「現代ストレス社会」と言われる今。
ストレスフルな環境で働き続けるためには、自分で自分を守る工夫が必要です。
その工夫のキーワードが「感情」!
「感情とうまく付き合うための処方箋」では、仕事で感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの「感情」を味方につけて、ストレスから自分を守る方法をご紹介します。
第7回は、「【怒り】~DESC法…関係性を壊すのではなく“つくる”ように怒りを表現!~」の続き、「【怒り】~「●●すべき」という考え方から自分の怒りのツボを知る~」を解説していきます。
目次
【怒り】~「●●すべき」という考え方から自分の怒りのツボを知る~
前回は、「怒り」を表現するとき、自分も相手も尊重するコミュニケーションスキル、「アサーティブネス・スキル」のひとつ、「DESC法」をご紹介しました。
では、
と思ったことはないでしょうか。
「怒り」には「不当性」が関係することがあると前にも説明しましたが、こんな時は怒りの裏側に「~すべき」という考え方が関係していることがあります。
例えば、
「新入社員は謙虚であるべき」
このように、「~すべき!」と自分が考えていることに反する言動をする人がいると、怒りが湧いてくるのです。
「怒り」を感じたら、自分の中に「~すべき」という考えがないか探して、見つかったら書き出します。
そして、次のポイントをチェックしてみましょう。
ポイント②…職場がチームとして機能するために役立つ考え方か?
もし、職場にとって役立つ考え方で、みんなに共有されていることなら話は簡単!
そのことを「アサーティブネス・スキル」を活用して、相手に伝えることで、相手にとっても、チームにとってもプラスになるはずです。
反対に、チームに機能する、職場で共有されている場合でもないときは、自分の個人的な価値観が反映されている可能性が高いです。
このような時は、
と、自分と周囲の境界を確認して、違う考え方があることを受け入れ、尊重すると怒りが和らぎます。
という具合です。
この境界が曖昧な人ほど、上司・同僚・後輩など周囲の人に「~すべき」を当てはめて腹を立ててしまいがちです。
そこに境界線を引けるようになると、楽になります。
「べき」思考から自分の怒りパターンを見つける
例:反省しない新入社員
・職場で共有:〇
・チームに役立つ:〇
「後輩にDESC法で伝える」
●新入社員は謙虚でいる「べき」
・職場で共有:×
・チームに役立つ:×
「境界を確認。違う考えも尊重」
このように、怒りを感じる場面で、自分の中にある「~すべき」という考え方を集めたら、共通するパターンがないか探してみましょう。
「上司は堂々と振る舞うべき」
「先輩は後輩より長く会社にいるべき」
→ 立場ごとで「こうあるべき」という考え方が強い
このように、自分の「怒りパターン」が分かると、次に腹が立った時、
と気づくことができます。
そのあとは、自分の対応を自分で決められるようになります。
自分が腹を立てやすい場面で、次からどう考えたら落ち着いて対処できるか、考え方・捉え方を置き換えるアイデアを出してみましょう。
「怒りパターン」を変える「置き換え思考」
…「他の人もいるのに私ばかり雑用させられる」
②メールの宛先から手違いで自分だけ抜けていた
…「私はないがしろにされている」
③先輩が後半に仕事を教えている場面を目にする
…「私の時はあんなに時間を割いてくれなかった…不公平だ」
↓↓↓
…他の人と自分が違う扱いされたとき
【考え方の共通点】
…不公平・自分がかり悪く扱われているとと捉える
【自分の怒りのパターン】
…他の人と自分が違う扱いをされた時。不公平・自分だけ悪い扱いをされていると捉える
↓↓↓
①時間の余裕・人手など、環境要因で扱いが変わることもある
②冷静になって考えよう
③私の方が優遇されている時はなかったか?思い出してみる
セルフ・コンパミッションで強い感情の裏にある痛みや傷を和らげる
強い怒りを感じるということは、自分にとって大切なものが傷つけられているということで、そこには痛みが伴います。
しかし、文化的な理由で「怒りっぽい自分」「いつも心配性な自分」を「人前で癇癪を起すのは恥ずかしい」「感情的で大人げない」と評価され、自分を責めてしまうことがあります。
実際には、感情を「感じる」ことと、それを「どう表現するか」は別の段階なのですが、自分を責めるとエネルギーが奪われるので、ますます感情とうまく付き合えなくなってしまいます。
では、どうすればいいか?
2000年代に入り、研究が進んできた「セルフ・コンパミッション」というものがあります。
文字通り、「自分に思いやりを向ける」ことを指していて、精神的な健康だけでなく、身体の免疫機能回復を促す効果も認められています。
それでは、「セルフ・コンパミッション」の行い方を簡単にご紹介します。
…どんな言葉でも構いません。自分の痛みが少し和らぐ、傷つきに寄り添う言葉をひとつ作っておきましょう。
例:そんなに腹が立つくらい傷ついたんだね
不安でいっぱいになるほど、大変な状況にいるんだね…など
…赤ちゃんが泣いている時、お母さんの腕に抱かれると落ち着いてくるのと同じように、自分を優しくハグすることで痛みが和らぎます。
恥ずかしくて無理!と思うかもしれませんが、試してみると身体の反応は違ってきます。
周りに人がいる時は、寒い時に腕を抱えるようなしぐさや、自分の腕や肩をたたいても効果があります。
…自分がホッとできるような、安全な場所のイメージを作っておきます。
空想の場所でも、実在する場所でもOKです。
温かさを感じられ、ただそこにいてもいいと思える場所のイメージです。
ツラくなった時には、そのイメージを取り出しましょう。
例:おばあちゃんちの日当たりのいい縁側
映画に出てくる炎がゆらめく暖炉の前…など
「怒り」を感じ、痛く、傷ついている時に試してみてください。