「統合失調症」という病気の名前を聞いたことはありますか?
病名は知っていても実際どんな病気なのか?
知らない方も多いのでないでしょうか。
統合失調症は、100人に一人が発症するとも言われている身近な病気です。
しかし、なぜ統合失調症は起こり、どのような経過をたどるのか?
知っているようで、実はあまり知られていないのが統合失調症です。
「統合失調症ってどんな病気?」では、統合失調症の全体図から、症状、治療などについて詳しく解説していきます。
第6回は、「患者さんは病識がないことが多い」の続き、「統合失調症の特徴的な症状」についてみていきます。
統合失調症の特徴的な症状
基本的な症状は3つ
前回までは、統合失調症の前段階「前駆期」の症状をみてましたが、ここからは、発症後に起こる症状について詳しくみていきましょう。
統合失調症では、実にさまざまな症状が現れますが、基本的な症状は、
- 陽性症状
- 陰性症状
- 認知機能障害
の3つに大きく分けて考えられています。
中でも、陽性症状は急性期の中心的な症状で、本来はなかった精神状態が現れるという意味から、「陽性」と呼ばれています。
- 幻覚
- 妄想
- 支離滅裂な話
- 奇異な行動
- 興奮
- 昏迷<
- 暴力性や攻撃性
など、いわゆる統合失調症を象徴するような症状は、陽性症状に分類されます。
これらの症状は、脳の活動が過敏になった結果生じているもので、薬によって比較的コントロール力しやすい症状でもあります。
陰性症状は、休息期から回復期にかけて多くみられる症状で、陽性症状とは逆に、本来あるはずの精神活動が失われるとい意味から「陰性」と呼ばれています。
主な症状には、
- 感情の平板化
- 意欲や自主性の低下
- 集中力や持続力の低下
- 社会的引きこもり
などがあり、これらの陰性症状は薬物治療が効きにくく、重症化するケースや、数年単位で長引くケースが少なくありません。
そしてもう1つ、認知機能障害も、統合失調症の中核的な症状として重要視されています。
認知機能障害とは、
- 記憶力
- 判断力
- 思考力
- 理解力
- 問題解決能力などの知的な能力
などのことをいいます。
統合失調症では、これらの認知能力の低下によって、日常生活や社会活動に困難をもたらすことがあります。
以上3つの症状について、次回は具体的な例を交えてさらに詳しくみていきます。
次回、「急性期に多くみられる『陽性症状』…幻覚・妄想」へ続く