あなたは「ほめ日記」を知っていますか?
「ほめ日記」は、自分で自分をほめる日記のことで、自分の個性やクセを知り、良いものは伸ばし、マイナスなクセを修正して、自分の中に隠れている能力や感情・感性などを表面化させることができます。
あなたも「ほめ日記」で、自分の可能性を発見して、最高の人生を創造する力に繋げてみませんか?
第9回は、「ダイエットとリバウンドの繰り返しに終止符!『ほめ日記』式食事改善法②」の続き、「愛してくれなかった母との確執が氷解!まず自分を許す」を解説していきます。
目次
相手の前に、まず自分を許そう
私たち人間は「人を許すことが大事」ということを知っています。
知っているからこそ、身近な人を憎んだり、許せないという感情が起きたとき、そんな自分を責める気持ちが加わって、苦しみを相乗的に大きくしがちです。
その感情を整理して割り切れるようになると、状況は変わらなくても気持ちが楽になり、心にゆとりが生まれ、知恵や直感が働いて、解決策が見えてきます。
「ほめ日記」で自分をほめる習慣がついてくると、「自分を許す」ことが自然にでき、それは、自分に対しても他者に対しても同じように働きます。
もちろん、事情によって許したくないというケースもあると思いますが、その場合は、まず自分を許して楽になることから始めてみてください。
愛してくれなかった母との確執が氷解!まず自分を許す
今回は、末期がんの母の介護をされていた、30代女性・Mさんです。
私は、母をずっと憎んでいたけれど、もう最後なのだから娘として介護しなければ…という義務感で介護をしていました。
しかし、本音を言うと、以前にも増してワガママになる母には付きあいきれない、ついムカッとしてしまう自分を責めたり…葛藤の中での介護でした。
そんな中、友人のKさんから勧められたのが「ほめ日記」でした。
「必ず楽になれるから、やってごらん」というKさんは、以前よりイキイキしていました。
半信半疑でしたが、これでもし楽になるのなら…と週に3日くらい、ポツポツと「ほめ日記」を書き始めました。
何でも自分の思い通りにさせようとしたり、気に入らないと当たり散らす母へは愛情を感じたことはなかったけれど、自分が妻、母になり、少しずつ母の苦しさが分かってはきていました。
それでも許せない気持ちを抱えていたので、思い切って母に、今までとても憎んでいたこと、子どもの頃から嫌な思いをしていたことを伝えました。
すると母は、「だって私もお母さんってどんなものなのか分からなかったんだよ…ごめんね」と謝ってくれたのです。
母もまた、母親から愛されなかった人なんだと知り、ずっと不安で自分を責めていたのは母の方だったのだと、かわいそうになりました。
そして、今まで触れられるのも嫌だった母をギューッと抱きしめ、「私を産んでくれてありがとう」と言いました。
それから母が亡くなるまでの間、母のいいところだけを思い出してほめてあげようと思い、自分の「ほめ日記」の後ろのページに書き出して、それを母に伝えました。
すると、母のマイナスだと思っていたこともプラスに受け取れるようになって、私自身も救われ、母もほめられて嬉しそうでした。
母を抱きしめた3週間後、母は亡くなりましたが、最期は苦しまず安心した、いい顔をしていました。
母に憎んでいたことを言ってしまった後は、死にゆく母になんてことを言ってしまったのか、謝らせてしまって悪かったと思いましたが、それでも、あの時言わなかったらもっと憎んだまま、母に感謝することなく、ひどい人間になっていたと思います。
Mさんは、お母さまが亡くなってから半年後に、「ほめ日記」の講座にも参加され、さらに内面の整理が進んで、よりクリアに自分が見えてきた、生きていることの深い喜びを初めて味わったと言います。
Mさんの「ほめ日記」
- 素直に泣けるようになって、前は泣くのをガマンしていたことに初めて気づいた。こういうことにも気づかずに抱え込んでいたのね。こんな私を発見できて、心が深くなった感じ。いいね!
- 自分のことは自分が丸ごと受け止めてあげなきゃ、誰が受け止めるの?今まで他人に受け止めて欲しいとばかり思っていたことにやっと気づいたね。成長したね。
- 他人を攻撃することで自分を守っていた。見下すことで自分はエライと思っていた私に気づいたのは成長しているね。
- ありのままの私を受け止めたら、背伸びしなくていいんだ、できないことはできないと言っていいんだ、と気が楽になった。安心している私はいいね。
- 私は自分のことは後回しで他人に合わせがちだった。人が期待している自分を探して必死でそうなろうとしていたけど、それは本当の自分ではないということが初めて分かった。今が本当の私でいる時間が長いのが素晴らしい。
- 長女に優しくできて、つらいことやイヤなことを共感して慰められる私って素敵なお母さんだわ。
Mさんに限らず、親との確執から解放されて、長い間持ち続けた負の感情が愛に変わると、人の心はとても深い安らぎを得るものです。
一番身近な家族のあら探しばかりしていたMさんでしたが、今は無意識に家族のプラス面をみつけようとしています。
怒られてばかりのお子さんたちは、この頃よくMさんにほめられるようになり、兄弟げんかが減ってほめ合って喜んでいる光景が増えたそうです。
そして今、Mさんは妻を亡くして寂しくなったお父さまに優しく接しているそうです。
Mさんの「ほめ日記」ポイント
謝るチャンスをあげる
Mさんが憎んでいたことを口に出したのは、結果としてお母さまにとって「謝るチャンス」をもらったことになるため良い方向に向かいました。
母親はなかなか自分の子どもに謝れないものです。
しかし、謝ることでそれまでの胸のつかえが取れて楽になるのはお母さま自身で、そのことを長い間望んでいたと思います。
亡くなる前に自分の娘にしっかり抱きしめてもらえたお母さまの心は最高に幸せだったのではないでしょうか。
謝罪されて癒される気持ちを大切に
理不尽な扱いを受けた時、私たちは傷つき、怒り、許せないと感じ、それこそが自分への尊重の気持ちの表れでもあります。
謝罪を望んでいるわけではないと表面上は思っていても、心の奥底では望んでいる謝罪を受けることで自尊心が満たされ、無意識に閉じ込めていた肯定的な感情や愛の意識があふれ出してきます。
親への不満は憎しみをくすぶらせている方は、まず「ほめ日記」で自分の心を解放させ、少し離れた位置から自分を見てみましょう。
気持ちの表現がスムーズにできるようになってきたら、自然な形で親に気持ちを伝えられるようになると思います。
周りの目が気にならなくなる
周りの目を気にしすぎて、嫌われないために周りに合わせ、相手の言いなりになりながら、不満を溜めている人は多いと思います。
こうした状態を長く続けていると、人は自分を見失い、神経バランスを崩してしまい、落ち込みやすく、マイナス思考が強くなり、心のバランスまでも崩してしまいます。
「ほめ日記」の実践は、自分に意識を向ける心の習慣をつけ、脳の回路を変えるため、短い期間で「周りの目がさほど気にならない自分」が実現します。
素の自分でいられる時間が長くなり、その分、ストレスが減って日々の生活が楽になるのです。
次回、介護うつからの回復!想定外の恩恵も…、へ続く