あなたは、「雑談」が得意ですか?
雑談という言葉をあえて説明するならば、特にテーマを決めるわけでもなく、気楽に行われる会話、となるでしょうか。
会議や議論はもちろん、事務的なやり取りであっても、明確に目的が決まっている会話であれば、それに合わせて言葉を選んでいけばコミュニケーションが成立します。
一方で、雑談には決まった目的があるわけではないので、発達障害を持つ方にとってはハードルが高くなる場合もあるようです。
楽しく話せていたと思ったのに、どうして怒っているのかわからない・・・
なんて経験はありませんか?
急に相手が怒りだしてしまう理由
雑談中、急に相手が怒りだしてしまう理由は、発達障害の特性にあるかもしれません。
ADHDを持っている人は、その特性である"衝動性"によって、思ったことをすぐに口に出してしまうことがあります。
実はこれは、相手を傷つけたり、怒らせたりすることに繋がってしまいやすい特性なのです。
例えば、相手の髪を見て、「寝癖がすごいな」と思ったとしましょう。
この時、衝動性を持たない人の場合は、口に出す前に頭の中で、「その言葉を伝えたら相手はどう感じるか」を考えます。
(待てよ?そういえばパーマをあてたと言っていたよな。寝癖だと思ってしまったけれど、そんな言い方をしたら失礼なんじゃないか)
(もしも寝癖であったとしても、そのままみんなの前で指摘したら恥をかかせてしまうかもしれないな)
このように、心の中で浮かんだ時点では相手を傷つけてしまうかもしれない言葉であっても、相手に伝える前にワンテンポを挟むことで、別の言葉に置き換えたり、時には口に出すこと自体をやめたりするのです。
しかし、特性として衝動性を持つ人は、ワンテンポを挟んで考えることが苦手なので、すぐに言葉として出てしまうのです。
一方で、ASDを持つ人は、相手の気持ちを推測することを苦手としています。
その結果、相手との距離感を測りかねて過剰に馴れ馴れしい話し方になってしまったり、反対に丁寧すぎる口調で壁を作ってしまうことがあります。
また、相手にも言いたいことややりたいことがある、ということに考えが回らないため、一方的に自分の話したいことだけを話し続けてしまうこともあります。
このように、雑談がうまくいかず、相手を怒らせてしまうというときの対処を考えるために、まずひとつ知っておきたいことがあります。
それは、「人は自分の話をするときに、強い喜びを感じる」ということです。
聞き上手になろう!
「楽しく会話ができていたはずなのに、なぜか相手が機嫌を損ねてしまっていた」という状態が起きるメカニズムは、人は話を聞くよりも、話すことに喜びを感じる、ということにあります。
自分からすれば、したい話をたくさんできたのでとても楽しく、気持ちが良いのですが、言いたいことを言えないまま聞き役に回っていた相手はストレスを溜めてしまっていたのです。
そこで、雑談でのトラブルを無くすための方法として提案したいのが、「聞き上手になる」ということです。
自分の話をどんどんしたくなるところをぐっと堪えて、相手が主役というスタンスを意識してみましょう。
相手の話を聞き、その話題に対して、質問を中心に返していくのです。
自分のことについて話す場面も出てくると思いますが、そこでは意識して控えめに。
まだ話し足りないと思っても、キリのいいところで止めるようにしましょう。
相手が話そうとしていることをまずは、優先して聞くのが重要です
会話のときに気を付けるポイント
- 相手が話し終えてから自分の話をする
- 否定的な言葉はなるべく使わない
- 相手のタイミングに合わせてうなずきを入れる
- 相手の目と鼻の間くらいを意識して見る
- 自分が話すのは長くても相手と同じくらいに抑える
「相手の話を遮らない」「否定的な言葉は可能な限り使わない」という2点を意識するだけでも、印象は大きく変わります。
相手の話にどのように質問をすればいいかわからない、ということであれば、あいづちを入れるだけでも構いません。
相手を怒らせず、楽しんでもらえるような雑談を目指していきましょう。