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発達障害の人と共に働くということ⑧ ~職場でみられる発達障害…「優先順位が分からない。変化に対応できない」~

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会社のデスクの上や、その周りもゴチャゴチャ。

会議や打ち合わせには毎回遅れるし、何をやらせても段取りが悪く、同じミスを繰り返す…。

あなたの部下や同僚にそんな人はいませんか?

もしかしたら、その人は「発達障害」かもしれません。

「発達障害の人と共に働くこと」では、職場で発達障害の人と接する場合の対応策や、どのような工夫がされれば、当事者とその周囲の人たちが気持ちよく働けるかをまとめています。

第8回は、「大人の発達障害の種類と特性【ADHDとアスペルガー症候群の違い】」の続き、「職場でみられる発達障害…『優先順位が分からない、変化に対応できない』」を解説していきます。

目次

職場でみられる発達障害

ここからは、発達障害が疑われる人たちの職場での振る舞いや仕事ぶりなどの例をあげて、周囲がどのように対応すればよいかを提案していきます。

アスペルガー症候群を含むASDとADHDの複合型だったり、その複合に度合いが異なったり、加えて二次障害を抱えるなど、個々でさまざまな病態がみられるため、事例が似ているからといって診断や対応策が全て当てはまるとは限りません。

また、大前提として、これらに似た様子の人を発達障害と決めつけることは最も回避するべきことです。

【事例1】優先順位が分からない。変化に対応できない(Oさん・20代女性)

Oさんは短大を卒業後、不動産会社に就職して、一般事務を担当。

学生時代から「二人以上の人と話すと会話の内容が分からなくなる」「先生の話を聞きながらメモする」など、同時に二つのことができないと感じることが多く、就職してからは仕事がうまくいかないことを悩んでいました。

書類作成中にコピーを頼まれたり、「伝票の確認、今いい?」と声をかけられると、何を優先していいのか判断がつかず、ひどく混乱してしまいます。

その際、呼吸が荒くなったり、小さな悲鳴をあげて、急に立ち上がったり、貧乏ゆすりを始めたり…と、周囲の人が奇異に感じるほどの様子になります。

「作業中にかかってきた電話を受けると、自分が何をやっているか分からなくなってパニックになる」ため、電話にも出られません。

ミスも多くなり、仕事もパフォーマンスは低下するばかりです。

また、Oさんは「ここにあったはずのものがなかったり、ないはずのものがあったりすると不安になる」傾向があり、会社で自分のマグカップがいつもと違う場所にあるだけで、焦ったり、デスクの上の本やマウスの位置が所定の場所から少しでもズレていると、気分が悪くなって不機嫌になるなど、動揺が隠せません。

そんなOさんの様子は、職場の人たちに、「些細なことでいちいちパニックを起こす変な人」「ちょっと危ない人」「普通じゃない人」に映り、徐々に距離を置かれ、一人でいることが多くなりました…。

考えられる症状

複数の作業を並行して進めることや、物事に優先順位をつけることが苦手なのは、ADHDの人によくみられ、実行機能の障害と言えます。

また、ワーキングメモリーが少ないため、複数の指示を出されたことで混乱、感情が乱れて悲鳴を上げるなど落ち着きがなくなります。

変化に敏感で細かいところにこだわりがあり、自分なりのルールを決めているという点は、アスペルガー症候群にみられる特徴です。

周囲の対応策

一目見て、いま何をすればいいか分かるような作業進行表を作成して、工程が済むごとにチェックさせるようにします。

複数の作業を同時進行させると混乱しがちなことに配慮し、一つの仕事が終わったら、次の仕事を依頼するようにしましょう。

やるべきことを付箋に記載し、終了したら外していく、という方法も簡単ですぐにできます。

また、デスク上の物の位置などは、本人のこだわりを乱さないよう、勝手に移動するなどは控えたいところです。


 
次回、「職場でみられる発達障害…『集中力が続かない。仕事中の居眠りが多い』」、へ続く


 

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