「病は気から」と言われますが心の状態は体の状態に強く影響を与えることがあります。
体に傷や炎症などがなく、社会生活で受けるストレスや日々抱えている不安といった、心理的な要素が原因となって発生する痛みが「心因性疼痛」です。
痛みは心理的要因によって悪化することがあります。
- どの整形外科医に行っても痛みが治まらない
- いくら検査をしても異常が見つからない・・・
- 色々な治療法を試しても効果が見られない
このような心当たりがある場合は、心療内科の門を叩いてみる必要があるかもしれません。
目次
ストレスが痛みの原因になる?
持続する痛みに不安が生じ、痛み自体がストレスになり精神的不安定になりうつ的な状態になり自分の痛みを誰にも理解してもらえない。
不安や怒りなどの心理状態が身体の特定部位に虚血状態を生じさせ、疼痛(とうつう)を引き起こし、ストレスによって自律神経系や内分泌系、免疫系など、体のさまざまなシステムが不調になり、痛みを抑えるシステムである「下行性疼痛抑制系」がうまく働かなくなる事があり同じような身体疾患の人より痛みがひどくなります。
それは、ブリケ症候群、ヒステリー、心因性疼痛と呼ばれることもある身体表現性障害です。
この障害は全体的に女性に多く見られ、ストレスが原因によって起きるもの、30歳以前に起きるもの、激しい痛みを伴うもの、自分の外見に欠陥があると思いこむもの、自分が深刻な病気にかかっているのではとこだわってしまうもの、などパターンが多いため、多くの種類に分類されさまざまな精神疾患が含まれることがあります。
元来の性格や育った家庭環境などに影響されていることや劣等感や醜形恐怖、対人恐怖などが根底にみられる場合も多いです。
心因性疼痛はどんな治療法が有効?
疼痛には、その発症や経過に心理的因子が密接に関与しているため、体の痛みと心の痛みに配慮した総合的な治療が必要です。
心因性疼痛の場合、痛みが身体的問題でなく心と体の関係に気づき、気持ちの切り替え、視点の転換、自己の感情や行動のコントロールが出来るようになると8~9割が完治するとも言われています。
慢性の心因性疼痛では、多くの場合、苦痛や不快感を軽減し、身体的および心理的な機能を改善することが治療の目標になります。
バイオフィードバック法
自身の緊張の状態やリラックスする為の方法を血圧・心拍数・心電図・筋電図などの数値で体感してもらいながら自分自身でストレスとリラックスをコントロールできるようにトレーニングしていく治療法
自律訓練法
ドイツの精神科医シュルツによって開発され心身を効果的にリラクゼーションさせる代表的な方法です。
身体をゆるませて、心をほぐす」という方法で、身体の部位ごとに力を抜いていき、リラックスした時の身体を意識的に再現して体のリラックス状態を作る。
注意転換法
音楽を聴く・軽い運動・アロマテラピー・誰かと話す・深呼吸など短時間で何かに集中し、気分を切り替える方法です。
催眠療法
催眠誘導という手法を使って、普段閉じている潜在意識の扉を開け、潜在意識の中に注意を向けていく心理療法です。
経皮的電気神経刺激法(TENS)・理学療法などが用いられることがあります。
心因性疼痛は「気のせい」ではなく、れっきとした「疼痛」と認識されています。
疼痛の原因をしっかりと理解し、専門家と一緒に治療を進めていくことが大切です。