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緘黙症とは? ~話したくても話せない…!緘黙症の特徴と原因、治療法~

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緘黙症(かんもくしょう)という言葉を聞いたことはありますか?

緘黙(かんもく)の「緘」という字は、手紙に封をした上に書くこともあるように、「閉じる」という意味の言葉です。

つまり「緘黙」とは、「口を閉じて黙る」という意味になります。

そして、「緘黙症」とは、言語能力があるにもかかわらず、話せなくなってしまうことを指します。

今回は、そんな「緘黙症」について、詳しくみていきます。

目次

話したくても話せない…「緘黙症」とは?

緘黙症とは、

特定の場面などで話せなくなってしまう疾患。
言語能力や発生器官などには問題がありません。

緘黙症は、不安障害の一種とされています。

発症は幼児期に多いようですが、人見知り、恥ずかしがりや、などと区別がつきにくい場合があります。

緘黙症は、学校に通い始める頃までに発症することが多いと言われています。

成長と共に緘黙症は改善されると言われていましたが、大人になっても症状が続く場合も少なくありません。

また、放っておくと別の疾患を発症することもあります。

発症の割合は、1000人に2~3人と言われていて、男の子より女の子に多くみられます。

緘黙症には、場面緘黙症(選択性緘黙症とも言います)と全緘黙、2つの種類があります。

特定の場面で話すことができなくなる【場面緘黙症】

ある特定の場面で話すことができなくなるのが「場面緘黙症」です。

例えば、子どもの場合、家では元気に話ができるのに、保育園や幼稚園、学校などの「特定の状況」で、1か月以上、声を出して話すことができない状態が続くことを言います。

そのため、本来持っているさまざまな能力を、人前で十分に発揮することが難しくなってしまいます。

また、学校内の当番を理解していなかったり、トイレに行きたいなど、必要なことを教師に報告しないため、トラブルにつながることがあります。

人見知りや恥ずかしがりやとの違いは、

  • 「その場所で話せない状態が何か月、何年と長く続くこと」
  • 「リラックスできる場面でも話せない状態が続くこと」

です。

子どもが自分の意思でわざと話さないと誤解されることがありますが、それとは全く異なります。

どの場面でも話すことができない【全緘黙】

家庭を含む、全ての生活場面で話せなくなる状態「全緘黙」と言います。

全緘黙の場合は、器質的原因によって、言語能力自体が損なわれている場合も考えられます。

また、ショックな出来事を経験して、急に全緘黙になった場合は「トラウマ性緘黙」といい、急性のストレス障害であるため、場面緘黙とは異なります。

場面緘黙、全緘黙ともに、本人は話したいと思っているのに話せなってしまうのが特徴です。

緘黙症の主な特徴

まったく声を出さない状態や小さな声では話す、首を振って意思を示す、特定の限られた人となら話す、など状態や程度はさまざまです。

一般的には以下のような特徴が多くみられます。

  • 表情の変化がとぼしい
  • 反応が遅く、動作が緩慢になる
  • 内向的で他者との関わりを避けようとする
  • 感覚が過敏
  • 非言語的な対応が苦手
  • 話をさせられることを求めると一層頑なに話をしなくなる
  • 家庭外では対人的緊張が強い
  • 自己主張をせず、目立たないようにしている
  • 学校は休まず、毎日登校する

など。

緘黙症の人に多い性格として、大人しく、恥ずかしがりや、などが挙げられます。

緘黙症の原因は?

緘黙症の原因としては、以下のものが考えられています。

  • 入学、転校、引越などの環境的変化
  • ケガや病気、いじめなどの怖い思い、ツラい思いをした経験
  • 言葉の問題 ※1
  • 親が恥ずかしがりや、社会的に孤立している、否定的感情、行動抑制などの気質要因
  • など。

    ※1の言葉の問題として、地域による方言、訛り、バイリンガル環境にある子どもは、コミュニケーションが難しいと感じることがあり、緘黙症になることがあるようです。

    緘黙症を早めに対応すべき理由とは

    緘黙症には、早期の対応が大切だと言われています。

    子どものころに緘黙に対応しなかったため、大人になってから別の疾患にかかってしまうこともあると言われています。

    緘黙症の子どもは、おとなしい子が多く、目立つ問題行動がないため、支援が受けにくい上に、見過ごされがちです。

    そのため、適切な支援がなされず成長すると、症状の改善が遅れるだけでなく、うつやその他の不安症状、人間不信や不登校など、二次的な問題が生じやすくなってしまいます。

    今まで、緘黙は自然に治ると考えられていましたが、早期にきちんとした治療を行うことで、症状の改善ができると言われています。

    本人は、何がきっかけで話せなくなってしまったのか原因が分かりません。

    そのため、話すように強要することはよくありません。

    無理に話させようとすることがプレッシャーとなり、ますます症状が悪化してしまうこともあります。

    「話したくても話せない」
    「話せないことを責めない」
    「話すことを急かさない」

    これらを家族や周囲の人がきちんと理解し、適切なサポートを続けていくことが重要です。

    根底にある本人の不安を理解してあげてください。

    病院にかかる場合は、心療内科や精神科に行けば診てもらうことができます。

    治療法としては、主に認知行動療法薬物療法が行われます。

    緘黙症の治療法

    認知行動療法

    自分のものの考え方や行動のクセを認識し、考え方の歪みを整えていくことでストレスを軽減する治療法が認知行動療法です。

    認知行動療法を行うことで、話すことへの不安や恐怖を取り除いていきます。

    どんなことに不安や恐怖を感じているのか、また、現実とのギャップを明らかにして、認知の偏りを少しずつ修正していきます。

    薬物療法

    緘黙症自体を治すものではありませんが、不安や恐怖、緊張をやわらげる作用のあるSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)などの抗うつ薬や、抗不安薬が使われることがあります。

    ただし、子どもへの投与に関しては副作用や効き方が大人と比べて強く出ることもあるため、医師とよく相談することをお勧めします。

    緘黙症まとめ

    緘黙症は、ある特定の場面または、すべての場面において、「話したくても話せない」状態になってしまうことです。

    原因としては、強いストレスや不安、恐怖があることが考えられるため、緘黙症の治療には認知行動療法や薬物療法が主に行われます。

    「話す」ように強要することは本人にとってプレッシャーになり、症状の改善には繋がりません。

    「話したくても話せない」ということを周りの人もきちんと理解し、サポートしていく必要があります。


    参考:
    あなたの隣の話さない人-緘黙(かんもく)って何?-[改訂版] Kindle版, 北野慶, Amazon Services International, Inc., 2014/9/25

     

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