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感情とうまく付き合うための処方箋【10】 【悲しみ】~「さようなら」の5ステップを知る~

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「現代ストレス社会」と言われる今。

ストレスフルな環境で働き続けるためには、自分で自分を守る工夫が必要です。

その工夫のキーワードが「感情」

「感情とうまく付き合うための処方箋」では、仕事で感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの「感情」を味方につけて、ストレスから自分を守る方法をご紹介します。

第10回は、「【悲しみ】~大切なのものを取り戻せるなら、行動しよう!~」の続き、「【悲しみ】~「さようなら」の5ステップを知る~」を解説していきます。

目次

【悲しみ】~「さようなら」の5ステップを知る~

前回は、失くしかけたものを取り返すための3ステップをご紹介しました。

しかし、取り返せる可能性がある場合ばかりではありません。

悲しみがあっという間に消えたり、解放されるような方法は、残念ながらありませんが、前に進むために役立つ方法はあります。

ドイツの精神科医キューブラー・ロスが、人は大切なものを失う経験をしたあと、どんなプロセルをたどるのか、「喪失の5段階」というプロセスを紹介しています。

リストラ、離婚をはじめ、こちらで挙げたような自分の理想・時間・価値観・可能性・評価や能力などが失われた場合も、似たようなプロセスをたどります。

この大事なものに「さようなら」するプロセスを進んでいくと、人は少しずつ前に進むことができるようになります。

それでは、「急な仕事の引継ぎ」の例をもとに、5つのプロセスを見てみましょう。

第1段階:【否認】…「認めたくない!」

初めは、「失ったことを認めたくない」という段階。

自分に起こったことが受け容れられず、「そんなはずはない」と否認します。

打ち込んできた仕事を急に引き継ぐように言われ、表面上は「わかりました」と言ったとしても、気持ちの面ではすぐに「はい、そうですか」と割り切ることはなかなかできません。

「なぜ?」
「どうして?」
「何かの間違いでは?」

これらの言葉が浮かんできたりします。

この段階は、感情にとってクッションのような役割を持っていて、いきなり事実を受け容れるにはショックが大きすぎるため、否認することで私たちを守ってくれていると言えます。

第2段階:【喪失の認識と怒り】…「なんでこんなことに!」

少しずつ「失くした」と認めざるをえなくなり、他者や社会に怒りの感情が出てくる段階。

打ち込んできた仕事を手放さなければならない状況に対して、

「なんで自分がこんな目にあわなければいけないんだ」

と、会社や上司に腹が立ってきます。

怒りから八つ当たりしてしまうこともありますが、周囲との関係が悪くなるため、他の方法をとれるようにしたいところです。

ちなみに、「怒り」が出てきたというのは、少しずつ「失った」ことを受け容れ始めたことの表れでもあります。

第3段階:【取引】…「そこをなんとか…!」

失ったものを取り戻すために、「もし、〇〇だとしたら…」と、あれこれ考える段階。

「これまで以上に一生懸命やります。だから元の仕事に戻してください!」
「言うことをもっと聞くので、後輩に引き継ぐのは待ってもらえませんか?」

など、失ったものを取り戻そうとして、頭の中でグルグルと考え続けたり、実際に周囲へ訴えかける場合もあります。

第4段階:【悲しみと引きこもり】…「やる気がしない…」

「なんとか取返せないか?」と、もがいて、取引の段階を過ぎると、

「いくらがんばっても、失ったものは戻ってこないんだ…」

と、失ったことと向き合う段階に入り、深い悲しみが訪れ、落ち込みます。

打ち込んできた仕事を最後までやり遂げられない、ということが少しずつ分かってきて、

「これまで一生懸命打ち込んできたのは何だったんだろう?」

と、意味を感じにくくなります。

結果、人付き合いする気力もなくなり、孤立しやすくなったりします。

第5段階:【受容】…「悲しいけれど、そろそろ次へ…」

1~4までのプロセスを行ったり来たりしながら、最後は失ったことを受け容れることができるようになります。

「やりたかった仕事にはもう戻れない」という事実を受け容れ、少しずつ次の仕事への気力が出てきます。


 
次回、【悲しみ】~「涙を流す」のは悲しみを癒すのに効果アリ~、へ続く



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