もうそろそろ会社を出なくてはいけない時間。この後は、打ち合わせの予定があります。
いざ席を立とうとしたら、急に「そういえば、あの件、どうなったんだっけ?」と気になってきてしまいました。
早く出発しないと遅刻してしまうのに、気になった件をそのままにはしておけず、資料を探し始めたり、調べ始めてしまったり。
結局、打ち合わせの時間には間に合わず、上司にも怒られてしまいました。
このような経験はありませんでしょうか。
自分でも、早くしないと遅刻するということはわかっているにも関わらず、他に気になることができてしまうと、それから手が離せなくなってしまう・・・。
もしかしたら、それはADHDの特性によるものかもしれません。
遅刻の原因となる特性
ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ方で、多くの方に共通する特性が、衝動的に行動してしまうことです。
何か思いついたことがあると、それをせずにはいられなくなり、たとえそれをすることで悪い結果になるとわかっていたとしても、衝動的に行動に移してしまうのです。
この衝動性の特性で困るのは、遅刻してしまうことだけではありません。
例えば、衝動買いで持っているお金を全て使い切ってしまう、といった形で問題になってしまうこともあるでしょう。
さらに、この"衝動"は、ADHDでない人には理解することが難しいため、「意志が弱いため、自分の欲望に負けている」と受け取られてしまいやすいのです。
「このままでは遅刻してしまう」「これを買ったらお金が無くなってしまう」など、本人はわかっているにもかかわらず、まるで体が勝手に動いてしまうかのように行動してしまうこの特性は、理解を得るのが特に難しい特性であると言えます。
そのため、周りから誤解されてしまうことにつかれ、生きづらさを感じてしまうことにもなるのです。
また、ADHDの他の特性として、気が散りやすい一方で、一度集中すると中々やめることができないというものもあります。
衝動的に始めてしまうだけでなく、その行動を自分の意志ですっぱりとやめるのも難しいため、約束の時間までもうすぐだと頭の中では気づいていても、今やっていることをやめることができなくなってしまうのです。
多くの場合、ADHDを持つ方にとって、優先度が高いのは新しいことになっています。
新しい情報が入ってきた際に、以前から持っている情報と比較して優先度をつける、という工程が苦手なため、どんどんと新しい情報を最優先のことにしてしまい、結果としてもともと予定していたことの優先順位はどんどん低くなってしまうのです。
好きなことばかり優先しているように見られてしまうのも、好きなことはそれだけ情報を得る機会も多く、頻繁に頭に浮かんでくるからと考えられます。
他にも、衝動的に動いているときには周りの人からの注意などが耳に入りづらくなってしまうという問題もあります。
自分の行動パターンを把握して、衝動に対処しよう!
そのためには、まずは自分のことを把握するのが大事!
例えば、最初の例に出した、出発前に他のことが気になってしまい、衝動的に行動しがちという方であれば、衝動的な行動そのものを止めることはできないので、衝動的に行動しても問題がないスケジュールを組んでみましょう。
家を出なくてはならない時刻を計算し、それよりも30分早い時間を家を出る時間として設定してみてください。
単純な手ですが、だからこそ有効な手段です。
自分の傾向を把握して、もし30分では足りない場合は、1時間早めるなど自分に合わせて設定していくことが大切です。
もしも出発前に特に気になるようなこともなく、順調に家を出ることができたなら早すぎる到着になってしまいますが、遅れるよりはマシというもの。
カフェで一息つくなどして時間を調整しましょう。
これを繰り返し、時間の管理がうまく出来るようになってきたなら、少しずつ余裕を持っていた時間を短縮させていっても良いでしょう。
まとめ
ADHDを持つ方は、衝動的に行動してしまうという特性があります。
また、気が散りやすい一方で、一度集中してしまうと抜け出せなくなってしまう/span>というのも多くの方が持つ特性です。
そのために、約束の時間に遅れてしまうというといった問題が起こってしまうことになります。
まずは自分の傾向を把握し、「この時間に家を出れば間に合う」という設定時刻よりもさらに30分、1時間など余裕を持った時刻を出発の時刻と設定して、家をでるように心掛けてみましょう。