「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第5回は、前回の「問題となる4つの怒り」の続き、「アンガーマネージメントとは?」を解説していきます。
アンガーマネージメントとは?
ここまで怒りによって損をすること、怒りの特性などをご紹介してきましたが、では怒りをコントロールする「アンガーマネージメント」とは、そもそもどんなものなのでしょうか?
怒ることを後悔しないためのトレーニング
アンガーマネージメントは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニングです。
当初は、DV(ドメスティックバイオレンス)や差別、軽犯罪者に向けた矯正プログラムとして確立されました。
現在では、企業や教育機関でも広く導入されており、教育・職場環境の改善、学習、業務パフォーマンス向上を目的に、多くの人に取り入れられています。
日本で、アンガーマネージメントの普及に努めている、一般社団法人アンガーマネージメント協会では、アンガーマネージメントについて、
と、定義しています。
怒らないことがアンガーマネージメントだと捉えている人がいますが、これは大きな間違いで、実は日本人にはこのタイプが多いと言われています。
怒りを感じたときに我慢して、後で「ああ言えばよかった」「こう言い返せばよかった」と、イライラを引きずった経験はないでしょうか。
または、怒りを溜め続けた結果、何かのタイミングで怒りを爆発させてしまったことはないでしょうか。
溜め込んだ怒りがストレスになって、心身の不調に繋がることもあります。
しかし、怒りは人間が生まれつきもっている感情なので、生きていく上で必要不可欠、ゼロにはできません。
怒りを感じることに罪悪感をもつ必要はないのです。
怒ってはいけないのではなく、怒る必要がある時には適切な怒り方ができて、怒らなくてもいいことには怒らなくて済むようになれることを目指すのが「アンガーマネージメント」です。
つまり、
「怒っておけばよかった」
と、後悔しないようになる自分を目指します。
怒りを上手に伝えよう
怒りを抑えこむことのデメリットは、ストレスが溜まり心身が不調になることだけではありません。
怒るべきに怒らないと、相手の主張をそのまま受け入れることになるのが、もう一つのデメリットです。
何があっても怒らずにただただ耐えるだけになってしまうと、理不尽な状況を放置することになります。
そのため、無駄に怒らないことと同じくらい、「上手に怒りを伝える」ことが重要になります。
怒りを感情的にぶつけるのではなく、リクエストを伝えて改善を求める。
そのためには、何に対して怒りを感じたのかを自分で把握した上で、相手にどうして欲しいのかを相手上手に伝える必要があります。
大切なのは、相手を打ち負かすことを目標にしないことです。
怒っているとどうしても攻撃的な表現になってしまいますが、それでは相手が反発してしまいますし、反発されると余計にイライラして、さらに攻撃性が増す、という悪循環に陥ってしまいます。
伝え上手になれば、怒りのスパイラルから抜け出し、状況を変えられるようになるのです。
次回、「怒りが生まれるメカニズムを知る」、へ続く