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不眠症とは?① ~眠りたくても眠れない…不眠症の特徴と4つのタイプ~
「疲れているのに眠れない・・・」
「寝てもすぐに目が覚めてしまう・・・」
そんなふうに悩んでいる人はたくさんいると思います。
今や日本人に5人に1人は睡眠に問題を抱えていると言われています。
今回はそんな不眠症の原因をまとめてみました。
目次
そもそも「眠る」とはどういうこと?
ご存じの人も多いと思いますが、睡眠には浅い眠りの『レム睡眠』と、深い眠りの『ノンレム睡眠』があります。
この、浅い眠りと深い眠りがとても重要なポイントです。
睡眠は、一気に深い眠りである『ノンレム睡眠』から入ります。
そのため、よく「しばらく寝ていない」という人がいますが、急に深い眠りに入ってしまうので、記憶にないだけで、実は必要最低限の睡眠はとれているのです。
人間は頭をたくさん使うため、脳が熱を持ってしまいます。
その、脳の熱を冷ますのが深い睡眠『ノンレム睡眠』で、この深い眠りは記憶にないだけで、必ず自然とキープされます。
そのあとの浅い眠り『レム睡眠』は、体を休めるためのものなので、どうしても寝つきが悪い時などは、もぞもぞしていれば体力は回復されます。
レム睡眠とノンレム睡眠は一晩に数回繰り返されます。
これにより、体と脳の両方が休まり、精神的・身体的な健康の維持に繋がっているのです。
まずは、過剰に心配しないこと。
不安が睡眠にとって一番よくないことなのです。
不眠症の原因とは?
不眠症の原因はさまざまですが、主に以下の5つが原因と言われています。
これらは、英語の頭文字をとって「5つのP」と呼ばれています。
- 生理的な要因(Physiological)
- 心理的な要因(Psychological)
- 身体的な問題(Physical)
- 薬理学的な要因(Pharmacological)
- 精神医学的な要因(Psychiatric)
生理的な要因(Physiological)
生活習慣や睡眠時の環境に原因があるケース。
眠りに入るときの環境も重要です。
明るさ、温度、湿度、音などは睡眠に大きな影響を与えます。
室内はできるだけ暗くしましょう。
また、眠りに入る直前に携帯などを使うのは良くありません。
画面から発する光が脳を覚醒する働きがあるためです。
また、昼夜逆転生活をしていたり、夜勤勤務の仕事で昼に眠っている、日中に光を浴びていないと、眠りにつきにくくなります。
他にも、適切な食事や適度な運動、体に合った布団や枕なども大切です。
心理的な要因(Psychological)
不安や心配事が気になって眠れない、楽しいイベントの前に気分が高まって眠れないというケース。
不安や心配事、ショックな出来事、緊張、落ち込み、イライラなど、なにかしらのストレスがあると睡眠の妨げになってしまいます。
人間関係や仕事のストレスなど、身体はストレスを受けると緊張状態を保とうとするため、交感神経が興奮してしまい、なかなか睡眠に入れなくなってしまいます。
眠れたとしても、眠りが浅かったりで睡眠の質は落ちてしまいます。
身体的な問題(Physical)
体に痛みや、かゆみ、尿意などがあり、しっかり眠ることができないケース。
こういった場合、アレルギーや何か他の疾患が原因になっているかもしれません。
薬理学的な要因(Pharmacological)
飲食物の影響や薬の副作用が原因のケース。
アルコール、ニコチンやカフェインなどは睡眠の質を悪くしてしまいます。
「アルコールは眠りにいい」というようなことを聞いたことがあるかもしれませんが、実際は違います。
眠りには入りやすくなりますが、睡眠の質は落ちてしまいますし、アルコールの効果が切れると中途覚醒の原因にもなってしまいます。
ニコチンとカフェインには覚せい作用があるため、寝る前に摂取してしまうと不眠に繋がるかもしれません。
また、ステロイド薬やインターフェロン、パーキンソン病の薬などが不眠症を起こすこともあります。
精神医学的な要因(Psychiatric)
精神的な病気を患っているケース。
うつ病や双極性障害、統合失調症などの疾患を持っている場合は不眠症になりやすいと言われています。
原因が複雑にからみあっていることも…
上記にあげた5つの原因は、一つではなく混合している状態のときもあります。
不眠症は複数の要因が複雑にからみあっていることが多く、簡単には改善しないことも多いです。
不眠を引き起こす根本的な原因を探し、対応していくことが治療に繋がると言えます。
不眠症になりやすい性格がある?
不眠症は、ストレスが不眠の原因になっていることもあるので、ストレスを溜めやすい性格の人が不眠症になりやすいと言えます。
具体的には…、
- 完璧主義の人
- 心配性の人
責任感が強かったり、細かいところまで気を使える人は、寝る時間になってもあれこれと考えてしまい頭がフル回転状態です。
そのため、脳が寝る体制に入れず、「眠れない」という状態になってしまいます。
一方、不眠症になりにくい人もいます。
- 物事を楽観的に捉えられる人
考えすぎないように、ある程度楽観的に物事を捉えることも大切、ということです。
不眠症になりやすい人に当てはまっていても、気分転換ができていたり、ポジティブに物事を考えられる人は不眠症にはなりにくいようです。
不眠症の原因まとめ
不眠症の原因は、精神的なものから睡眠時の環境までさまざまです。
部屋の温度や明るさなどはすぐに改善することができますが、人間関係など「そんなにすぐに改善できない」というものが原因の場合は、病院で相談してみると良さそうです。
また、完璧主義の人は、物事をもう少し楽観的に考えてみることも一つの解決案です。
心に余裕を持つことが意外と大事なのかもしれませんね。
参考:
不眠症の人を救うために生まれた本『保存版』:地上最高の睡眠マイスター Kindle版, 青柳 利通, Amazon Services International, Inc., 2021/6/9
日本臨床内科医会,不眠症, https://www.japha.jp/general/byoki/insomnia.html,(2021)