「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第17回は、「3つのコミュニケーションのタイプ[非主張的タイプ]」の続き、「3つのコミュニケーションのタイプ[アサーティブ]」を解説していきます。
目次
3つのコミュニケーションのタイプ
自分も相手も大切にする自己表現を目指す
「怒ってもいいけど、適切な怒り方をする」ことを目指すのが、アンガーマネジメントです。
「適切な怒り方」がどんなものか理解するのに活用できるのが、「アサーティブコミュニケーション」の考え方と伝え方です。
アサーティブコミュニケーションとは、自分も相手も大切にした自己表現方法です。
感情に振り回されず、相手と対等に向き合い、率直に問題解決を目指して話し合うことを目指します。
アサーティブ
特徴
お互いの主張や立場を大切にした自己表現をするタイプ。
コミュニケーションのスタイル
自分が感じたこと、思っていることを正直に、素直に、相手や自分を責めることなく、相手や状況に合わせて伝えることができます。
そのためにはどうすればいいのでしょうか?
感情をうまく伝えるために
怒りは悪いものではなく、人間にとって自然な感情ですが、怒りに対して悪いイメージを持っている人は多く、怒りを感じることさえ認めない、という人もいます。
しかし、怒りの感情の裏にある一次感情と向き合わないと、今後は感情的な言葉が噴き出すことになります。
「なんで~するの?」「どうして~しなかったの?」「最低!」「バカじゃないの!」などと、相手を責めたり非難する言葉や、不毛な愚痴などです。
これでは、本来相手に分かって欲しかった感情ではなく、感情的な言葉だけが相手に伝わることになってしまいます。
感情的になることと、感情を伝えることは同じではありません。
自分が感じている気持ちに向き合い、、本来分かって欲しい気持ちを言葉にすることが大切です。
最初は怒りに振り回されてしまうこともあるかもしれませんが、日々意識して取り組めば、必ず伝えられるようになります。
自分の感情をつかんで、言葉にできるようになると、怒りをぶつけてくる相手の感情にも目を向けられるようになります。
伝え上手になるポイント
①何について怒りを感じたのか、どうして欲しかったのかを把握する
自分が何について怒りを感じたのか、どのような「べき」が裏切られたのか、具体的に把握することが伝え上手になる第一歩です。
なんだか分からないけどイライラする、腹が立つという人は、自分の感情を客観的につかめていないため、どう対処すればいいのかも分からないし、伝えることもできません。
また、溜まった怒りがあふれて爆発し、いわゆる「ぶちギレる」ことになるので注意しましょう。
②「私」を主語にして伝える
「あなたが〇〇してくれればいいのに」「あなたが〇〇してくれればみんな助かるのに」など、「あなた」を主語にした口癖のある人が身の回りにいませんか?
このような人は、怒りを感じた時に「あなたが〇〇しないから」と、相手を責めるような言い方になっているはずです。
冷静に感情を伝えるには、発信源を「私」にしましょう。
「どうして欲しかったのか」「どう感じたのか」を「私」を主語にして伝えることを意識します。
✖ (あなたが)約束を守らないからいけないのよ。
✖ なんで(あなたは)こんな評価をつけたんですか。
さらに、普段から伝え上手になるためにできることをご紹介します。
③表現の引き出しを増やす
あなたは怒りを伝える時、どのような言葉や表現を使っていますか?
若い人は、「ムカつく!」「ウザい!」「ありえない!」など、バリエーションが少なく、同じような表現ばかり使っていないでしょうか?
いつも同じ言葉、表現を伝えていると、相手にはどれだけの怒りなのかが正確に伝わらないし、さらに強度が高くなるという悪循環が生まれてしまいます。
特に激しい怒りを感じた時は、興奮状態になっているので、いつもと比べて気持ちに寄り添う言葉が出にくくなります。
相手にこちらの感情をしっかりと受け止めてもらえるよう、日頃から言葉の引き出しを増やしておきましょう。
怒りを感じた時は、アンガーログをつけた時に「この怒りを言葉で表現するなら、どういう言葉が適切だろう?」と、振り返ってみてください。
④自分の思い込みにとらわれない・固執しない
自分の「べき」に固執して、他人の「べき」を受け入れる余裕がないと、イライラしやすく、攻撃的になりやすくなります。
相手には相手の「べき」があるということを忘れずに、時には「なぜそう思っているのか」と、相手の「べき」の背景に耳を傾ける余裕を持ちましょう。
⑤ネガディブな思い込みを捨てる
「こんなことを言ったら相手はこう思うに違いない」など、初めから決めつけている人がいますが、あくまでもしれはあなたの主観にすぎません。
事実と主観は違います。
「きっと相手は聞いてくれないに違いない」
「大したことない事で怒るなんて、小さい人間だと思われる」
このように思い込むと、無意識に心の中のメッセージが態度や語調に影響して、それを相手が受け取ってしまうことがあります。
まず、「真剣に伝えれば分かってもらえる」と、自分から相手を信頼して、「分かってもらいたい」という思いを素直にぶつけてみましょう。
⑥相手を打つ負かそうとせず、分かってもらうことをゴールにする
自分が信じている「べき」を相手に守ってもらえなかった時、心の中で「私が正しい!」「なんで?普通は〇〇するべきだよね?」という気持ちで相手と向かい合ってしまうと、大抵の場合、自分の正しさを認めさせようとしたり、相手を打ち負かそうとするような言葉が口から飛び出してしまいます。
例えば、「これって社会人として当たり前のことだよね」「なんで〇〇しないの?」という感じです。
本来の目的はどちらが正しいかをジャッジすることではありません。
自分が望むのは、「自分がなぜ怒りを感じたのか?」「どうして欲しかったのか?」を相手に分かってもらうことだ、ということを忘れないようにしましょう。
気をつけたい、ものの言い方
大げさな表現
- みんなが言ってるよ
- いつもそうだよね
- 絶対におかしい!
- 私の言うことを一度だって聞いてくれたことないよね
- 決して言うことを聞かないよね
- 何もかもあなたのせいだ!
(それって本当に100%事実なのか?)
主観で決めつける
- どうせあなたは私のこと嫌いなんでしょ
- やりたくないからそんなことしてるんでしょ
(誰がそんなことを行ったのか?)
「なぜ?」で相手を責め続ける
- なぜこんなことするの?
- なぜ連絡をくれないんだ!
- なぜ言わなかったの?
(「なぜ」を3回繰り返すと相手を追い詰めることに)
人格を否定する
- だらしない人だよね
- 使えないヤツだな
- あなたって最低な人ね
(相手をおとしめていい結果が出る?)
次回、「上手に叱るためのポイント」、へ続く