未来が見えづらい現代、あなたは自分自身の未来をどのように考えていますか?
明るい未来か、否定的な未来、どちらかになる確率は五分五分です。
「心の中の不安をすっきりさせるメソッド」では、未来を否定的ではなく肯定的に考え、不安より満足感を覚えることで、もっと自分を大事にする方法をご紹介していきます。
第7回は、「自分と他人を比べる人の共通点」の続き、「不安とどう向き合うか」を解説していきます。
不安とどう向き合うか
前回、「でも」という言葉が、考えすぎるきっかけ、不安をもたらすきっかけになっているという話をしました。
自分に能力がないと信じ込んでしまっている人は、一様にこんな言葉をつぶやきます。
「同じ大学を出たのに、あいつは一流企業に入って昇格している。でも自分は…」
今の仕事が好きかと言われれば、好きとも言えず、できれば辞めたいと思っている。
しかし、辞めてしまっても次の仕事はもっと条件が悪くなるかもしれないし、最悪なかなか再就職できないかもしれない。
それに、仕事を辞めればお金が入ってこない。
第一、やりたい仕事があるわけでもないし、自分がどんな仕事に適しているか分からない。
一体どうすれば、自分のやりたいことが見つかるのか、何から始めたらいいのか…。
考えれば考えるほど、何をしたいかどころか、自分には何の能力もないように思えてくる…。
楽しくはないけれど、今の会社にしがみついていた方が「安全」だと思っている。
しかし、“無意識の自分”はそれに納得はしていない。
そうなると、誰かに愚痴をこぼしたり、自分でも気づかないうちに他人にそれをぶつけたりして、いつか「会社を辞めるかどうか」という選択をせざるを得ない状況を“無意識の自分”が引き起こすことになります。
まず「したくないこと」をはっきりさせる
例えば、なかなか就職先が見つからない男性がいたとします。
彼は働きたいと思っているけれど、就職先が決まらない、という捉え方をするでしょう。
これを「無意識の視点」から見ると、彼の就職先がなかなか決まらないのは「なかなか決まらない」のではなく、彼自身の「決めたくない」という感情が自分の足を引っ張っている、という可能性があります。
「決まらない」という現象には、「彼の意志もはたらいている」ということです。
では、どうして彼は「決めたくない」のでしょうか。
例えば、
- もっと自由な時間を持っていたい
- 一般常識や規則、ルールに従って生きるのは苦痛だ
- 社会人として責任を持ち、働く自信がない
- 人付き合いが苦手で周囲とうまくやっていく自信がない
これらが、自分では気づかずに抱いている“もろもろの感情”ということになるでしょう。
無意識にこのような感情を抱いていたら「探してもなかなか仕事が見つからない」ほうが、自分にも他人にも「働きたくても働けない」と言い訳ができて好都合です。
そして、もっとも大きな理由は、「しなければならない」」という思い込みで自分を縛っている点にあります。
この「しなければならない」機能が発動すると、「やりたい、やりたくない」というもっとも本質的・重要な感情が一切排除されてしまいます。
もし、この時、仕事などに対して「やりたい、やりたくない」という感情が動けば、すぐに「しなければならない」司令塔が働き、
「そんな身勝手なことを言える立場なのか」
「そんな我がままが許されると思っているのか」
と、自分を監視する「もう一人の自分」が飛び込んでくるのです。
この時、自分の感情に素直に従って、
「私は、AではなくBがしたいのです。だからBをやります」
と決めてしまえば、
とすっきり終わってしまうところでしょう。
ところが、「しなければならない」という思考で自分を縛っている人は、自分の感情を牢獄に閉じ込めています。
そのため、「したくない」という自分の感情が顔を出そうものなら、それを無理やり抑えて沈めようとします。
“したくない自分”を犯罪者のように迫害して、
「そんな私は、ダメな人間です」
と、できない自分を責めます。
まさに「思考」と「感情」の板挟み状態です。
しかし、彼の「働きたくない」という気持ちはむしろ正常な反応で、「就職先がない」のも、自分にとってはむしろ「正当な結果」と言えるのではないでしょうか。
あなたの無意識は、あなたの欲求や願望を満たすことを心から望んでいます。
どんなにあなたが自分に「しなければならない」と強制しようとしても、あなたの本心に染みなければ、あなたの無意識は、あなたの本心に添うように動くのです。
どんなにあなたが自分を否定しても、社会の規範の中で生きようと頑張っても、あなたの「感情」が納得していなければ、あなたの無意識はあなたの思いを遂げようとします。
自分の感情に寄り添い、癒す
今、自分が直面している苦しみから逃れたい一心で、思考に頼ってしまうのは無理もないことです。
しかし、どんなに思考しても堂々巡りになったり、精神的に疲弊してしまうのなら、その思考は無駄ですし、場合によっては害になったりします。
もし、いまあなたが、そのような状態に陥っていたら、
と考えたほうがはるかに健全でいられるのではないでしょうか。
また、無駄な思考から解放されるために、
と捉えるのも有効です。
不安や恐れは、あるとき、にわかに起きるものではなく、過去の親子関係や自分の過去の経験の経験の中で形成されます。
その長い歴史や経験で見についたものを「いますぐ解消しようとする」のは、到底無理な話なのです。
すぐにネガディブな感情が解消できないということは、それだけ自分が「傷ついている」という証拠。
それならなおさら、もっと「自分のn感情に寄り添って、癒す」必要があります。
そう心得ておきたいところです。
過去の傷みはひとそれぞれで、その解消に必要とする時間もそれぞれ異なります。
人と自分が違うからといって、自分を責めるのは見当違いなのです。
傷みを抱えている人ほど、自分の心に寄り添い、
と、強く決断してください。
「したくなかったら、しない」
「したかったら、する」
すぐに実行できなくても、
そう自覚するだけでも、心にスッと明るい光が差し込むようになるはずです。