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発達障害の人と共に働くということ⑥ ~大人の発達障害の種類と特性【アスペルガー症候群】~

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会社のデスクの上や、その周りもゴチャゴチャ。

会議や打ち合わせには毎回遅れるし、何をやらせても段取りが悪く、同じミスを繰り返す…。

あなたの部下や同僚にそんな人はいませんか?

もしかしたら、その人は「発達障害」かもしれません。

「発達障害の人と共に働くこと」では、職場で発達障害の人と接する場合の対応策や、どのような工夫がされれば、当事者とその周囲の人たちが気持ちよく働けるかをまとめています。

第6回は、「大人の発達障害の種類と特性【ADHD】」の続き、「大人の発達障害の種類と特性【アスペルガー症候群】」を解説していきます。

目次

大人の発達障害の種類と特性【アスペルガー症候群】

知的障害を伴わないが、興味やコミュニケーションについて特異性がみられるのが「アスペルガー症候群」です。

特定の分野への強いこだわりがあり、軽度な運動機能障害がみられたりすることもありますが、自閉症にみられるような知的障害や言語障害はありません。

【社会性、対人関係の問題】人と親しくなる気がない

アスペルガー症候群の人は、深い人間関係を築くのが苦手で、親しい友人がなかなかできません。

ADHDの人も対人関係に関しては不器用なところがありますが、人と親しく関わりたいという気持ちはあるため、その点がアスペルガー症候群と異なります。

アスペルガー症候群の人は、そもそも人間関係を築くことに対して興味が薄く、友人ができずに孤立しても苦痛に感じないため、子どもの頃から一人遊びが多くなります。

人は成長するにつれて、人前でどう振る舞うべきか、人とどう接すればいいか、集団組織ではどのように行動すべきか、などを自然と身に着けていきます。

しかし、アスペルガー症候群の人は、社会常識や職場の上下関係などを理解できないところがあるため、本人に悪気はなくても、「わがまま」「非常識」「無神経」などと思われてしまうところがあります。

このような社会性が著しく欠けている傾向にあるのが、アスペルガー症候群です。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 友人ができにくい。
  • 話しているときの身振り、手振りの表現がとぼしい。
  • 会話中、あまり視線を合わせない。
  • 雰囲気や空気を読めず、場にそぐわない行動をする。
  • 暗黙のルールが分からない。
  • マナーやルール、社会常識を身につけていない。
  • 人と協調した行動をとらない。
  • 職場の上下関係や帰属意識が芽生えにくい。
  • 自分が間違っていても謝罪しない。

【コミュニケーションの問題】言葉のキャッチボールができない

自閉症の子どもには、言葉の遅れがみられる場合がありますが、アスペルガー症候群の子どもは、年齢に応じて話せるようになります。

ただし、言葉によるコミュニケーションは不得意なことが多く、自分の言いたいことだけ一方的に話し、相手の話には興味を持たないため、会話のキャッチボールが成立しません。

さらに、思ったことをそのまま口に出してしまうため、相手を不愉快にさせたり傷つけたりすることがあります。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 思ったことをそのまま言ってしまう。
  • 人の話を聞けない。
  • 相手に合わせた会話ができない。
  • 相手のしぐさ、表情から気持ちを汲み取れない。
  • 会話が形式的で同じ言葉の繰り返しや、独特な言い回しをする。
  • 話し方に抑揚がなく、会話の間がとれない。
  • 難しい言葉遣いをすることがある。
  • 話が回りくどく、細部にこだわる。
  • 話を止めることができない。
  • 話があちこち飛ぶ。
  • 社交辞令のニュアンスや、言葉の裏の意味を汲み取れない。
  • 冗談、皮肉、揶揄が通じないことがある。
  • 相手によって話し方や言葉遣いを変えるのが苦手。
  • 人の言葉をすぐ信じてしまう。

【想像力の問題】特定のことに興味があり執着する

アスペルガー症候群の人は、想像力の欠如のため、新しいことに対して強い不安や恐怖を感じます。

一方、自分が興味のあることには強いこだわりと関心があり、極端にのめり込む傾向があります。

この「過集中」と「こだわり」は、ADHDの人にもみられる傾向のひとつですが、アスペルガー症候群の場合は、それが特に顕著です。

それらがプラスに働けば集中力に繋がりますが、マイナスに出ると、こだわりに自らが縛られて、応用や融通が利かなくなります。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 趣味や話題が限られ、その範囲が極端に狭い。
  • 予定の変更、変化、想定外のことを極端に嫌う。
  • 自分のやり方にこだわり、妥協しない。
  • 特定の習慣、手順、規則、規律に強くこだわる。
  • 思考パターンが頑固で、柔軟な発想に欠ける。

【感覚過敏・鈍感の問題】五感の感覚のいずれか、または重複して異常がある

嗅覚、聴覚、味覚、視覚、触覚などが異常に敏感、または鈍感だったりします。

気圧や気温の変化に敏感な人もいます。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 人から触られることや、衣服のタグなど、触覚が異常に敏感。
  • 味覚、臭覚が敏感なため、食べ物の好き嫌いが激しい。
  • 雑音が気になり、特定の音を極端に嫌ったり、反対に好んだりする。
  • 痛覚が鈍く、自傷行為を繰り返すことがある。
  • 花火の音、運動会のピストルの音、周囲の騒音など、大きな音でパニック状態になることがある。
  • 大声で話されることが苦手。
  • 騒がしいところでハイテンションになる、もしくは不機嫌になる。
  • 暑さや寒さに敏感、もしくは鈍感。
  • 自分の体が臭気を放っていても気づかない。

【協調運動が不得意】縄跳びが苦手、靴紐がうまく結べない

体の各部を一つの運動にまとめる「協調運動」が苦手で、スポーツや手先を使う作業などが苦手なことがあります。

このような不器用さは、協調運動の中枢である小脳から大脳の基底核の発育、発達に原因があると考えられています。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 縄跳びやキャッチボール、器械体操などが苦手。
  • 走ったり歩いたりするフォームが独特で、動きがぎこちない。
  • 箸やハサミを使ったり、折り紙、靴紐むずびなどが苦手。
  • 文字を書いたりすることが苦手。

 
次回、「大人の発達障害の種類と特性【ADHDとアスペルガー症候群の違い】」へ続く


 

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