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依存性パーソナリティ障害とは?② ~幼少期の母親の存在が大きく影響している!依存性パーソナリティ障害の原因と治療法~

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前回の記事↓
依存性パーソナリティ障害とは?① ~ひとりになったら生きていけない!常に人に依存してしまう依存性パーソナリティ障害、5つタイプとその特徴~

些細なことも自分で決めることができない「依存性パーソナリティ障害」

前回、5つのタイプに分けて特徴をまとめました。

  1. 自分の弱さをアピールするタイプ
  2. 相手に合わせるタイプ
  3. 子どもタイプ
  4. 自分がいないタイプ
  5. 自分の人生に無関心なタイプ

どのタイプも誰かに依存して、その人に決めてもらうことで、自分の人生の責任を取ってもらおうとします。

では、依存性パーソナリティ障害を発症してしまった原因やきっかけは一体なんなのでしょうか?

目次

依存性パーソナリティ障害の原因は?

依存性パーソナリティ障害の原因に関する情報はあまりありませんが、関わっている可能性がある因子がいくつかあります。

  • 文化的因子
  • 幼児期の否定的な体験
  • 不安になりやすい先天的傾向
  • 家族内で受け継がれる特性(服従性、自信のなさ、控えめな行動など)

これらの中で、依存性パーソナリティ障害の発症原因として、幼少期の生育環境が大きく関係していると考えられています。

幼少期の子どもにとって、母親の存在は大きなものです。

母親からの愛情や、世話をしてもらう、守ってもらうことなどは、子どもには必要なものです。

子どものころは、そんな母親に依存することで安心することができます。

健康な人であれば、母親から離れ徐々に自立することができますが、母親が過保護もしくや支配的であるとなかなか自立ができません。

少しでも困っていると手助けしたり、親が一番「正しい」と思うことを、子どもの気持ちに関係なく、知らず知らずに強要してしまうのです。

主体性を奪われ、親の強い支配のもとで育っているという点では、回避性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害とも同じです。

親に忠実すぎたのが強迫性パーソナリティ障害、親に潰されたのが回避性パーソナリティ障害、親に頼りすぎたのが依存性パーソナリティ障害です。

親としては、子どもの考えは未熟なので親が代わりに答えを出してやるのが賢明だと思っていますが、子どもはそうした子供時代を過ごすうちに、すぐ判断を親に求めたり、親の顔色を見るようになります。

やがて、親にすぐ判断を求め、少しでもできないと思うと人に頼るようになり、自分で主体的に判断し行動する能力が育たなくなってしまうのです。

本人も次第に「自分には能力がなく、一人では何もできない」と思い込んでしまいます。

また、家庭内暴力があったり、ネグレクト(育児放棄)親から十分な愛情を受けられなかったなどのことがあると、子どもは「本当に自分は受け入れられているのか」と疑問を感じてしまいます。

そのため、親の顔色をうかがったり、親の意向にあった自分を演じるようになってしまいます。

このように、親への不安感を感じている人は、誰かに依存して安心感を得ようとするのです。

依存性パーソナリティ障害の治療法は?

依存性パーソナリティ障害の治療には、主に精神療法が行なわれます。

依存性パーソナリティ障害の人は、うつ病などを発症してから自分が依存性パーソナリティ障害だと気付くことも少なくありません。

依存性パーソナリティ障害の治療にはまず、自分で自覚することが大切です。

そして自分の根底にある、寂しさや不安を開放していきましょう。

何に対してそのように感じたのか、その時の気持ちなどを書き出し、自分の普段の行動を振り返ってみます。

自分が何のためにそのような行動をとるのか、一度自分の気持ちを整理してみましょう。

そこから少しずつ自己主張ができるようになっていきましょう。

その他、行動療法集団療法家族療法なども効果が出ています。

また、不安やうつの症状が強いときには、抗不安薬抗うつ薬などを服用する薬物療法を行うこともあります。

しかし、依存性パーソナリティ障害は薬を服用するだけで治すことはできません。

精神療法と併用して治療していきましょう。

周囲の人の対応

依存性パーソナリティ障害の人は、人に判断を求めたり、対人的な折衝を他人に代わりにやってもらおうとしますが、そのような行為は、本人の判断力や臨機応変に対応する能力をますます低下させてしまいます。

このような傾向に気づいたら、できるだけ早い段階で、失敗してもいいので自分で判断したり、折衝するようにしむけることが大切です。

自分で決断するという訓練を積むことが解決に繋がります。

周囲の人は、訓練の機会を邪魔しないよう、手助けや親切をせず、一人でやり抜く体験を見守り、失敗を受け入れるくらいの度量を持ちましょう。

また、依存性パーソナリティ障害の人は、すぐ答えを求めたがる傾向があります。

その求めに応じて、答えを教えてしまうと、自分で考えることを次第にやめてしまって、何か困ったことがあると、他人を頼るようになってしまいます。

答えを言わず、できるだけ本人の気持ちを聞いてみましょう。

口に出して言うことにより、思考がより明確になり、自分の気持ちをハッキリさせることができます。

また、こちらと反対の意見を言えた時は、特に褒めてあげることも大切です。

依存性パーソナリティ障害の人は、相手の意見と異なることを言うと、嫌われたり対立するのではないかという恐れを抱いています。

せっかく芽を出した自己主張を尊重し、褒めて伸ばしましょう。

依存性パーソナリティ障害の人の克服ポイント

依存性パーソナリティ障害の人は、自分の意見を言ったり主張することを控える生活が長く続いたため、自己主張する能力自体が退化し、自分の気持ちや考えが曖昧だったり、薄まってしまっています。

そうなると、誰かのそばで、その人のいう通りに生きていくしかなくなってしまいます。

それでは、自分の人生なのに、自分の人生ではなくなってしまいます。

まず、日ごろから自分の気持ちを口に出す習慣をつけましょう。

「どっちでもいい」「同じでいい」「あなたが決めて」ではなく、自分の心に一つひとつ訊ね、本当はどうしたいのか、どう思っているのかを明確にして、自分で決めましょう。

自分が何を望んでいるのかがはっきりしなかったり、人任せだと、自分の人生がどこに向かっていくのか非常に危うくなってしまいます。

「自分の気持ちを口に出して言う」という些細なことの積み重ねが、人生を大きく変えていくと言えるでしょう。

依存性パーソナリティ障害まとめ

依存性パーソナリティ障害は、親に対する不安などから発症してしまうようです。

精神療法などの治療で改善が見込ますが、すぐに治るというわけではありません。

ゆっくりと治療を続けていきましょう。


参考:
パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか, 岡田尊司, PHP研究所,2004/5/31
依存性パーソナリティ障害(DPD),MSD マニュアル家庭版

 

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