今回は、企業が障害を持つ人を雇用するという視点から、障害者雇用の現状について少しまとめてみたいと思います。
現在、日本国内における障害を持っている人の数は、平成27年内閣府障害白書によると約788万人と言われていますが、年々障害者の数は増加している事と潜在的な精神疾患を抱えている方を考えれば平成29年現在ではその数を大きく上回っていると思われます。
障害というハンデは、当然、日常生活だけでなく仕事にも影響してきます。
特に精神障害は、自分自身ですらその疾患に掛かっている事すらわからない場合も多く、仕事が長く続かなかったり辞めてしまったりしてしまう人も多いのが現状です。
しかし、近年では精神障害に対する就職への理解と対策も、少しずつではありますが進んできています。
それが法的に現れているのが、「障害者雇用促進法」という法律になります。
障害者雇用促進法とは?
本当に簡単に言えば、障害を持っている人に対して差別なく企業に採用を義務付けた法律といえます。
企業からすれば、精神的に不安定な人よりもバリバリと働ける人を採用したいというのが本音だと思いますが、この法律では「法定雇用率」という一定割合で障害を持っている方を雇う事を義務付けています。
50人以上の従業員を採用している企業は1人以上障害者を雇用しなければいけない
法定雇用率というのは、50人以上の従業員を雇用している企業に適用される障害者の雇用割合で、現在では従業員数全体の2.0%の人数の障害者を雇用する事が義務づけられています。
また、100人以上の従業員を雇用している企業に関しては、「障害者雇用納付金制度」という制度が適用され、2.0%の雇用義務を満たしていないと、不足人数×5万円/月の罰則金の様なものを支払う事が義務づけられているのです。
一方で、2.0%の法定雇用率を上回る障害者を雇用している企業は、逆に補助金として1人×2.7万円が支給されます。
平成30年4月から法定雇用率が2.2%に
元々、法定雇用率は1.8%でしたが、平成25年に法改正が行われ2.0%になりました。そして、平成30年4月からは2.2%に引き上げられます。
これは、平成30年4月から法定雇用率の障害者の対象に「精神障害者」が追加される為です。
逆にいえば、これまで精神障害者に関しては法定雇用率に含まれていなかったという事になります。
しかし、これにより企業の精神障害者の雇用は多少増加する事が見込めます。
また、近年では障害者雇用促進法以外にも「障害者総合支援法」などの改正なども行われており障害を持つ方への支援制度は少しずつ進みつつあり、今後もこの様な風潮は続いて行くと思われます。
とはいえ、障害を持つ人にはそれぞれの悩みがあり、まだまだ問題が多いのも現状です。。
今回は、企業の障害者雇用の現状について軽くまとめましたが、次回は障害者枠求人やトライアル雇用、特例子会社などについてまとめて行きたいと思います。