思いがけない事態が起きたときにパニック状態に陥ることは誰にでもありますよね?
特に何の原因もなく、体に悪いところがないのに突然、動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作に陥るのが「パニック障害」です。
パニック障害は「不安障害」の一つに分類されます。
不安は誰もが持っている感情ですが、繰り返し起こり頭を離れない病的な不安で日常生活に支障をきたすような状態を「不安障害」といいます。
目次
パニック障害ではどんな症状がおきるの?
パニック障害は、突然胸がドキドキし、胸がしめつけられ、ふるえ・息苦しさ・胸部の不快感・めまいなどの身体症状や、このままでは死んでしまうのではないかと激しい恐怖感や不安感に襲われる状態のことをいいます。
この発作は、症状は10分以内にピークに達し、長くても1時間以内にはおさまります。
パニック発作はその激しさが最高潮に達した後は30分以内に症状が消え去ることが多いようです。
パニック障害の特徴とは
検査をしても身体的な異常は見当らないのに、パニック発作を繰り返すことです。
「パニック発作」と「予期不安」、「広場恐怖」はパニック障害の3大症状といわれる特徴的な症状であり、この3つの症状は、悪循環となってパニック障害をさらに悪化させます。
パニック障害になりやすい人は?
パニック障害の患者さんは、「女性」「若年者」「一等親(親、兄弟、同胞)がパニック障害」の場合に多いことありますが、だれでもかかる可能性のある病気です。
パニック障害は心や性格に原因のある病気ではありません。
100人に2~3人がかかるといわれる病気です。
パニック障害の原因
原因は、今のところまだはっきりしていないところもあります。
ヒトの脳には無数の神経細胞(ニューロン)があり、外界からの刺激に対応して、さまざまな働きをしていまがそこに何らかの誤作動が生じ、恐怖や不安に関係している神経伝達物質「ノルアドレナリン」と、興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」とのバランスが崩れるためと考えられています。
脳の各部位のそれぞれがもつ機能に応じて、パニック発作や予期不安、広場恐怖などの症状があらわれていると考えられています。
ストレスとの関係は明らかにはなっていませんが、体質に加えストレスの多い環境や幼児期のつらい体験などの後天的な要素により発症するのではないかと考えられています。
パニック障害にならない為に、日常生活で注意するべきこと
パニック障害を誘発するもの
- コーヒー(カフェインがノルアドレナリンを促す)
- タバコ(ニコチンの抗不安作用のリバウンド)
- アルコール(アルコールの抗不安作用のリバウンドなど)
- 咳止め:エフェドリンや気管支拡張薬(ノルアドレナリンのレセプターを刺激)
- 経口避妊薬(女性ホルモンが不安を喚起)
- ヒロポン、コカインなどの覚せい剤
- 低血糖(低血糖は不安を増強)
- 疲労(疲労物質である乳酸との関連)
- 睡眠不足
- 過呼吸(二酸化炭素の上昇などが過呼吸を引き起こす)
- 蛍光灯(ピカピカするフリッカー効果との関連) など
パニック障害の治療はどうすればいいの?
病院での治療は薬物療法と心理療法(認知行動療法)が中心です。
認知行動療法
物事を悪い方にばかり考えたり、本来恐怖や不安を感じる必要のないことに過敏に反応してしまう考え方や行動を理解し、電車にのれない、人ごみを歩けないなどの行動をコントロールできるようにしていく訓練療法。
自律訓練法(リラクゼーション)
不安やパニックが起きたときに呼吸法やリラクゼーション法によってコントロールする方法
暴露療法(エクスポージャー)
不安や恐怖のために避けている場所や状況に少しずつ慣らし、克服した経験をつんで自信をつけていく方法
パニック障害を直していく為には
病気を理解する
- 周囲の人も病気について理解することが必要
- 身体に異常がなくとも激しい症状が起きる病気があるということを認識する
- パニック障害は、つらい病気であるが、死を招くような病気ではないことを確認する
- パニック障害は気持ちの持ち方で起こる病ではない。
- 自身の都合が悪いのでわざと起こしている病気でもないことを確認する
- パニック障害は完全にコントロ-ル出来る病気であることを確認する
発作が起きてもあわてず騒がず
周囲が騒ぐと本人の不安が増します。
楽な体勢にさせてやさしく声をかけたり身体を摩ったりして落ち着かせ安心させる。
パニック障害の治療の根本はまず発作を完全に消失させることが大事です。
発作が起きてから薬を飲んでも効果発現時には発作は終わっているので意味がないので、発作を起こさないようにきちんと服薬することが肝要です。
外出や通院の同行や食生活のサポート
広場恐怖があると一人で電車に乗る事や街中を歩くことが困難な為日常的なサポートが必要です。
例えば、食事や睡眠など生活全般を整えていくための食事療法などが有効です。
パニック障害と間違いやすい病気は?
パニック障害と間違いやすい病気として、僧帽弁逸脱症、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、低血糖、褐色細胞腫、側頭葉てんかん、メニエール病、自律神経失調症、心臓神経症、過呼吸症候群、不安神経症など沢山の病気があるので、しっかりと検査することが大事です。
また、「過呼吸(過換気症候群)」や「甲状腺疾患」などがあり、これらの病気がないことを調べるために血液検査、心電図検査、レントゲン検査などを行います。
パニック障害と併発しやすい病気
パニック障害と併発しやすい病気に「うつ病」があります。
パニック障害の発症前からのものや、パニック障害が治まった後のものも含めればパニック障害患者の半数以上がうつ病を発症しているといいます。
うつ病もパニック障害と同じように、脳内セロトニンの働きの低下が関係している為です。
パニック障害は本人にとっては死の恐怖を感じる発作です。
治療には2~3年という長い年月が必要でご家族など、周りの方がこの病気のことを理解して支えてあげることが大切です。