あなたは「ほめ日記」を知っていますか?
「ほめ日記」は、自分で自分をほめる日記のことで、自分の個性やクセを知り、良いものは伸ばし、マイナスなクセを修正して、自分の中に隠れている能力や感情・感性などを表面化させることができます。
あなたも「ほめ日記」で、自分の可能性を発見して、最高の人生を創造する力に繋げてみませんか?
第11回は、「介護うつからの回復!想定外の恩恵も…」の続き、「『自分をほめる』が強さを育てる!3度目の挑戦でつかんだ合格」を解説していきます。
目次
「自分をほめる」が強さを育てる!3度目の挑戦でつかんだ合格
私たちの社会は、歴史的に「自分を否定することは美徳であり善いことだ」という固定観念を持ち続けていました。
「自分をほめるなんておかしい」「そんなことは自分をダメにする」「自分をほめていたら弱い人間になる」という観念が長い間通用していましたし、自己否定感で苦しんでいる張本人でさえ、そう思い込んでいるケースが往々にしてあります。
自己否定は、個の尊重、命の尊重とは正反対の意識です。
自分の命、存在の否定であり、ひいては他者の命、存在の否定にも繋がります。
自分をほめて弱い人間にはならないし、ダメにもならないのです。
今回は、「ほめ日記」で強くなった20代女性・Dさんです。
しかし、慣れないパソコン仕事と新しい人間関係になかなか適応できず、夜眠れない日が多くなり、1年後にうつ病を発症してしまいます。
うつ病の治療を続けながら2年間仕事を続けたものの、やりがいを見い出せず退社。
この機会にもっと自分に向いた仕事を探そうと思い立ちます。
Dさんは、うつ病になった時そのツラさを家族に分かってもらえず、誰にも助けてもらえなかった思いが強かったため、少しでも人の心を受け止められる対人援助職に就きたいと思い、精神保健福祉士になることを決意しました。
自分のやりたいことを見つけたDさんは、早速勉強を始め、専門の予備校にも通いましたが、うつ病を抱えながらの勉強は気持ちのコントロールがなかなかうまくいかず、2年続けて失敗。
それでもなお、諦めずに3回目に挑戦することを決めましたが、まずは心の立て直しから始めなければならないと、メソッドとして選んだのが「ほめ日記」でした。
Dさんの父親は感情の抑制が下手で自分勝手。
子どもの頃から怒鳴られることが多かった上に、小中学校でもイジメいあっていたため、自己否定感が強く、いつも周囲に気を遣いすぎる「NO」と言えない子どもでした。
子ども時代の自己否定的な性格のまま、社会に飛び込こんでしまうと、ストレスが多く、苦しいものだと会社を辞めてから分かったというDさん。
子どものころ、自律神経のバランスを崩しやすく、保健室の先生にお世話になることもたびたびありましたが、その時優しくほめてもらえる場だったことが、Dさんの心の支えになっていました。
「ほめ日記」を書くにあたって、Dさんは次のことを意識しました。
- 毎日書くこと
- 自分を励ます言葉や勇気づけの言葉を書くこと
- 精神保健福祉士になる決意を維持するため「国家試験に必ず受かる」と書き続けること
- 勉強したことを毎日ほめること
- 勉強が思うように進まなかった日も、否定的に思わず、目標に向かって努力していること
「ほめ日記」の他に、もう一つ実行したのが「散歩」でした。
無理のない範囲で散歩をして外の空気を吸い、太陽の光を浴びることで、脳内の快楽物質「セロトニン」を増やすことができ、血液循環も良くなって心身が活性化、「ほめ日記」の効果もグンと上がったそうです。
そして、三回目の受験…。
Dさんは無事合格し、その数日後、就職も決定!
最近のDさんは、抗うつ剤を飲んではいるものの、うつはかなり改善され楽になってきたそうです。
Dさんの合格までの「ほめ日記」
Dさんは一つほめるごとにナンバリングしていました。
「数字がすきだから自然にそうなっていた」とのことですが、“初ほめ”1番は、「私は素直でまっすぐなところが素敵ね」でした。
試験当日の最後の“ほめ”は、1799番なので、平均して毎日5つくらい書いていたことになります。
- 4月〇〇日 私の心は前向き。これも「ほめ日記」のおかげ。私はすごい。すごい。
- 6月〇〇日 今日は社会システムについて勉強した。体調が悪いのに本当によくがんばったね。これなら確実に精神保健福祉士に合格できる。絶対できる。「ほめ日記」を書いている私は確実に変わっている。私は素晴らしい。
- 10月〇〇日 家族関係でたくさん悩んだけど「ほめ日記」を書いて、読み返して心と体に記憶させておけば大丈夫だと気づいた私はえらい、えらい。よく頑張っている。私は必ず自己尊重感を高めることができる。
- 10月△△日 「自分で自分に共感する」ことを理解できるようになって良かったね。ほめ日記を書き続けられたこと、ほとんど休むことなく勉強していたことを通じて、自分を尊重できるようになったし、母とも距離をとることができた。私は本当によく頑張ったね。精神保健福祉士の国家試験、必ず合格できる。
- 10月〇〇日 ほめ日記1000個達成!よくやった、えらい!今日は障害者自立支援法と海外の福祉の歴史について勉強した。これなら必ず合格するよ。
- 11月〇〇日 だんだんイライラしなくなってきている私、エライ、エライ。私は確実に進化している証拠。
- 1月〇〇日 今日は朝6時から勉強している私、毎日コツコツ頑張っているね。朝の太陽が気持ちいいと感じた感性が素晴らしい。
- 1月△△日 今日も散歩してセロトニン補給!水仙や山茶花がキレイだった。太陽を浴びている姿がキレイで感動。その感性もとても素敵。
- 1月〇〇日(試験前日) 1年よく頑張ってきたね。だから国家試験合格するよ。そして〇〇病院に就職できる。大丈夫大丈夫。今日もしっかり勉強したね。心も体も落ち着いている私。穏やかだね。安定しているね。生まれてきてくれてありがとう。生まれてきて良かったんだよ。
Dさんは「ほめ日記」に毎日「精神保健福祉士の試験に合格する」ことを欠かさず書き続けていました。
就職したいという病院が具体的に分かってからは「合格して、必ず〇〇病院に就職できる」と就職の実現も毎日書くようになりました。
そして、ついに2つの希望を一挙に実現させたのです。
Dさんの「ほめ日記」ポイント
モチベーションの維持と目標達成のイメージ
目標達成のためには、努力することはもちろん必要ですが、モチベーションの維持と、目標達成のイメージが大事になります。
「ほめ日記」は、この2つを同時にトレーニングできるだけでなく、不安を消し、集中力を高めるため、努力を楽しめるようになると思います。
「今日も頑張った。私は必ず精神保健福祉士の試験に合格する」といった、勇気づけのフレーズをちりばめた「ほめ日記」を毎日書くことで、自分を勇気づけるだけでなく、イメージトレーニングを無意識のうちに毎日やっていることになります。
目標や希望を実現させるには、自尊心を高めながらイメージトレーニングを行うと、実現に最強の力が出てくると思います。
命の深みに届く言葉
Dさんは、途中からもう一つ毎日書いたフレーズがあります。
です。
試験勉強中に、自分の「生」や「存在」を少しでも否定することがあれば、エネルギーを大損してしまいます。
繰り返し自分の生を受け入れるフレーズを書き続けることで、命の深みの意識(生への祝福)を引き出す力になっていくのです。
次回、非常時にも効果を発揮する「ほめ日記」、へ続く