緘黙症(かんもくしょう)というのを聞いたことがありますか?
緘黙症の発症は、子どもに多いようですが、人見知り、恥ずかしがりやなどと区別がつきにくいかもしれません。
緘黙症は大人になれば治るとも言われていましたが、放っておくことで別の疾患を発症することもあるようです。
緘黙症とは?
緘黙症とは、特定の場面などで話せなくなってしまう疾患です。
言語能力や発声器官などに問題はありません。
緘黙症は学校へ通い始める頃までに発症することが多いようです。
成長とともに緘黙症は改善されると言われていましたが、大人になっても症状が続く場合も少なくありません。
発症の割合は、1000人に2~3人と言われていて、女の子より男の子に多く見られます。
また、緘黙症は不安障害の一種とされています。
緘黙症には場面緘黙症と全緘黙症の2種類があります。
場面緘黙症
ある特定の場面で話すことが出来なくなってしまいます。
例えば、子どもの場合、家庭では元気に話をするのに学校などの公の場では話せなくなってしまうことがあるようです。
全緘黙症
どの場面においても話すことが出来なくなってしまいます。

緘黙症の主な特徴
- 表情の変化が乏しい
- 反応が遅い
- 非言語的な対応がニガテ
- 内向的
- 感覚が過敏
など
緘黙症の人に多い性格として、大人しく、恥ずかしがりやが挙げられます。
緘黙症の原因は?
緘黙症の原因として、以下のものが考えられます。
- 入学、転校、引っ越しなどの環境の変化
- 怪我や病気、いじめなど怖い思い、つらい思いをした経験
- 言葉の問題
など
言葉の問題としては、地域による方言、訛りや、バイリンガル環境にある子どもは、コミュニケーションが難しいと感じることがあり、緘黙症になることがあるようです。
緘黙症に早めの対応をするべき理由
緘黙症には早期の対応が大切と言われています。
子どものころの緘黙に対応しなかったことで、大人になってから別の疾患にかかってしまうこともあると言われています。
きちんとした治療を行なうことで、症状の改善ができると言われています。


緘黙症の本人は、何がきっかけで話せなくなっているのかわかりません。
そのため、話すように強要することはよくありません。
それがプレッシャーとなり、症状が悪化してしまうこともあります。
「話したくても話せない」ということを家族や周りの人が理解し、適切なサポートしていくことが重要です。
病院にかかる場合、心療内科や精神科に行けば診てもらうことができます。
治療法としては、主に認知行動療法と薬物療法が行なわれます。
認知行動療法
認知行動療法をすることで、話すことへの不安や恐怖を取り除いていきます。
どんなことに不安や恐怖を感じているのか、また、現実とのギャップを明らかにして、認知の偏りを少しずつ修正していきます。
薬物療法
不安や恐怖、緊張をやわらげる作用のあるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬や、抗不安薬が使われます。
緘黙症のまとめ
緘黙症とは、ある特定の場面または、すべての場面において、「話したくても話せない」状態になってしまうことです。
原因としては、強いストレスや不安、恐怖があることが考えられるため、緘黙症の治療には認知行動療法や薬物療法が主に行われます。
「話す」ように強要することは本人にとってプレッシャーになり、症状の改善には繋がりません。
「話したくても話せない」ということを周りの人もきちんと理解し、サポートしていく必要があります。