今回は、知的障害との合併症について詳しくみていきます。
前回までの記事↓
知的障害とは?① ~幼児期や学童期に発覚することが多い!知的障害の特徴~
知的障害とは?② ~知的障害の原因とは?~
知的障害とは?③ ~軽度知的障害の人が大人になって困ること~
目次
知的障害との合併症
知的障害は他の疾患と一緒に起こる場合があります。
主に、
- てんかん
- 脳性まひ
- 二次障害
上記の3つがあげられます。
てんかん
「てんかん」とは、てんかん発作を繰り返す脳の病気です。
てんかん発作が起きると、突然意識を失ってしまうことがあります。
その症状や原因は人によってさまざまですが、1000人に約5人の患者さんがいると言われています。
てんかんは、子どもから大人まで発症する誰でもかかりうる病気で、決して珍しいものではありません。
知的障害の等級が重くなるにつれて、てんかんとの合併率も高くなります。
重度知的障害で約50%、中度で約40%、軽度で約10%と言われています。
脳性まひ
「脳性まひ」とは、妊娠中から生後4週間の赤ちゃんに起こった脳の損傷のことです。
妊娠中から、出産後に何らかの原因で脳に受けたダメージが原因で運動障害が起こります。
それが原因で体を動かす機能がまひしてしまい、ハイハイなど遅れがみられます。
脳性まひ、てんかん、知的障害の3つが合併することもあります。
二次障害
知的障害の人に多くみられる二次障害として、うつ病や不安障害などがあります。
これらは、自分が周りの子どもと違うことに気づいた時や、障害のために中傷や虐待をうけた場合に特に多くなります。
また、苦手なことを注意されたり、叱られたりすることで自己肯定感が下がり、うつ病になってしまうこともあります。
二次障害を防ぐためにも、早めに障害に気づき、対応やサポートをすることが大切になります。
知的障害の治療法は?
現在、知的障害に対しての直接的な治療法は確立されていません。
しかし、早目の対応やサポートによって改善することができると言われています。
例えば、本人にとっていい環境を選んだり、本人にあったサポートを受けられるような学校を選んだりすれば、生きづらさを感じることも少なく、成長を促すことができるかもしれません。
知的障害の人への支援
知的障害の子どもにとって最善なのは、さまざまな職種で構成されたチームによる支援を受けることです。
- かかりつけ医
- ソーシャルワーカー
- 言語療法士
- 作業療法士
- 理学療法士
- 神経科医、もしくは発達を専門とする小児科医
- 心理士
- 栄養士
- 教師
- 整形外科医
知的障害の疑いが生じたら、できるだけ早く子どもに合わせた包括的な療育プログラムを作成しましょう。
また、親や兄弟姉妹にも精神的な支援が必要です。
家族全員が療育計画に関与するようにしましょう。
どのような支援が必要かは、その子どもが得意なこと、苦手なこと全てを考慮します。
知的障害に加え、うつ病などの精神障害を伴っている場合は、適切な薬を投与することもあります。
知的障害の疑いを感じたら…
知的障害の原因はさまざまで、原因がわからないという人も多くいます。
軽度知的障害の方は、その症状が軽度のため大人になって初めて障害だと気が付いた方も少なくありません。
参考記事↓
知的障害とは?③ ~軽度知的障害の人が大人になって困ること~
そのため子どものころは常に生きづらさを感じ、つらい思いをしていた方も多くいると思います。
早目に気付くことができるように、子どもの行動など注意して見てみましょう。
知的障害が疑われた場合は、専門機関での診断をおすすめします。
専門機関とは、子どもの場合、各市区町村の保健センター、子育て支援センターなど。
大人の場合、生活支援センター、相談支援事業所を指します。
その人の必要に応じた支援やサービスを受けたり、仕事や娯楽に参加する機会なども提供されるため、早めに相談してみましょう。
参考:
MSDマニュアル家庭版,知的能力障害, Stephen Brian Sulkes, 2018年 8月