「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第10回は、前回の「怒りのピークは6秒!衝動をコントロールするには②」の続き、「21日で怒りっぽい人を卒業するために①」を解説していきます。
目次
21日で怒りっぽい人を卒業するために①
中長期的に取り組んで体質改善!
前回まで、とっさの怒りに効く、短期的・即効性のある対処法をご紹介してきましたが、怒りっぽい性格だった人を変えていくには、じわじわと体質を改善するような「中長期的な取り組み」も必要になってきます。
「アンガーマネージメント」は、心理トレーニングと言われていて、知識・情報を詰め込んでも、すぐに身につくわけではなく、実際に使えるようになるまでにはある程度のトレーニングが必要です。
人は新しい習慣を身につけるために、目安として21日間必要だと言われています。
3週間とはいえ、毎日続けたり、内容が難しかったり、特別なツールが必要だと途中であきらめてしまうかもしれませんが、これからご紹介する5つの方法は、どれも簡単で、思いついたその場で取り組めるものばかりです。
まずは、5つのうちの3つをご紹介します。
【1】アンガーログ
(私の怒りのツボが見えてきた…!)
どんな仕組み?
「なぜだか分からないけどイライラする」「なんだか腹立たしい」「もやもやする…」。
このような怒りは原因が分からないだけに対処しづらいですし、急にキレてしまう恐れもあります。
アンガーログは、日記のように毎日怒りの記録をしていくことで、つかみどころがない怒りを客観視できるようになり、自分の怒りの傾向をつかめるようになる取り組みです。
やり方
普通の日記をつける要領で記録していきます。
アンガーログをつける時のポイントは3つです。
- その場で書く。その場で書けないときは、あとでもいいがあまり時間をおかない
- 怒りを感じたらその都度書く
- 書いている時には分析しない
【記入例】
日時 | 〇月✖日 |
場所 | 職場 |
出来事 | なかなか返事がこないので先方に確認の電話をしたら、役所の職員に「そんな話は聞いていない」「もう一度資料を届けろ」と言われた! |
思ったこと | 役所仕事は要領が悪くて腹が立つ。あの係長、以前会った時からしっかり対応してくれない予感がしてた。 |
怒りの強さ | 4(スケールテクニック。10段階) |
専用のノートを用意してもいいですし、スケジュール長、日記帳、スマートフォンに日記機能などを活用してもOKです。
書き方も自由です。
【2】べきログ
(こだわっているのは自分だけ…?!)
どんな仕組み?
怒りは自分が信じている「べき」が思い通りにならないために発生します。
やっかいなことに「べき」の基準は人それぞれ違うため、裏切られたり、自分の思い通りにならないことが多いものです。
つまり「べき」は、自分にとっては真実でも、全ての人にとっては真実ではない、ということです。
「べき」が分かれば怒りの原因は何か?いつ、どこでどんな場面で、どの程度の怒りが生じるのかも分かるようになります。
この「べき」と向き合うことで、怒りとうまく付き合えるようになります。
まず、アンガーログを1週間くらいつけてみると、気づきが多くなります。
やり方
イライラすることが多い時には、自分が日頃信じている「べき」を洗い出してみましょう。
普段、自分が「当たり前」だと思っていること、「こうあって欲しい」と期待することを言語化してみます。
「べき」を書き出したら、自分にとっての重要度を1から10までの数字をつけ、どのような「べき」を重要視しているのか、その通りにならないと、どの程度の怒りが生じやすいのかが分かるようになってきます。
また、「それぞれの「べき」の境界線は明確か?」「自分の「べき」を周囲の人に伝えているか?」「全ての人に通じる「べき」なのか?」「許容範囲を広げることはできるのか?」などについて振り返ってみましょう。
ただし、あれもこれもとログをとろうとすると負担になるため、無理は禁物です。
自分のべき | 低 ← 重要度 → 高 |
玄関で脱いだ靴は揃えるべき | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
メールは24時間以内に返信すべき | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
バスタオルは1日1回取り換えるべき | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
会議には5分前に集合すべき | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
挨拶は目を見てするべき | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
電車内では携帯電話で話すべきではない | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
【3】ハッピーログ
(あれっ?幸せってじつはここにある…!?)
どんな仕組み?
あなたの日々の生活を振り返ってみると、イライラしたり、怒りを感じることばかりではなく、嬉しかった、良かった、ラッキーだと感じることもあるはずです。
ハッピー(幸せ)だと感じることにも目を向けて記録すると、身近でささいなことにも幸せを感じられるようになります。
やり方
フォーマットは自由です。
アンガーログと同じように、書きやすいものに記録していきましょう。
ハッピーログを記録する時の注意として、些細な幸せを見逃さないことです。
例えば、「企画が通った」などは自覚しやすい幸せですが、毎朝食べているご飯が美味しいなどの小さな幸せは、朝出勤する時には忘れてしまいます。
日頃、怒りを感じる機会が多い人ほど、自分の状況を理不尽に感じているので、日常のあちこちにある幸せを見逃しがちです。
ハッピーログをつけて、幸せを自覚できれば「自分の人生はイヤなことばかりではない」と、現状に対する捉え方が変わって、怒りやストレスが減っていきます。
- 朝の目覚めがとても良かった
- 髪型がバッチリ決まった
- 朝の通勤電車で座れた
- 後輩の仕事を手伝ったら「ありがとうございます!」と、思った以上に感謝された
- カフェで飲んだカフェラテが美味しかった
- 仕事が段取り通りに進んだ
- 取引先の人から「あなたにお願いして良かった」と言われた
- マッサージに行って、身体がとても楽になった
- お風呂にのんびり入るころができた
最初はログをつけるのが大変だと感じるかもしれませんが、3週間(21日)経てば、新しい習慣として定着します。
歯磨きをするのが当たり前だと思うように、アンガーログやハッピーログを日常生活に組み込んでいきましょう。
次回、「21日で怒りっぽい人を卒業するために②」、へ続く