「現代ストレス社会」と言われる今。
ストレスフルな環境で働き続けるためには、自分で自分を守る工夫が必要です。
その工夫のキーワードが「感情」!
「感情とうまく付き合うための処方箋」では、仕事で感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの「感情」を味方につけて、ストレスから自分を守る方法をご紹介します。
第8回は、「【悲しみ】~悲しい時、人は自分が置かれた状況を俯瞰しにくくなる~」を解説していきます。
【悲しみ】~悲しい時、人は自分が置かれた状況を俯瞰しにくくなる~
そう聞かれて、
「泣くことなんであるわけがない!」
「それって、恋愛映画のキャッチコピー?笑」
こんな声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか?
実は、心の中では泣いていて、「本当は泣きたいよ!」という時、意外とあるのではないでしょうか…?
あなた「えっ…私は初めから関わってきていましたし、最後まで担当したいのですが…」
上司「気持ちは分かるが、Aさんのことも育てたいし、部署としては〇〇の仕事に力を入れたいんだよ」
あなた「…わかりました。(〇〇の仕事は自分の専門とは違うし、興味が持てないんだよなぁ…)」
あなた「(金曜日…企画書の仕上げもまだだし、商品の納期も近いし…難しいかな)すごく行きたいけど、仕事が山盛りなんだ…。また声かけてくれる?(前回も行けなかったな…)」
あなた「申し訳ありません。来期はがんばります…(頑張っているけど、なかなか結果が出ないんだよね…)」
このように、どこの職場でもありそうな出来事の裏には「悲しみ」という感情が潜んでいます。
普段なら、もっと客観的に状況をとらえられるのに、人は悲しいとき、自分が置かれた状況を俯瞰しにくくなります。
そのため、必要なサポートを求めなかったり、取るべき行動ができなくなったりして、さらに「悲しみ」を長引かせてしまいます。
「大切な何かが失われている」という原因に気づけば対処しやすくなる
悲しいことは、できれば体験したくないものですが、「悲しみ」の感情にもプラスの役割があります。
と、教えてくれることです。
先ほどの場面で失われていた大事なものはなんでしょうか?
→ 愛着のある仕事
→ 友人との時間(自分の好きなことをする時間)
→ 出したい結果・成果
これをもう少し掘り下げると、
「自分はこの仕事に向いていないのではないか」
「今の仕事に対する適正や能力に欠けているのではないか」
など、“ある”と思っていたものが“ない”かも…と気づくことも「悲しみ」に繋がっています。
これらの「大事なもの」は、【怒り】の項で紹介した「怒りのリスト」と同じです。
「悲しみ」を引き起こす「大事なもの」
- 夢や理想
- 仕事
- 周囲からの評価
- 才能、能力
- 時間
- 関係
- 健康
- 価値観
- 結果、成果
「悲しみ」は、何かを大事にしようとがんばっている人ほど経験する感情とも言えますし、できれば避けたい感情かもしれません。
しかし、「悲しみ」という感情をヒントにして、「何かが失われている」という原因にも気づける、という良い面もあります。
自分の悲しい気持ちに気づいたら、
と自分に問いかけてみてください。
それが分かると、
と、自分の状況を俯瞰できるようになります。
人は悲しい気持ちになった時、ただ単に悲しい気持ちでいるよりも、自分の状況が俯瞰的に分かると、それだけで随分と楽になるものです。
ここで一つ注意点。
「失くしたもの」というと自分にとって良くない場面ばかりイメージされがちですが、自分にとってプラスの場面のこともあります。
例えば、数年がかりのプロジェクトが大成功で終わった時などは、傍からみると達成感に満ちているように見えるかもしれませんが、打ち込んできたプロジェクトとの別れ、失う場面とも言えます。
他にも、昇進(昇進は嬉しいが現場から離れる悲しみ)、上司の栄転(信頼関係があった上司が変わってしまう)など、
ということ、意外とありますよね。
そんな時は、失くしたものがないか、探ってみるといいかもしれません。
次回は、【悲しみ】~大切なのものを取り戻せるなら、行動しよう!~、へ続く