「現代ストレス社会」と言われる今。
ストレスフルな環境で働き続けるためには、自分で自分を守る工夫が必要です。
その工夫のキーワードが「感情」!
「感情とうまく付き合うための処方箋」では、仕事で感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの「感情」を味方につけて、ストレスから自分を守る方法をご紹介します。
第4回は、「【怒り】~「攻撃」と「我慢」はNG!~」の続き、「【怒り】~まずはクールダウンする!5つの方法~」を解説していきます。
目次
【怒り】~まずはクールダウンする!5つの方法~
あなたは「怒り」を感じた時、どう表現しますか?
「はらわたが煮えくりかえる」
「頭に血がのぼる」
「目くじらを立てる」
「へそを曲げる」
などなど…。
これらを見て、共通点があるのに気づきましたか?
身体の部位が含まれる表現が多いのです!
「怒り」を感じると、身体は戦闘モードになり、覚醒度が上昇します。
また、大事なものを守るためには、エネルギーが必要です。
そのエネルギーをうまく活用できればいいのですが、覚醒度が高い状態では、冷静な判断力が失われてしまいます。
机を叩く、怒鳴る、八つ当たりする…などの衝動的な行動に出て、あとで大後悔…なんてことにならないために、これから紹介するクールダウン法を試してみてください。
①呼吸法~ゆっくり吐くのがポイント!~
呼吸法は、その名の通り呼吸を使ったリラクゼーションです。
地面に足がつくように椅子に腰かけて、息を吐ききってから、次のように行います。
- 腹式呼吸で鼻かゆっくり息を吸う。
- 吸ったあと、1秒ほどの短い間をとる。
- 口からゆっくりと息を吐きだす。
- 吐ききったあとに、また間をおいてから次の息を吸う。
これを繰り返し行います。
ポイントは、「吸うときより、吐くときを長く!」
目安は、「吸うときの倍の時間」をかけることです。
「1、2、3」と、3秒かけて吸ったら、
「1、2、3、4、5、6」と時間をかけて「ふーっ」と吐きます。
風船をふくらませるイメージで、1分間に6~8階を目安に呼吸します。
腹式呼吸に慣れるまで少し練習が必要ですが、一度習得すれば場所を選ばす使うことができます。
②漸進的筋弛緩法~力を入れるのがポイント~
身体はグッと力を入れたあとの方が、ゆるみやすくなります。
この作用を利用したのが、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)です。
まずは、背もたれに寄りかからず、椅子に浅く腰かけます。
- 両手を前に突き出し、親指を中に入れて両手を握る。
- 肘を曲げて、両手を胸に近づける。
- そのまま両肩をすぼめて、耳に近づける。
- 脇をしめて、身体を丸めて前かがみになる。
- 顔にもぎゅっと力を入れて目を閉じる。
- 丸まったような状態のまま、全力の6~7割の強さで全身に一気に力を入れて、そのまま5秒キープ。
- 一気に力を抜いて背もたれに「だらん」と寄りかかり、そのままの姿勢で15秒ほど身体から力が抜けていく「じわーっ」とした感じを味わう。
このほかに、自分がほっとできる、リラックスできることを試してみましょう。
- 好きな香りをかぐ
- コーヒーやハーブティーを飲む
- ペットの写真を見る
- 思い出すと笑えるような出来事を思い出す
これなら職場でもできますね!
③カウンティング~カッとなったら10数える~
カッとなって怒鳴る、机を叩くなどの行動をとりそうになったとき、数を数えて時間を稼ぐのがカウンティングです。
口に出して数えても、心の中だけで数えてもOKです。
「怒り」によって心拍数が上がるなどの変化は、神経伝達物質・ノルアドレナリンによるものですが、そのピークは6秒ほど続くと言われているため、少なくとも10秒ほど数えるとよいでしょう。
それでも、抑えられないときは、
- 手をグーパーしながら10セット分数える
- 自分が好きな食べもの10つ思い浮かべる
など、アレンジするのもおススメです。
ポイントは、劇的な効果を狙わず、怒りが少しでも下がって、後悔するような言動をしないことが大事です。
④イメージ法~「怒り」が和らぐイメージを作っておく~
イメージ法は、自分の気持ちが和らぐイメージを作っておいて、腹が立ったときに使う方法です。
- 春の陽が注ぐ森の中で小川のせせらぎを聞いている
- 宇宙から見た地球
- 子どもの頃。夏休みに行ったおじいさんの家の縁側
などなど…。
実在するイメージでも、空想のイメージでもOK!
自分に合った「怒りが和らぐイメージ」を作っておいて、腹が立つことがあったら、そのイメージを思い浮かべましょう。
⑤リマインダー法~魔法の言葉で怒りを和らげる
イメージ法の文章バージョンがリマインダー法です。
例えば、
「自分の価値を下げてまで怒鳴る必要がある?」
など、自分の「怒り」が和らぎそうなフレーズを準備して、腹が立つ場面で、自分に言い聞かせます。
どんなフレーズが効果的なのかは人それぞれなので、「自分にぴったりのフレーズを見つける」のがポイントです。
ある人は、通勤途中で足を踏まれたり、ぶつかられてイラっとした時に使うフレーズとして、「あいつはいつかドブに落ちるぞ~」というアイデアを持っているそうです。
実際に相手をドブに落とすわけではないので、こんなふうに少し笑えてユーモアのある不レースも最高ですね!
…次回、【怒り】~大事なものを守るための行動を決める4つのステップ~、へ続く