日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…
このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。
こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。
お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?
第27回は、「よりよい自己表現を生み出すためには…『社交的な会話のコツ』と『DESC法』」の続き、「よりよい自己表現を生み出すためには…『言葉以外のアサーション』と『気をつけたい言葉』」を解説していきます。
目次
よりよい自己表現を生み出すためには
表現には、言葉や言い方といった言語的なものと、表情や態度といった非言語的なものがあります。
両者を組み合わせながら、自分が表現したいことを、その時の状況に応じて適切につかえるようになりましょう。
言葉以外(非言語)のアサーション
私たちの表現は非常に幅広いものですが、ここでは見えるもの、聞こえるものに注目してみましょう。
どの表現も、使い方によって非主張的にも、攻撃的にも、アサーティブにもなります。
言葉以外の表現にも気を配ってみてください。
【視線】目は口ほどにものを言う…強い表現力
視線はアサーションで重要な役割を持っています。
非主張的な表現では、人と視線を合わせなかったり、下を向きがちになり、目をそらせたり、上目遣いに見たりします。
ただし、相手の目を見続けることは、攻撃的ととられかねません。
時々、相手の目を見たり、口元に視線をうつすなどで相手を確認しながら話すと、相手に関心をもっていることが伝わりやすいです。
【表情】表情と言葉が一致していると気持ちが伝わる
表情も多くを伝えるので、鏡で自分の表情をチェックしてみましょう。
私たちは、時に笑顔やほほ笑みを絶やさないことは良い事だと思い込んで、腹が立ったり、同意できない時にも笑顔になったりしますが、これでは伝えたいことが伝わらなかったり、引きつった笑顔になることがあります。
一度に2つの事を伝えるのは難しい上に、混乱を招きがちなので注意しましょう。
【姿勢】体の姿勢は心の姿勢を表現する…?
姿勢もコミュニケーションの中では重要な役割を持っています。
例えば、下を向いて背中を丸めている姿だと、非主張的に見えたり、落胆した様子が想像されます。
逆に自分を大きく見せるように胸をそらした姿勢は、相手に攻撃的な印象を与えます。
身体は心を伝えるもの。
姿勢にも注意しましょう。
【手・腕】置く位置や動きで気持ちを表現
手や腕を口元に当てていると、考えているようなイメージを与えますが、自由に動かして話すと活発な印象になります。
手は、具体的なものを宙に描くために使ったり、感情を表現するためにも使います。
例えば、腹が立った時のげんこつ。
人と思いやる時、肩に手をかけるなどは、気持ちを豊かに表現します。
手や腕もアサーションな表現をしましょう。
【服装】相手に与える印象が変わる
服装も自己表現の一つです。
洋服の種類やスタイルによって、相手に与える印象が全く違うことは、誰もが一度は経験があるのではないでしょうか。
例えば、着るがビシッとしまったら、気分が変わって積極的になれたりしますよね。
逆に気分が落ち込んでいたり、晴れなかったりすると、着るものにまで気を配れなくなることもあるでしょう。
日本では、就職活動でスーツを着ることが常識とされているなど、時と場合に応じたマナーを表すこともあります。
意識して服装も自己表現に取り入れましょう。
【距離】無意識に活用しているかも…?
人との距離もアサーションでは意味を持っています。
人にどれだけ近づけるかは個人差もありますが、あなたが近づく動作であなたの気持ちが表現される場合があります。
非主張的な人のn場合、人との距離をおくことや、おずおずと近づく動作で示されます。
まあ、相手に急に近づく動作は、親密さを表現することもあれば、攻撃的に受け取られる場合もあるので注意しましょう。
【声】ハッキリした声、優しい声…メッセージに合わせて表現
言語以外でアサーションに最も大きな役割を持つのが声です。
非主張的な人は小さな声で話す傾向があり、大きすぎる声は攻撃的な印象を与えます。
声の大きさや話す早さ、話し方は、その時の心境を表現します。
また、「あの~」「えーっと」「その…」などの余計な声が多すぎたり、言い訳がましい前置きをすると、アサーティブに聞こえなくなります。
「気にしないで欲しいんですが…」「私が間違っているかもしれませんが…」「大したことではないんですが…」などは、「無視してもいいですよ」と言っているようにも聞こえるので注意が必要です。
そうならないためにも、前もって話す内容をいろいろと考えておくのも良いでしょう。
文化的な要素が大きい非言語のアサーション
非言語のアサーションを考える時、文化の違いは外せないポイントです。
例えば、初対面の握手。
アメリカでは力を入れてぎゅっと強く握るのが親しみの表現だと考えます。
しかし、日本では柔らかく握ることが多いため、アメリカ人からは「自分に関心がないんだな」と誤解されがちです。
国や地域、組織風土、家庭によっても異なりますが、非言語の表現方法は人々が長い間かけて、その人たちにふさわしいやり方として作り上げてきたものです。
たとえ自分にとっては不自然だと感じても、当人たちには自然なものだ、ということを理解しましょう。
文化の違いを認め合うこともアサーションなのです。
アサーションで気をつけたい言葉
アサーティブであることを心がける時、注意が必要な言葉がいくつかあります。
そうした言葉には一定のパターンがあるので、それを知って誤解を招かないようにしましょう。
相手を責める「なぜ?」「どうして?」
相手の行動や態度について、その意図や理由を知りたい時、私たちは「(なぜ)そんなことを言ったの?」、「(どうして)言うことが聞けないのよ?」というように、理由をきいているようでありながらも、相手を責めるような言い方をしていることがあります。
誤解を招かないようにするために、この辺りの言葉づかいにも注意が必要です。
例えば、「(意図、いきさつについて)知りたいので聞かせてください」と言えば、相手も答えやすいでしょう。
もちろん、口調や表情が相手を責める感じにならないよう、気をつけることも大切です。
次に気をつけたいのは、
「当たり前」
「…はずだ」
です。
例えば、
「そんなこと知ってるのは当たり前だ」
「その記憶は間違っているはずだ」
などの言葉ですが、これらの表現には恐らく、
「相手を思い通りに動かしたい」
「言い分を通したい」
というような攻撃的な思いがあるのではないでしょうか。
あなたの意見が必ずしも正しいとは限らないのに、相手に当然だと思われることで、自分の言い分を通すことになりかねません。
このような言い方は攻撃的に聞こえるので使わない方が賢明でしょう。
次回、「言葉のの内容と態度・行動を一致させる」、へ続く