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パーソナリティ障害とは?① ~生きずらさの原因は…?10種類のパーソナリティ障害とその特徴~
本当は自分のことを受け入れて欲しいと思っているのに、過度な心配のため、なかなか自分を出せず、普段の生活でも生きづらさを感じているのが「回避性パーソナリティ障害」です。
失敗や傷つくことを極端に恐れ、失敗するくらいなら、最初からやらない方がいいと思っています。
回避性パーソナリティ障害の特徴は?
回避性パーソナリティ障害の特徴を一言であらわすと、
自己不全感があり、自分への否定的評価に対して敏感。批判や拒絶を恐れ引っ込み思案。
となります。
パーソナリティ障害の中では、C群(不安や恐怖を強く感じる。抑うつ的な症状がみられる)に分類されています。
回避性パーソナリティ障害は、自分のことを批判されたり、嫌われたりすることを過度に恐れ、人との関わりを避けるのが特徴です。
「話し方がおかしい」
「スーツの着こなしが変」
などと言われるのではないかと思い、就職の面接にすら行けないということもあります。
回避性パーソナリティ障害は、アメリカの一般人口の約2%の人にみられ、発生率に男女差はないと言われています。
また、他の病気もしばしばみられ、次のうち1つ以上がみられます。
- うつ病、または気分変調症(持続性抑うつ障害)
- 強迫症
- パニック症、社交恐怖症などの不安症
- 別のパーソナリティ障害(依存性、境界性など)
精神科通院者の10~25%に該当し、大部分はうつ状態や不安障害が受診の理由となっています。
また、思春期から成人期にかけて発症しやすいため、不登校や引きこもりに繋がってしまうことも少なくありません。
主な特徴は、
- 人に嫌われることを恐れるあまり、信頼関係を築けない
- 本当の自分を出せない
- 自分は人より劣っていると常に劣等感を抱いている
- 恥をかくのを避けたいと思い、物事にチャレンジができない、仕事に就けない
- 「自分は好かれている」、「この人は自分のことを批判しない」と確信が持てないと人に近づけない
など。
回避性パーソナリティ障害の人は、「批判されるのではないか」、「笑われるのではないか」、「嫌われるのではないか」と、過度に心配をしてしまいます。
そのため、なかなか人と仲良くなることができません。
仕事においては、本人は「仕事に就きたい」と思っていても、面接の時点で「自分は変な人と思われるのではないか」と心配してしまい、面接自体を断ってしまうこともあり、社会的に孤立してしまいます。
回避性パーソナリティ障害の人にとって、社会で生きることは、楽しさよりツラい方が強く感じられてしまい、さまざまな新しい楽しさを求めるよりも、失敗したり、嫌な思いをする危険の方が心配になってしまいます。
いわゆる「食わず嫌い」の人生観にとらわれてしまっていて、チャレンジという言葉とは正反対の場所で縮こまっているのです。
「無駄」「無理」「どうせ」「やっぱり」が口癖で、自分が無能力で取柄がなく、失敗する、嫌われる、という考え方に縛られています。
自分に自信がないため、何事にも消極的になりがちですが、特に対人関係で傷つけられることに関して敏感です。
傷つけられるくらいなら、一人の方がマシだと思っていて、自分から進んで友達を作ることもあまりありません。
本心では人との触れ合いを求めていますが、自分はどうせ人に愛してもらえないと思い込んでいるため、深い対人関係を避けてしまいます。
また、回避性パーソナリティ障害の人は、引きこもりになることも少なくありません。
引きこもりは、職場や学校で恥をかいたり、失敗したことがきっかけになったり、目立つ立場に立たされたり、責任を与えられることが回避を強める結果に繋がることもあります。
引きこもりが見られやすいパーソナリティ障害として、自己愛性パーソナリティ障害、統合失調質パーソナリティ障害、そして、回避性パーソナリティ障害があります。
特に長く続く引きこもりは、統合失調質パーソナリティ障害と回避性パーソナリティ障害に多いようです。
傷つくのが怖くて、学校や社会に出られないのが、回避性パーソナリティ障害の特徴です。
回避性パーソナリティ障害の特徴まとめ
回避性パーソナリティ障害は、拒絶されたり恥をかいたりすることを恐れるあまり、人との接触を過度に避けようとしてしまいます。
そのため、周囲からは「人と関わりたくないのかな」と思われがちです。
しかし、本心では、人と仲良くなりたいと思っていて、もっと自分のことを受け入れてくれるような関係を望んでいます。
傷ついたり裏切られるのではないかという不安から、言いたいことを我慢したり、親しくなりたいという気持ちを抑えてしまうのです。
また、自分に自信がないために、仕事に就きたくても面接にすら行けず、社会的に孤立してしまうこともあります。
参考:
パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか, 岡田尊司, PHP研究所,2004/5/31
回避性パーソナリティ障害(AVPD),MSD マニュアル家庭版