「ついカッとなって怒鳴って後悔…」
「怒りを抑えて苦しくなった…」
誰しも一度はこんな経験があるはず。
「怒り」で人間関係が壊れたり、仕事にも影響したり…何かと扱いづらい感情ですが、人間にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは「怒り」に振り回されず、上手に付き合うこと!
「アンガーマネージメント」は、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
アンガーマネージメントで人生をもっと楽に生きてみませんか?
第20回は、「相手の怒りへの対処法」の続き「アンガーマネージメントを実践する①」を解説していきます。
目次
アンガーマネージメントを実践する①
アンガーマネージメントで、感情のコントロールがうまくなると心が整います。
そして、周囲に感謝し、人との縁を大切にできるようになると、いろいろなチャンスにも気づけるようになります。
アンガーマネージメントを学ぶことは、「よりよい人生を手に入れるための手段」とも言えるのです。
しかし、アンガーマネージメントの知識がどれだけ増えても、実践しなければ人生を快適に生きることには繋がりません。
理屈やテクニックが多少間違っていたとしても、怒りに振り回されない努力と実践が大切なのです。
アンガーマネージメントを学び始めると、学ぶことに夢中になって実践を忘れがちになってしまうことがありますが、理論やテクニックよりも、自分なりに「怒りに対処しようとする姿勢」、「感情と上手に付き合おうとする姿勢」の方が重要です。
小さなことからも「実践する」ことを心がけてみましょう。
ではこれから、「実生活に役立てるアンガーマネージメント」として、場面別の実践方法とコツをご紹介します。
自分が怒りを感じた時、他人に怒りをぶつけられた時の参考にしてください。
【1】公共のトラブルに関わらない
通勤電車などの公共交通機関で、乗客同士のトラブルや駅員への理不尽なクレームなどを目にしたことはないでしょうか。
このような場合、どう対処するのが正しいのでしょうか?
アンガーマネージメントの立場から言うと、たとえ正義感からであっても、場当たり的にトラブルに関わるのは、一番やってはいけないことです。
強すぎる正義感は怒りの感情のコントロールの大きな障害となります。
正義感の高い人は、電車の中でのちょっとしたマナー違反を見逃すことができず、ずっと見ながらイライラしています。
しかし、「イライラするなら見ない」「そこから離れる」という選択肢もあるはずです。
マナー違反や理不尽なクレームなどに対して、不愉快になったり、正義感を発揮したくなるなら、不用意に見ない、気にしない努力をすることも、怒りの感情をコントロールする大切な能力です。
自分がトラブルに巻き込まれたら
例えば、すれ違いざまに肩が当たって「なんだよ!」と文句を言われたようなケースなどです。
このような場合、自分に非がないとしても、さっと一言謝ってしまいましょう。
ここで謝れなかったり、謝ってもあとからイライラしてしまうのは、物事を勝ち負けで考えているためです。
自分が悪くないのに謝ったり、逃げたりするのは「負け」だと感じてはいないでしょうか?
しかし、このようなトラブルに勝ち負けなどなく、謝って逃げたとしても、あなたの価値を落とすことにはなりません。
勝ち負けという思考から解放されると、人生が楽になります。
「公共のトラブルには関わらない」ことを選択肢に加えましょう。
【2】あおり運転の被害者・加害者にならないために
昨今、運転中になんらかの理由で腹を立てて、過激な報復行動をする「あおり運転」に関するニュースが増えていると感じませんか?
アンガーマネージメントは、1970年代にアメリカで生まれましたが、当時のアメリカは、この「あおり運転(ロードレイジ)」が大きな社会問題になっていました。
運転中は車という道具の力で、自分が偉くなったかのような万能感を招き、乱暴行為に走りやすくなり、また車の中はプライベートに空間なので、その人の本音が表れやすくなります。
自分がロードレイジを仕掛けられたら、絶対に挑発に乗らず、「逃げる」が原則です。
とにかく何とかして相手から離れることが大切です。
また、自分がロードレイジの加害者になる可能性も考えておきましょう。
日本アンガーマネージメント協会の調査では、90%以上の人が、運転中にイライラした経験があり、60%以上の人が、危険運転をする可能性がある、という結果が出ているそうです。
自分が加害者になるなんてあり得ない、と思う人がほとんどかと思いますが、運転中に怒りをコントロールできなくなって、加害者になる可能性は意外と高いのです。
運転をするなら、イライラする場面を想定して、
- 「自分を落ち着かせる言葉」を用意しておく
- 「自分の怒りのレベルを10段階で数値化」してみる
- 車内に家族の写真などを置く
などで、対策を準備しておきましょう。
次回、「アンガーマネージメントを実践する②」、へ続く