前回の記事⇒「発達障害とは?① ~代表的な3つの障害の特徴~」はこちら
今回は、発達障害のひとつ、学習障害(LD)の特徴について詳しく見ていきます。
学習障害(LD)とは、知能の発達水準は正常範囲内なのに、ある特定の学習能力が欠落している発達障害のひとつです。
例えば、「文字は読めるのに書くことができない」、「数はかけるのに計算ができない」など、ある特定のものだけがうまくできない症状のことを言います。
LDは、障害というより「認知」のどこかに不具合が生じた「発達のゆがみ」、つまりシステムの問題、その人のクセのようなものです。
また、理由は解明されていませんが、LDやADHD、ASDなどの発達障害は、男子の方が女子より発症率が高いというデータがあり、特にLDに関しては約4倍も多くなっています。
学習障害の症状は様々なものがありますが、「本人の勉強不足」「親のしつけがなっていない」「やる気がない」などで片づけられてしまうこともよくあります。
すると、勉強が嫌いになったり、学校に行かなくなったりと、さらなる問題に発展する恐れもあります。
目次
学習障害(LD)の種類別症状
学習障害は、大別すると以下の3つに分類されます。
- 読字障害(ディスレクシア)・読みの困難
- 書字障害(ディスグラフィア)・書きの困難
- 算数障害(ディスカリキュリア)・算数、推論の困難
LDは、知的能力全般は正常でも、読む、書くなど、苦手分野以外の知的能力に問題が見られないことが多いため、発達障害の中でも判断が難しい障害です。
読む、書く、計算などの能力は、ほとんどの子どもが就学前には学んでいないため、本格的な学習に入るまで判断が難しく、障害に気づかない場合が多くあります。
中には、発達障害による苦手分野だと気づかず、単なる苦手分野だと判断され、大人になるまで気づかれないケースもあります。
読字障害(ディスレクシア)
文字を読む能力に困難がある状態です。
似た文字の区別がつかなかったり(シとツ、pとq、bとdなど)、文章を読んでいるとどこを読んでいるのかわからなくなり、スムーズに本を読むことが難しかったりします。
文字の見え方にも特徴があり、文字が逆さに見えたり、図形のように見えたりします。文字よりも耳からの情報のほうが理解しやすい場合が多いようです。
書字障害(ディスグラフィア)
文字を書く能力に困難がある状態です。
黒板の文字を写すことができなかったり、鏡文字や雰囲気で文字を書いてしまいます。
誤字脱字も多いようですが、特に漢字が苦手な場合が多いようで、なかなか覚えることができません。
原因として、脳が体に「手を動かせ」と指示を出しますが、その伝達機能がうまくいかないためと考えられているようです。
算数障害(ディスカリキュリア)
数字や記号、計算、算数の応用問題など基礎的な知識を活用して推論することが困難な状態です。
数字に関する能力に障害があるため、学校に入って算数の授業を受けてから障害があると気付くケースがほとんどです。
数の大きい、小さいがわからない、図形やグラフが苦手など、視覚で捉えることに困難があります。
また、理科の実験の前に結果を予測したり、想像力をふくらませて因果関係を理解したり、説明することが苦手という場合もあります。
その他のLDの特徴として、
- 集中力がない
- 運動能力の遅れ
- グループ行動が苦手
- 落ち着きがない・その場に適した行動ができない
- 会話、コミュニケーションがうまくできない
- 対人関係のつまづき
など、日常生活にも困難を感じることがあります。
学習障害(LD)の経過
幼児期
言葉、文字を覚えるのが遅い傾向にあります。
アインシュタインも学習障害を持っており、3歳まで言葉を覚えなかったそうです。
小学生
授業が始まることで、「ついていけない」、「勉強がわからない」などの困難が出てきます。
他の子と比べ、著しく学習の習得が遅い場合は学校の先生などに相談するといいでしょう。
中高生
中高生になると、その症状がはっきりとしてきます。
他はできるのに、ある能力だけが劣っている場合は、苦手・不得意だけでなく、学習障害の可能性も考えたほうがよさそうです。
大人になってから
最近では大人になって仕事を初めてから、学習障害とわかる場合も多いようです。
大人になってから学習障害と気付く時の特徴
- 電話をしながらメモをとることができない
- 注意をされてもすぐに理解ができない
- ミスが多い
- 話をうまくまとめられない、すぐに質問に答えられない
- マニュアルを覚えられない
- 数字に関する業務、管理が苦手
周りからは、なぜつまづいているのかがわかりにくいため、「やる気がない」と怒られて、コミュニケーションに恐怖を感じるようになってしまうこともあります。