うつ病になる人は年々増えていると言われており、厚生労労働省の調査では、日本の潜在的なうつ病患者の人数は600万人を超えると言われています。
うつ病患者の中でも、最近増え始めていると言われているのが「非定型うつ病」と呼ばれるニュータイプのうつ病です。
「非定型うつ病ってどんな病気?」では、専門家でも理解が不十分とも言われている「非定型うつ病」とは、どんな病気なのか?その症状や治療法などを紹介していきます。
第44回は、「非定型うつ病 回復のポイント ② 仕事を休むのがベストとは限らない」の続き、「定型うつ病 回復のポイント ③ 体を動かす」をみていきます。
目次
非定型うつ病 回復のポイント ③ 体を動かす
非定型うつ病の人は疲れやすく、体を動かすのも億劫なため、運動不足が加速し、病気にも悪影響を及ぼします。
これを解消するには掃除がピッタリ。
体だけでなく、心にも良い影響があります。
軽い有酸素運動は、脳を活性化し疲労をとる
非定型うつ病は、別名「疲労病」ともいわれるほど、非常に疲れやすくなる病気です。
鉛様麻痺が加われば、体を動かすことすら億劫で、横になっているしかない、という状態になることもあります。
当然、運動不足が加速します。
しかし、心の病気は、体と心の働きがアンバランスになって起こるもの。
体を動かさず、考えても仕方がないことをクヨクヨと思い悩んでいると、心と体のバランスは一層崩れて、病気が悪化してしまいます。
ある臨床研究では、薬だけの治療をしているうつ病患者と、ウォーキングなどのエクササイズを取り入れた治療を受けている患者を比べたところ、エクササイズをしている人の方が治りも早く、完全に治る確率も高いことが報告されています。
また、毎日ジョギングすると、薬と同じくらい効果があることがわかっています。
さらに、最近こういった運動による効果を裏付けるような研究報告が提出されています。
運動には、うつや不安と関係する悪玉セロトニン受容体を減らしたり、抗うつホルモンの産生を促す効果があるとされています。
さらに、うつ病の人の脳では情動にかかわる海馬の神経細胞が委縮しますが、運動をすると、海馬に新しい神経細胞が生まれることも、動物実験で明らかになっています。
運動することは、うつ病の人にとって大きな意味があるのですが、激しい運動は必要ありません、
無酸素運動(短距離走、相撲、バーベルを使った筋トレなど)のような強い負荷をかける運動は、疲労物資である乳酸を溜めてしまいます。(乳酸は運動不足になっても溜まります)
一方、適度な有酸素運動は、乳酸の蓄積を防ぐ効果があります。
ウォーキング、サイクリングなど、軽く汗をかく程度の運動を毎日続ける、というのが良いのです。
体にも心にもきく掃除のススメ
運動は毎日続けるのが効果的ですが、あらたまってやろうとすると難しいかもしれません。
そこで、はじめは日常の家事からはじめてみましょう。
思いのほか運動量がある、掃除が特におススメです。
まずは自分の部屋を片付けてみましょう。
気分が落ち込んでいると、人は片付けどころではなくなり、部屋も散らかし放題になっていきます。
部屋は、住む人の心を映し出すといわれています。
そういった荒れた状態を少しずつきれいにしていくことで、気持ちもスッキリさせていくことができます。
【掃除の効能】
●体を動かせる
掃除機をかけるついでに、床拭きもしてみると運動量がさらに上がります。また、体を動かす抗うつホルモンが分泌されます。
●家族から感謝される
自分の部屋だけでなく、家中の掃除をすれば家族からも感謝され、人間関係にも良い影響があらわれます。
●部屋が清潔になる
こざっぱりと住み心地が良いと、気持ちもすがすがしくなります。
●「いま」に心が向く
掃除に熱中しているうちは、将来のことを憂いたり、過去を悔やむことなく、いまを生きることを大切に思うようになります(マインドフルネス)。
次回、「定型うつ病 回復のポイント ④ 健康的な食行動」へ続く