仕事をする上で「報連相」が大事だ、という話は、きっと何度も聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、大事だということはわかるし、心がけているつもりであるが、なぜだかうまくいかないとお悩みではありませんか?
発達障害を持つ方に多く共通する特性として、「相手が何を求めているのかうまく推測できない」というものがあります。
そのため、特に"報告"に関して、何を報告すればいいか、どう伝えればいいかわからなくなってしまうのです。
そこで今回は、業務報告で伝える必要のあることを、4つのポイントにまとめました!
目次
"何を求めているのかがわからないという"特性について
ASD(自閉症スペクトラム)を持つ方は、相手が何を聞きたいのか、何を求めているのか推測するのが苦手という特性があります。
1つ例を出しましょう。
上司から、「打ち合わせはどうだった?」と聞かれたとします。
言い換えれば、「打ち合わせの内容について報告せよ」という指示ですね。
こんな時、ASDを持つ方は、打ち合わせの最初から最後まで、すべて説明しようとしてしまうのではないでしょうか。
しかし、そうなるとあまりにも情報量が多いですし、詳細にすべてを覚えているわけでもないので、上手く話すことができません。
その結果、口ごもってしまったり、話してはみたものの容量を得ず、相手に全然伝わらない・・・といった結果になってしまうのです。
上司からすれば、「必要なポイントだけ抜き出して教えて欲しい」と思っているのですが、自分で話すポイントを決めて返答するというのは、ASDの方が特に苦手とする行動なのです。
一方で、ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ方にとっては、衝動性の症状が報告をする際の妨げになってしまいます。
ADHDを持つ方の場合、伝えることを新しく思いつくと、話の流れを無視してそちらを優先してしまう傾向があるため、報告したつもりなのに、聞いている方は内容をまったく把握できていない・・・ということになってしまうのです。
報告は4つのポイントに絞る!
業務の簡潔な報告のためには、細かい経緯などは省いて大丈夫です。
相手が聞きたい場所がわからないのに自分で情報を省略してしまうことは不安だと思いますが、すべてを伝えようとしてしまうほうが、かえって混乱を招きます。
以下の4つのポイントに絞って報告する癖をつけていきましょう。
用件
まず最初に伝える必要があるのが、これから報告する事柄の用件です。
中身について触れる前に、何の件の報告なのかがわかるようにしましょう。
簡潔に、何について話すのかを相手に知らせることを意識してください。
結論
続いて、話の結論となる部分を伝えます。
報告する際に相手が知りたいことは、「そこで何があったのか」ではなく「どうなったのか」ということです。
そこで、用件を伝えたらすぐに、最終的にどのような結論になったのかを伝えましょう。
理由
結論の次にその結論に至った理由を伝えましょう。
結論よりも先に理由を話してしまうと、それらの理由からどんな結論になったのかがわからないまま話が進むため、相手の理解を邪魔してしまいますし、「きっとこうなったのだろう」といった想像が働くために、そのバイアスによって望んだとおりのニュアンスで伝わりづらくなってしまうことがあります。
事前に結論を伝えておくことで、その結論に至った理由として伝わるので、誤解を生みづらくなります。
対策
結論に対して、より良い結果を目指すためにはどうすればいいか、その対策を伝えましょう。
ただし、この際には注意しなければいけない点が2点あります。
まず1点は、あくまで自分の考えであり、その対策通りに報告する相手に動いてもらうことが目的ではない、ということです。
「用件」「結論」「理由」は、実際に起こった事実をそのまま伝えることになりますが、「対策」については自分自身の考えです。
そのため、「対策はこれしかない」と決めてしまうのではなく、報告する相手がスムーズにアイデアを出しやすくするためのサポートのつもりで自分の考えを伝えるようにしてください。
もう1点は、ここで伝える対策案は、自分自身にできることにする、ということです。
他人任せの提案をしてしまうと、責任感がないと感じられてしまい、悪印象を与えてしまうかもしれません。
順調に進んでいるかどうかで報告内容を変える
4つのポイントを、先ほどの打ち合わせについての報告を求められた場合に当てはめるとこのようになります。
「商品Aの件で打ち合わせに行ってきました」(用件)
↓
「こちらの見積もりは見直しを求められました」(結論)
↓
「予算を超えてしまっているため、追加は難しいとのことです」(理由)
↓
「部品の一部を輸入品にかえればコストを抑えることができるので、見積もりを作り直せますが、いかがでしょうか?」(対策)
この形式の報告を原型として、いつでも行えるように準備しておきましょう。
なお、案件が順調に進んでいる場合、特に理由や対策を報告する必要がない場合があります。
その場合には、用件と結論のみの報告で問題ありません。
「商品Aの件で打ち合わせに行ってきました」(用件)
↓
「こちらから提示した見積もりで問題ないとのことでした」(結論)
細かい点は質問への回答で伝える!
伝える内容を上記の4ポイントに絞ると、当然ながら「相手に伝えない情報」が多々出てきます。
それらは伝えなくて良いのか不安になるかと思います。
相手にとって必要な情報か、そうでないのかがわからないのであれば、相手から聞いてもらえばよいのです!
4ポイントの情報を伝え、そこに不足していること、追加して聞きたいことがあれば、相手が質問してきます。
それを受けてから、聞かれた内容に答えていきましょう。
この際も、あくまで質問された内容についてだけ回答し、あれもこれも、と必要以上に話さないように気を付けましょう。
報告に必要なポイントは、必ず事前にまとめておきましょう。
報告したいことの中から4つのポイントを抜き出してまとめ、メモに書いて持っていくようにしてください。
メモに書いておけば、伝え忘れなども防げます。
まとめ
発達障害を持つ方は、相手が何を求めているのかを推測理解することが苦手な傾向があります。
また、ADHDを持つ方の場合は、何を求めているのかはわかっていても、思いついた情報を優先してしまうために、会話が飛び飛びになってしまう場合があります。
仕事の報告をするときは、最初から最後まで全て説明をしても、相手にはうまく伝わりません。
報告のときは、用件、結論、理由、対策案という4つのポイントに絞って簡潔に伝えることを心がけましょう。