100点をとる子。
大人では、好きな作家さんの本を集め、さらに出版された順にきれいに配列し、少しでも違う配列があると気になって仕方なくなったりします。
このように、こだわりが突き抜け、知識がスバ抜けた結果、その分野の学者になるなど、こだわりがポジティブな方向へ向く場合もあります。
反対に、好きではないことには、全く無関心です。
例えば、好きなフィギュアをきれいに並べていても、その周辺をきれいに整理整頓したり、掃除するかと言えばそうではないのです。
好きなことにはまっしぐらで、周囲の声も聞こえないくらいの集中力を発揮しますが、嫌いなこともはっきりしています。
- 興味のある事には熱中する
- 集中し過ぎて周りが見えなくなる
- 規則やルールにこだわる
アスペルガー症候群で共通すること
アスペルガー症候群の人に共通で見られる症状は他にもいくつかあります。
- 相手の気持ちが分かりずらい
- 言われたことを真に受ける
- 「大体」「適当に」という言葉より、数や量を数字で言うこと好む
- 変化が苦手
- 運動、スポーツが苦手
- 同時に2つ以上のことをするのが苦手
- 音や匂いなどの感覚が敏感
このような項目を挙げると、ほとんどの人が一部に心当たりがある様な事が多いですが、特徴としてこれらが顕著な人がアスペルガー症候群として診断されます。
参考:
溝口るな「難しくない!アスペルガー症候群の特徴と対応法」,Amazon Services International, Inc.,2020年5月26日
次回は、ADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴について、より詳しく見ていきます。