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自分も相手も大切に…アサーションで自己表現!【23】 ~「常識」とアサーションの関係を見直す…日頃の考え方<常識>チェック~

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日々の生活の中でこんな気持ちになったことはありませんか?

自分の都合があるのに、突然の誘いを断われない…
自分が正しいと思うことは、なんと言われても変えられない…
商品を間違えられても、変えてもらうことができない…
自分の意見を通すために、人の気持ちを配慮できない…

このような状況が続くと、心の中に不満が溜まったり、周囲と関係が悪化してしまうなど、結果的にあなたの生活の質を下げてしまいます。

こうしたトラブルを解決し、より爽やかに生きるための方法が「アサーション」です。

お互いにとって心地いい関係を作るために「アサーション」を学んでみませんか?

第23回は、「アサーションは人間の基本的権利!」の続き、「『常識』とアサーションの関係を見直す…日頃の考え方<常識>チェック」を解説していきます。

目次

『常識』とアサーションの関係を見直す

アサーティブな言動をするためには、日頃の物の考え方や常識、信じているものなどが影響します。

適切なアサーションをするために、日常の考え方を見直してみましょう。

次の質問で、あなたの考え方を調べてみてください。

日頃の考え方<常識>チェック

次の10個の文を読んで、あなたの日頃の考え方と、どの程度一致しているか答え、□の中に回答の数字を書いてください。

0…全く一致していない
1…あまり一致していない
2…どちらとも言えない
3…かなり一致している
4…全く一致している
1.自分のすることは誰からも認められなければならない
2.人は常に有能で、成績を上げなければならない
人の行いを改めさせるには、かなりの時間とエネルギーを費やさなければならない
4.人を傷つけることは非常に悪いことだ
5.危険や害がありそうなときは、深刻に心配するものだ
6.人は誰からも好かれなくてはならない
7.どんな仕事でも、やるからには十分に、完全にやらなければならない
8.人が失敗したり、愚かなことをした時、頭にくるのは当然だ
9.人が間違いや悪いことをしたら、非難すべきだ
10.危険が起こりそうなとき、心配すればそれを避けたり被害を軽くできる

非現実的な思い込みについて知っておきたいこと

  • 自分では当たり前になっていてなかなか気づかない
  • 気がついてきちんと対応すれば少しずつ減らすことができる
  • 自分自身の行動をゆがめてしまい、悪循環の原因になる
  • 気づかないうちにもめごとの判断や評価をゆがめている
  • 気づいて対応すれば少しずつ減らすことができる
  • 減らすと考え方や行動が合理的になり、生きるのが楽になる
●1・6の点数が高い人…非現実的な思い込み① へ
●2・8の点数が高い人…非現実的な思い込み② へ
●3・8の点数が高い人…非現実的な思い込み③ へ
●4・9の点数が高い人…非現実的な思い込み④ へ
●5・10の点数が高い人…非現実的な思い込み⑤ へ

【非現実的な思い込み①】人は誰からも愛され、常に受け入れられなければならない

人は誰からもいつの愛されたいと望むものですが、それが「ねばならない」になると問題です。

このような考え方をしていると、人から嫌われないように自分の意見や希望は言わず、人に逆らわないように努力したり、揉め事を避けるようになります。

相手の気に入るような行動をとり、相手次第で自分の行動が変わってしまいます。

しかし、相手次第の行動をとっていると、自分のことは棚上げされてしまって、自分らしさが発揮できません。

そうならないためにも「自分以上でも以下でもない自分はこれだ」という自分で動き、その自分を好きになってもらいましょう。

好かれなかった場合、あなたらしさを嫌われているのであれば、をれを変えようとせずに、その人から好かれることをあきらめましょう。

自分が好き人に好かれることを目指す

この非現実的な思い込みを現実的にするには、

人に好かれるにこしたことはないけど、必ず好かれるとは限らない。
まして好かれなければならないことはない。

に変えることです。

今の自分を最大限発揮することを心がけて、

全ての人に好かれるにこしたことはないけど、とりあえず半分くらいの人、自分が好きな人に好きになってもらおう。

という辺りから始めてみましょう。

【非現実的な思い込み②】人は完璧を期すべきで間違えたり失敗してはならない

失敗して叱られた、遠回りしたなどの体験から「失敗恐怖」が生じ、重大事件のように思思い込んだ結果作られたもの。

この考え方をしている人は、致命的な失敗はほとんどないものの、いつも物事をきちんとしているべきで、人は常に最大限の能力を発揮し、よい成績を上げなければ求めてもらえない、と思っています。

そのため、失敗した自分や相手を責めますが、自分が責められるのは嫌なので、ますます完璧癖になってしまいます。

もちろん、人の命に関わるようなことは失敗を最大限、避けることは大切ですが、ささいなことでも同じように考えてしまいます。

完璧だけが人の評価を決めるわけではない

職場で成績を上げて上司に認められならないから指示通りに頑張る。

ですが、それだけだと自分のアイデアや工夫で楽しむ働き方はできません。

また、常に配慮が行き届いていなければならないと考えると、ちょっとした不注意や見逃しがいちいち気になり、取るに足らないことなのに一人で一大事のように悩むことになります。

失敗を減らして、なるべく良い成績を出そうとすることは良いことですが、常にそうできないこともあるため、自分の出来ることをしていくことが大切です。

完璧さだけが人の評価を決めるわけではないので、やりたいことをやって、できたことを喜ぶ気持ちを持ち、時には失敗したり間違っても大丈夫、という気持ちを持ちましょう。

【非現実的な思い込み③】思い通りに事が運ばないのは致命的なことだ

この考え方をする人は、自分の思いと違ったことが起きるのを嫌います。

子どもの成績が悪いと言って怒ったり、妻が言うようにしなかった、夫が勝手だ、部下が言うことを聞かなかった、などと腹を立てて相手を責め、相手を変えようとします。

親子喧嘩や夫婦喧嘩は、相手を思い通りに動かしたい気持ちからでているやりとりが多いのでないでしょうか。

思い通りにならないなら、死んだほうがマシ、全部ないものにしてしまう、など大げさになっておく場合もあります。

思い通りにならなくても大らかに状況改善の策を探る

世の中には気質が違う人や好き嫌い、考え方が違う人が生きているので、物事はなかなか思い通りにはいきません。

過去と他人は変えられないのです。

過去は変えられませんが、自分のこれからの人生は変えることはできますし、他者を変えることはできませんが、変わって欲しいとお願いすることはできます。

相手が自分の意思で変わることもあるかもしれません。

いずれにせよ、このような考え方をしていると、思い通りにならないことに苛立ったり、失望・落胆したり、物事を放棄する傾向に陥ってしまうので、「思い通りにならなくても致命的ではない」「ダメだったら別の方法でやってみればOK!」と考えてみてはどうでしょうか。

【非現実的な思い込み④】どんな時でも、人を傷つけるのは良くないことだ

この思い込みを持つ人は、人と接する時に、相手を傷つけないように気遣い、控え目にものを言ったり、いつも相手の様子を伺って行動します。

配慮に満ちているようですが、自分がいろいりと気を使う分、自分の限界を超えると、配慮がない人を激しく攻め立ててしまう一面があります。

知らずに傷つけることも多いと知っておく

この思い込みによるトラブルを避けるためには、

「人を傷つけないに越したことはないが、傷つけることもあり得る」

と覚悟することです。

よほど相手を深く知らなければ、相手がどんななことで傷つくのか分からないものです。

いくら気を付けても、自分の知らないところで相手を傷つけることもあります。

その時は、傷つけたことを認めた上で、それをどう修復するかに心を砕くことが大事です。

また、自分が傷ついた時には、あそのことを穏やかに相手に伝えて、再びそうしたことが起こらない努力をしてもらうようにお願いしましょう。

お互いさまだと考えて、修復の努力をしましょう。

【非現実的な思い込み⑤】危険なものに向かうと不安で何もできなくなる

不安は、そもそも非現実的な心配から起こります。

不安というものは「〇〇が起こったらどうしよう」といった言葉で意識されますが、

「電車が止まったらどうしよう」
「詐欺にあったらどうしよう」
「自分がパニックになって何もできなくなったらどうしよう」

といった最悪の事態を先取りした不安が主なものです。

理性的・現実的に考えてみると、電車が止まっても全く何もできなくなるというわけではなく、どこかに行けないか遅れるか、です。

パニックになっても、助けを呼ぶことはできますし、気持ちを落ち着かせてから再びとりかかることは可能です。

力と方法を生むコツは「どうにかなる」と思う気持ち

「どうしようもない」と思う前に「どうにかなる」と思ってみると、出来ることが見つかるでしょう。

ただ、危機や恐怖に対しては、問題を予測して筋道を立てて考え、できるかぎりの解決策を準備しておくことが大切です。

準備をしておいても対応できないことが起こった場合は、それは本当にどうしようもないことなので、諦めるしかないでしょう。

ただ単に不安をどうしようもないものだと考えるのではなく、日頃からどうにかできるものだと思って、危機を乗り越える力と方法を生み出していきましょう。

大抵のことは「どうにかなる」と考えてみましょう。

非現実的な考え方を「A-B-C-D理論」で振り返る

現実には合わない考え方を固く守っていると、それが行動や気持ちに影響を与えます。

考え方やものの見方をアサーティブにすることは、状況に合った、現実的で自分に合った冷静な判断をする、ということでもあります。

「『感情』は考えに対する反応であり、『考え』は状況に対する反応だ」という「論理療法」の提唱者・アルバート・エリスは、言動のもととなる見方や考え方の問題点を指摘し、自己成長と人間関係の在り方に大きな影響を与えました。

一般的に、感情は何らかの状況に対して抱いたり、状況から引き起こされる反応だと思われていますが、A・エリスは、感情は物事そのものへの反応ではなく、それをどう受け止めたかによって引き起こされると説いています。

(Activating event)物事を引き起こす出来事
(Belief)信念、考え方
(Consequence)結果、問題、悩み、症状など
(Disqute)論破、論ばくする

この理論によれば、問題や悩み(C)は、それを引き起こすような出来事(A)によるものではなく、Aはどんな考え方(B)で受け止めたかということの影響で、Cが引き起こされているということになります。

つまり、問題や悩みが起こるプロセルは、

A→C

ではなく、

A→B→C

例えば、誰かが「あなたは嫌いだ」と言った(A)ので、あなたは落ち込んだ(C)とします。

一般的には、嫌いだと言われたので落ち込んだ(A→C)と考えますが、嫌いだと言われることは落ち込んで当然の出来事だ(B)、だから落ち込む(A→B→C)というプロセスになっている、とういことです。

ただし、Bには現実的なものと、非現実的なものがあります。

先ほどの「嫌いだと言われた(A)のは残念だけど、それもあり得ること(B)と考えることができれば、落ち込まないかもしれませんし、結果(C)も変わってくるはずです。

もし(B)で非現実的で、自分を不自由にする考えをもとに物事を受け止めていると、結果(C)も非現実的で、非合理的なものになってしまいます。

それを防ぐためには、自分の考え方に縛られず、現実を見渡してみることです。

思い込みは時に長年の生活の積み重ねで自動的に作用するので、アサーションができていない時、特に意識することが大切です。

もし、その思い込みが非現実的なものだったら、理論で論破して、自己説得(D)しましょう。


 
 
次回、「よりよい自己表現を生み出すためには…『私メッセージ』と『自己開示』」、へ続く


 

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