就職し、働き始めたところで先輩から「困ったことが合ったら、いつでも聞いてね」と言われたことはありませんか?
あるいは仕事でなくとも、学生時代の部活動などで同じような経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、いざわからない、うまくいかないことがあった時、あなたはうまく相談することができましたでしょうか?
忙しい先輩や上司を捕まえるのは申し訳なくて、なかなか相談できない。
仕方なく自分の判断でやってみたところ、あとから違うと怒られてしまった。
「なんで相談してくれなかったの」と言われ、申し訳なく思いながらも、「だって、相談ができそうな感じじゃなかったじゃないか」なんて言う風にも思ってしまう。
そんなことになってはいませんでしたか?
発達障害をお持ちの方には、相談することが苦手な方が多いと言われています。
目次
相談できないのは"迷惑をかけたくない"から!
発達障害を持つ方、特にASD(自閉症スペクトラム)の方は、相談することが苦手な傾向があります。
プライベートのことを相談できなければ、なかなか問題を解決することができず、ストレスを溜め込んでしまいます。
さらに、仕事上で必要な相談や交渉まで躊躇ってしまえば、仕事の成果に影響が出てしまい、周囲にも迷惑をかけることになってしまうでしょう。
発達障害を持つ方は、その症状を理解してもらえず、「自分勝手な人だ」という認識を持たれてしまいやすいのですが、相談せずに自分の考えで仕事を進めようとするのは、自分勝手だからではありません。
むしろ、発達障害を持つ方は、他者の気持ちを気にする人が多いと言えます。
ではなぜ、ここまで相談することを躊躇ってしまうのかというと、「相手に迷惑をかけたくない」という思いが強いからです。
「迷惑をかけたくない」から勝手に動いて、結果迷惑をかけるなんて矛盾しているじゃないか、と思われるかもしれませんが、これには「想像がうまくできない」という特性が関係しています。
発達障害、特にASDを持つ方は、相手の気持ちを想像することが、とても苦手です。
これまでの人生の中で、相手の気持ちを想像できなかったがゆえの失敗経験を多く持っている方が多いため、周りの人と関わることにかなり慎重になってしまうのです。
例えば、最初に例に出した「困ったことが合ったら、いつでも聞いてね」という言葉。
恐らく、初めのうちは、言われた通りに困ったことが合ったらすぐに質問をしていたのではないかと思います。
ところが、いざ質問してみると、「それは自分で考えて」と言われたり、「今はそれどころじゃないってわかるでしょ」なんて言われたりしてしまうこともあります。
「いつでも聞いて」と言った側は、「質問する前にまずは自分で考えるのが"当たり前"だろう」とか、「見るからに忙しいときには聞かないなんて"常識"でしょう」なんて考えていたりするのですが、発達障害を持つ方にとって、この"当たり前"や"常識"を察するのはとりわけ苦手な分野。
結果として、「わからないことがあるけれど、これは相談していいことなのか?自分で解決すべきなのか?」と混乱してしまい、相談を避けるようになってしまうのです。
そして、相手の気持ちをうまく想像できないために、「想像した結果の未来」と「想像しなかった結果の未来」をうまく比較することもできず、相談しなかったために怒られたり、呆れられたりしてしまう、ということを繰り返すことになるのです。
相談は悪いことではない!
"相談せずに怒られてしまう"場面では、自己判断の結果重大なミスをしてしまっていたり、会社や他の人に大きな迷惑をかけてしまっているかもしれません。
そうなれば、こっぴどく怒られてしまうでしょうし、もしかしたらもっと悪い結果になるかもしれません。
それに比べれば、相談することで怒られたり、呆れられたりするほうが、自分自身の精神的にも、周囲に与えてしまう迷惑という意味でも、ずっと小さなものでしょう。
目安として、相談すべきかどうか迷ったのであれば、その件は相談したほうがいいと考えるようにしてください。
失敗は重ねながら、少しずつ学んでいくものです。
経験を重ねて、少しずつ何を相談するべきかを覚えていきましょう。
相談することとそうでないことを判断する方法
「相談はしてもいいこと」と言いはしましたが、本当に何から何までいちいち相談に行ってしまっては、「自分で解決する気がない」とか「人任せだ」なんて思われてしまうかもしれません。
それを防ぐためには、「自分で調べればわかること」と「一度教わったこと」は、可能な限り自分で解決することが重要です。
自分で調べればわかることとは、手元の資料に含まれているデータや、インターネットを利用して調べることができるようなことです。
一度教わったことについては、必ずメモを取るようにしておくことで、記憶はできていなくても、メモから情報を探すことができます。
その上で、「調べたがわからなかった」ことや、「メモを見直しても見つからなかった」ことについては相談しましょう。
何度も同じことについて質問すれば、相手は呆れてしまうかもしれませんが、それでも自分で判断してしまうよりはずっと良い結果になるはずです。
その場合、今度こそ繰り返すことの内容に、確実にメモを取ることだけはわすれないようにしてください。
まとめ
発達障害を持つ方、特にASDの人は、相談するということが苦手です。
その理由は、過去の失敗の経験などから、相手に迷惑をかけてしまったり、呆れられてしまったりするのではないかと考えてしまうことにあります。
ですが、相談は仕事においてとても大切なことです。
「相談は必要なことで、しても良いこと」であると自分に言い聞かせ、できるようにしていきましょう。