「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第12回は、「21日で怒りっぽい人を卒業するために②」の続き、「【思考をコントロールする】「べき」の三重丸」を解説していきます。
目次
【思考をコントロールする】「べき」の三重丸
「べき」の三重丸とは?
前回まで、怒りに対処する方法をご紹介してきましたが、ここからはもう少し「怒り」について詳しくみていきましょう。
「怒りが生まれるメカニズムを知る」でも解説した通り、怒りは、自分が信じている「べき」から生まれ、その「べき」の程度は人それぞれ違います。
人と関わる時は、この違いを意識して、どこまではOK(許容範囲)で、どこからがNG(許容できない)なのかという「べき」の境界線、「怒る」「怒らない」の境界線を明確にすることが大事です。
この「べき」の境界線を三重丸で考えてみます。
一番中心の丸【1】は、自分と同じ「べき」なので、当然許容範囲。
次の丸【2】は、少し自分とは違うけれど、許容範囲です。
問題は、一番再度の丸【3】で、ここは許容できないゾーンです。
アンガーマネジメントでは、「怒ること」「怒らないこと」の線引きができるようになることが大切です。
【1】【2】で受け止められるなら許容し、【3】であれば相手に伝える(怒る)、【2】【3】の境界線(点線)を、「怒る・怒らない」の境界線とする、という判断をします。
例えば、大切な会議でも世間話をやめようとしない同僚に対し、あなたはイライラを募らせていたとします。
そこで自分の境界線を見直してみてください。
よくよく考えると、同僚の世間話は【2】、つまり自分はしないけれど、怒る必要のない許容範囲だったりしないでしょうか?
このように、自分の境界線を明らかにしたら、次の取り組みを行います。
境界線を相手に伝える努力をする
自分の「べき」が当たり前だと思うと怒りも大きくなります。
特に、家族、友人、一緒に働いている人など、付き合いが長い相手には、どのような「べき」を大切にしているのかを伝える努力も大切です。
抽象的な「ちゃんと」「丁寧に」「きちんと」などは、相手と自分とでは基準が違う可能性があります。
例えば、
「ちゃんと報告をしなさい」
「社会人らしい身だしなみにしなさい」
「もっと丁寧な言葉をつかいなさい」
など、部下や子どもに指示したり、叱ったりする場面で、上記のような抽象的な表現が多くなる傾向があります。
「ちゃんとした報告」とはどのようなものを指すのか?
「社会人らしい身だしなみ」とはどんなものなのか?
自分のイメージと相手がイメージが違うと、当然期待通りの行動は望めず、結果、さらにイライラしてしまうのです。
誰かと共に生きるということは、お互いの境界線を知り接していくことです。
特に、身近な大切な人とは、どこが境界線なのかを伝え合っておくことをおススメします。
部下や子どもの指導で、「~あるべき」「~すべき」が共通認識になるように、境界線を具体的な表現で伝えておくと、いざ叱られた時に「なぜ叱られたの」を相手が理解しやすくなります。
境界線を広げよう
「べき」の許容範囲が狭く、自分の「べき」に固執し続けると、寛容さや柔軟性が乏しくなり、相手との間に壁を作るだけでなく、その壁を守るために怒りで防衛したり攻撃するなど、さらなる怒りを生み出してしまうことになります。
そのために「べき」の許容範囲を広げる努力をしましょう。
許容範囲を広げることは、自分の価値観を捨てて境界線をなくすことでも、相手の「べき」に迎合することでもありません。
少し考え方を緩めて、いろいろな「べき」があるものだと認めることが大切です。
どちらが正解・不正解とは思わず、相手がなぜそう思うのか?に意識を向けてみましょう。
境界線のゆらぎを安定させる
「べき」の三重丸のそれぞれの範囲は、常に一定ではなく状況次第で大きさが変化しています。
この境界線のゆらぎを安定させる、つまり自分の機嫌や気分によって境界線を変える、許容範囲を大きくしたり狭くしたりしないことが大切です。
例えば、「自分で使った物は自分で片づけるべき」と思っているあなたは、いつもだったら子どもに向かって「片づけない!」と言っているはずですが、気分がいい時は見逃したり、「まぁいいか」と許容していないでしょうか。
ところが、期限が悪い時には怒って「今すぐに片づけなさい!」と怒る…。
そんなあなたを子どもはどう思うでしょうか。
逆にあなたが叱られる立場を想像するとわかりやすいかもしれません。
叱られた側は基準がコロコロ変わるので、「今日は機嫌が悪いのかな…」などと思うでしょうし、本来の意図が伝わらずに、不信感を持たれる可能性もあるのです。
次回、「【行動をコントロールする】思い込みの分かれ道」、へ続く