日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第26回は、「よりよい自己表現を生み出すためには…『会話を増やす』」の続き、「よりよい自己表現を生み出すためには…『社交的な会話のコツ』と『DESC法』」を解説していきます。
目次
よりよい自己表現を生み出すためには
表現には、言葉や言い方といった言語的なものと、表情や態度といった非言語的なものがあります。
両者を組み合わせながら、自分が表現したいことを、その時の状況に応じて適切につかえるようになりましょう。
社交的な会話にはコツがある
宴会やコンパ、食事やパーティーなどの会話には、人間関係をつくったり関係を維持したりする意味がありますが、「人付き合いのためのアサーション」、「日常会話でのアサーション」とも言えるので積極的に参加したいものです。
司会がいなかったり、話題が決まっていない会話は困ることが多いかもしれませんが、ポイントとなるのは3点です。
- どのように始めたらよいか(スムーズな会話の始め方)
- どんな風に続けて場の雰囲気を保つか(話がはずむ会話の続け方)
- どんな風に終わったり、別れたりすればよいか(次に繋がる話の終わらせ方)
社交的な会話が不得意な人は、まず3つのポイントを意識して取り組んでみてください。
① どのように始めたらいいか(スムーズな会話の始め方)
会話のコツは、「上手に質問をすること」です、
お互いの自己紹介のあとは、相手に質問してみましょう。
そうすると、相手から何かしらの答えが返ってくるので、会話が続きやすくなります。
ここで大切なのは、「どんな質問をするか」です。
質問は、あなた自身が感心のあることだと会話が続けやすくなるためおススメです。
さらに加えたいのが「相手が得意なこと」「相手が興味を持っていること」です。
相手は「自分に関心をもってもらえた」と感じますし、話したいことがどんどん出てくるでしょう。
会話に加わる時は引っ込み思案にならず、身を乗り出して声を大き目にして話しかけてみてください。
人が多い時は声が聞こえないこともあるので、一度話しかけて返事がこなくても、くじけないで再度話しかけてみてください。
他の人と話が弾んでいるようなら、話が途切れるタイミングを見計らうことも必要でしょう。
- 挨拶をする
- 自己紹介をする
- 質問をする
- 相手の名前を聞き、口に出してみる
- 自分の意見を言う
…など
② どんな風に続けて場の雰囲気を保つか(話がはずむ会話の続け方)
会話を続けるコツは、常に話がリフレッシュされるように、新鮮な内容を加えるよう心掛けることです。
自分の知っていることや、相手に詳しく質問したりして、話題を膨らませましょう。
お互いの気持ちが一致すると楽しいですが、時には反対の意見など、様々な見方が出ることも豊かな会話を作ります。
話題を変更する時は、話が一段落した間を狙いましょう。
「ところで話は変わりますが…」などの「話が変わる」前置きの合図を入れると、その一言で相手もスムーズに話題に入りやすくなります。
- 相手にさらに質問して話を膨らませる
- 自分の知っている情報を提供する
- 時には相手とは異なる意見を提案し視点を変える
- 話題を変える時には、そのことを相手に伝えてから
…など
③ どんな風に終わったり、別れたりすればよいか(次に繋がる話の終わらせ方)
いつまでも場を去ることができなかったり、ずっと同じ人と話をしていると、次の行動に移るのに手間取る人も多いと思います。
相手と別れたくないか、これで関係が切れてしまわないように…という気持ちの表れかもしれませんが、いつまでもそうしていられない場合もあります。
そういう時は、
「残念ですが今日はこれまでにしましょう」
など、関係をつなぐ言葉を添えて、アサーティブに別れの言葉を使いましょう。
上手に切り替えて、余韻を残す方が、また会いたいという気持ちになるものです。
DESC法 ~セリフを組み立てて問題解決の準備~
DESC法は、「問題解決のためのアサーション」とも呼ばれていて、ステップを踏んだセリフを前もって組み立てておくのが特徴です。
この方法は、会議の場や話し合いで何かを決めたり、課題を達成したい、という場合に役立ちます。
その他に、
- 言うのが難しいことを話す時
- 何と言えばいいか迷う時
- 話が複雑でキチンと整理する必要がある時
- 自分の気持ちや考えを明確にしてから話す必要がある時
上記のような状況にも有効です。
それでは、具体的な例を見ていきましょう。
【Describe】描写する
自分が対応しようとする状況や相手の行動を客観的に描写する。
具体的な事実を確認するようにして、意図や態度などの主観的な内容は含みません。
この場所は喫煙所に近いのでタバコの煙が流れてきますね。
【Express】表現する
「D」で描いた事柄や言動に対する自分の感情、気持ち、あるいは相手の気持ちに共感して表現する。
相手に感情をぶつけるのではなく、「私メッセージ」で表現しましょう。
【Specify】明確に提案する
「D」、「E」を受けて提案します。
自分から特定の提案をして、お互いの行動、解決策、妥協案などを具体的に、かつ、実行しやすい小さなことを提案するのがおススメです。
【Choose】選択する
「S」を受けた相手の反応を予測して、相手が同意した時と、同意しなかった時の結果を選択するセリフを考えます。
NOの場合…では私は今日はここで失礼します。
自分の気持ちや考え方が伝わりやすいセリフづくり
上記のステップにそってセリフを考えたら、状況によってセリフの順番を変えて述べることもできます。
共通の作業をしている人同士なら、E「表現する」からでも大丈夫ですし、日常的に同じ課題に取り組んでる人が相手いなら、いきなりS「明確に提案する」を言っても分かるでしょう。
逆にお互いが知らない人同士の時や、新しい状況に出会った時は、D「描写する」がとても重要になります。
こちらのDESCに対して、相手が肯定するとが限らないため、S「明確に提案する」を何通りか考えると、Cで役立ちます。
「D」と「E」の区別に注意
D「描写する」と、E「表現する」の違いは分かりにくいかもしれません。
まずDでは誰もが認めることができるか、ある程度客観的な事実を主観を交えず描写するようにしてください。
例えば、
というセリフには、DとEが混ざっています。
これを、
「どうなっているか心配です」(E)
こうすると、DとEが明確で分かりやすく、Sの提案も具体的になります。
このように、Dではお互いの共通基盤を作り、Eでは自分の気持ちを正直に率直に伝えることが大切です。
DESC法は、状況を確認した上で自分の責任で提案を行う、アサーションの基本です。
DESC法を繰り返し練習すると、アサーションが身についてくるので、是非挑戦してみてください。
次回、「『言葉以外のアサーション』と『気をつけたい言葉』」、へ続く