突然ですが、あなたにとって「幸せ」とはなんですか?
- お金持ちになること
- 玉の輿にのること
- 幸せな結婚をして子供を育てること
- 大きな会社に入って安定した職があること
- 商売やスポーツで大成功して有名になること
これらの目的は達成すると嬉しいものです。
しかし、「自己肯定感」が低いと、これらの目的を達成しても幸せを感じられません。
一次的には嬉しいかもしれませんが、喜びが長続きしないのです。
「自己肯定感を高めて人生をもっと楽に!」では、自己肯定感とうまく付き合う方法を身につけ、幸せな毎日を過ごすための方法をご紹介していきます。
第20回は、「【自己決定感】…結婚か昇進か、自分がわからない!」の続き、「【自己有用感】…自分は何かの役に立っているという感覚」を解説していきます。
【自己有用感】…自分は何かの役に立っているという感覚
ほんの一言の声かけで、気持ちが楽になったり、ぽっと暖かい気持ちになったりする経験は誰でもあるのではないでしょうか。
職場での「お疲れ様です」「おはようございます」といった挨拶も、定型化していたとしても、ささやかな一体感を生み出します。
また、「ありがとう」と言われると嬉しいのは、自分が誰かの役に立てたと実感するからです。
「自己有用感」とは、周囲の人や社会とのつながりの中で、自分が役に立てているという感覚です。
自己有用感は、「自己肯定感の木」に例えると「実」にあたります。
というのも、自己有用感と自己肯定感は、密接に関係しているからです。
自己有用感があると、「自分にYES」ということができ、自己肯定感が高まり、気持ちが安定し、相手にもYESを出せます。
相手が喜んだ顔を見て、こちらも嬉しくなり、「相手を喜ばせることができた」という「自己有用感」が得られ、さらに自己肯定感が高まるのです。
自己有用感はビジネスの現場でもうまく活用されています。
例えば、ディズニーランドやスターバックスなど、アルバイトがとても優れた働きを見せている組織では、必ず現場で働く人同士が褒め合う仕組みが導入されているそうです。
一般的な企業での表彰制度は、上司から部下いぇ「よくやった」と褒める形が多いですが、ディズニーランドやスターバックスでは、現場のキャストやアルバイトが、お互いを褒め合い、さらに評価が高い人が表彰されます。
ディズニーランドの場合、キャスト一人ひとりに渡された投票用紙に「すべてのゲストにハピネスを提供している」と思う、ナンバーワンのキャストの名前と、その人のいいところを書いて投票し、得票数の多い人がMVPとして表彰されます。
一緒に働いているキャストは、誰がお客様のためになる本当のサービスを提供しているか知っているため、当然、上司の前だけ良い顔をしているタイプは、真っ先に評価対象外になります。
このような仕組みがあると、現場の人たちはお互いが自己有用感を実感しながら働くことができるため、当然、お客様も気持ちのいいサービスを受けることができて、自然と「ありがとう」の声が出ます。
それを受けた現場の人たちの自己有用感、自己肯定感はますます高まって、良いサービスに磨きがかかる、という好循環が生まれます。
自己有用感が高まると、自分は社会の一員であり、自分の存在は社会の役に立っているという安心感が湧いてきます。
そして、自分という存在は、人の役に立てる人間なんだと、「自分にYES」と言えるわけです。
誰かに「ありがとう!」と笑顔でいい、誰かから「ありがとう!」と言われることは、自己有用感を生み出す魔法の言葉なのです。
自分のためだけだけでは頑張れない?
一方で、私たちは自己有用感が低い状態になると、物事を諦めやすくなってしまいます。
なぜなら、人は自分のためだけに頑張ることが極端に苦手だからです。
私たちの祖先は、集団で狩りをしたり、作物を作ったりして生き抜いてきたため、そのころの記憶は失われても、集団の中で役立つ喜びは本能に深く根差しているのです。
そのため、私たちは誰にも期待されていない状態では力を発揮することができずに、サボったり、継続力も発揮できません。
反対に、誰かの役に立っていると実感できる環境では、多少負担が大きくても頑張れてしまうのです。
他人のために喜べるのは人間の特権です。
このように、自己有用感の重要性は、最新の調査データでも裏付けられていて、2012年に行われた内閣府の調査によると、「自己有用感が低いと現在の幸福度が低い」という調査結果が出ています。
また、ハーバード大学が長きに渡り「幸福」に関する調査を行ったところ、「幸福度が高い人は、人間関係が良好」という結果が出ています。
人間関係が良好であれば、自己有用感を実感することができ、自己肯定感が上昇し幸福度が高くなる、というわけです。
逆に、人間関係に問題を抱えて、人付き合いが希薄になると、自己有用感が得られないため、幸福度も低くなります。
次回、「【自己有用感】…自分は何かの役に立っているという感覚」へ続く