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解離性障害とは?③ ~回復には長い期間が必要…解離性障害の治療法~

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過去のつらい経験が発症の原因となる「解離性障害」

今回は、「解離性障害の治療法」を詳しくみていきます。

前回までの記事↓
解離性障害とは?① ~自分のことなのに記憶がない…自分の感覚がなくなる解離性障
解離性障害とは?② ~過去のつらい経験が発症の引き金に…解離性障害の原因~

目次

解離性障害の治療法は?

解離性障害の治療には心理療法やカウンセリング、そして薬物療法が主に行われます。

療法を始める前に、まず患者さんとの信頼関係を築く必要があるため、治療は長期に渡ると考えておいた方がいいでしょう。

そして、患者さんが安心して治療に臨めるような環境を整えることも重要です。

心理療法・カウンセリング

解離の人の話を聞く側は、「ウソではないか?」「ありえない」と思っても、本人にとっては現実です。

気のせいと励ましたりせず、本人の話を真摯に聞き、受け入れることから始めます。

そして、どんな症状があるのか、、どんな体験があったか、本人から話を聞くことで、解離の病態を把握することができます。

  • 記憶を思い出す
    …話を聞くうちに過去の記憶がよみがえり、最終的にきっかけになった最大の外傷体験を思い出し、これにより病状が安定してくることがあります。記憶を思い出すことで、自己の同一性や記憶の連続性が促され、回復するためと考えられています。
  • 否定せず聞く
    …幻覚や幽霊、影が見えるなど、どんな話も否定しないで聞きます。そして、生育歴、病歴、普段の生活の様子も聞き取ります。外傷体験が事実でない可能性があっても、まずは共感した上で、現実との相違点、思い込みの可能性をいっしょに考えます。
  • 注意した方がいい場合もある
    …現実離れした世界にのめりこみやすいのは、良い面もあるが、度を超さないように、繰り返し本人に説明して注意を促します。また、状態に応じて、依存や甘えを厳しく指摘して、回復の決意を促した方がいい場合もあります。
  • 問診するだけで回復することも
    …自分の体験についてこれまで誰にも聞いてもらえず、聞かれた経験もないため、医師が詳しく質問したり、本人が具体的に説明するだけで安心し、回復につながることがあります。

解離症状がある人に対外離脱や交代人格の話をさせると病状が悪化すると思われがちですが、こうした話を否定したり、封印させると治療の糸口を失うことになります。

患者さんの話を受け入れ、よく聞くことで正しい診断と治療につなげます。

「眠りルート」と「覚醒ルート」

解離性障害の回復には、2つのルートがあります。

どちらが良いというものではなく、患者さんの状態によってたどる道髄が異なるだけです。

  • 眠りルート
    …入院や保護的環境に身をおきながら、安らぐことが基本。安心できる場所で癒され、いづれ自ら目覚めへと向かいます。このルートをたどる人には、甘える言動がみられるので、特定の人物や時間を限って許します。安心感を得ると、徐々に目覚めに向かいます。
  • 覚醒ルート
    …他者への依存を抑え、自分の状況を冷静にみつめ、自ら決意して治療に取り組み、回復へ向かいます。過去と現在を区切り、将来への目標や希望を持てると、このルートになります。周囲の人は、本人に強要はせず、支えることが大切です。

解離性障害は多くの場合、時間の経過とともに治っていくか、別の症状へと移行していきます。

そのため、経過を見ることも重要です。

吐き出しと区切り

解離の人は、生と死、現実と夢、現在と過去などの区切りがあいまいな状態にいます。

回復するためには、解離性障害発症の引き金になった苦痛や葛藤と向き合って吐き出し、表し、話し、区切ることが必要です。

現実は現実、過去は過去として区切らないと、あいまいな世界で苦しむことになるからです。

なかには、区切ること、受け入れることができないものもありますが、それは自分の中で抱えていくしかありません。

区切ること、受け入れること、抱えていくことが出来るようになるよう、ゆっくり自分を表現していきましょう。

薬物療法

解離性障害に直接聞くような薬は、いまのところありません。

しかし、緊張、抑うつ、衝動性、悪夢などの症状を和らげるために薬が処方されることもあります。

薬物療法だけでの完治は難しいのため、心理療法やカウンセリングなどを行ないながら、並行して薬物療法も続けていきます。

状態が安定したら、できるだけ早く減量するか服薬をやめるようにします。

解離性障害の治療法まとめ

解離性障害の治療は、心理療法やカウンセリングが主に行われますが、解離性障害は時間とともに治るか、別の症状に移行することがあるため、あまりに早すぎる治療はかえって良くない場合があります。

症状の経過を見つつ、医師やカウンセラーに相談してみましょう。

また、解離性障害の治療期間は個人差があります。

多少の時間はかかりますが、解離性障害は回復します。

患者さんの多くは比較的若い女性、20代半ばの人がピークで、30代、40代、もっと上の年齢になると次第に減っていきます。

ある程度の年齢になると、現実から逃げない覚悟や、漠然とした夢や憧れを諦めて、ふんぎりをつけることができるため、気持ちが落ち着いてくるのだと考えられます。

地に足がついた感じ、もう逃げられないと観念して現実の世界に戻ってくるような感覚があると、回復に向かっていると言えるでしょう。


参考:
解離性障害のことがよくわかる本 影の気配におびえる病(健康ライブラリーイラスト版)Kindle版, 柴山雅俊,講談社, 2012/5/16

 

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