「現代ストレス社会」と言われる今。
ストレスフルな環境で働き続けるためには、自分で自分を守る工夫が必要です。
その工夫のキーワードが「感情」!
「感情とうまく付き合うための処方箋」では、仕事で感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの「感情」を味方につけて、ストレスから自分を守る方法をご紹介します。
第2回は、「嫌いな感情ランキング1位?【怒り】」を解説していきます。
嫌いな感情ランキング1位?【怒り】
仕事をしていて、こんな経験したことありませんか?
上司「どれどれ…。んん?なんだ?この企画書は。まずタイトルがダメだし、コンセプトも分かりにくいな。それに…(ダメ出し続く)」
あなた「(やりたいようにまとめてみろ、って言ったくせに、ダメ出しばっかりしやがって…!最初からそう言えばいいじゃないか。時間返してくれよ!)」
新人社員「あ、本当だ。これ、課長がギリギリに頼んできたんですよねー」
あなた「…それから、この表現だとお客様に失礼になるから、こっちの表現にした方がいいと思うよ」
新人社員「はーい。でも、それって場合によりますよね」
あなた「(いつもいつも言い訳するし、一言多いんだよなぁ。注意するのもだんだん嫌になってくる!)」
あなた「(いつも雑用ばっかり私に押し付けて…。私だって忙しいし、自分の仕事に時間をかけたいのに!)」
職場のイライラや怒りは、数えるとキリがないかもしれません。
「怒り」「イライラ」と聞くと、あなたはどんなイメージが湧くでしょうか。
「自分が怒られるのはもっと勘弁!」
など、ネガティブな回答がほとんどを占めてしまいそうです。
冷静に物事を判断できなくなって、怒りに任せて人間関係を壊したり、周囲からの評価を落としたり、「なんであんなことしちゃったんだろう…」と、自己嫌悪に陥ることもあるのではないでしょうか。
嫌なことが「怒り」を生み、「怒り」が嫌な行動を生み出してしまう…。
まさに悪循環のループ!
「嫌いな感情ランキング」があったら、「怒り」は第一位を獲得してしまいそうです…。
「怒り」は大事なものが傷つけられているというサイン
このように“負”のイメージがつきものの「怒り」ですが、この「怒り」の感情にも、大事な機能があります。
それは、
と、教えてくれることです。
この感情は、私たちが森で暮らしていたころには、自分の命、家族や群れの命、自分の住んでいる場所など、大事なものを守ってくれていました。
外敵に襲われた時、「怒り」が危険を知らせてくれ、反撃することで、私たちは生き延びてきたのです。
つまり、自分が守っている境界線を越えて領域(テリトリー)が侵害されている時に起こる感情とも言えます。
では、現代ではどうでしょうか?
先程の例で、どんな大切なものが傷つけられているか、境界線が侵害されていたか見てみましょう。
→自分が取り組んだ仕事や、それにかかった時間
→後輩をきちんと育てたい思い、新入社員はこうあるべきという価値観
→自分の仕事にかける時間
これらの「大事なもの」が傷つけられた時、「怒り」が出てきます。
「怒り」を引き起こす「大事なもの」
- 夢や理想
- 仕事
- 周囲からの評価
- 才能、能力
- 時間
- 関係
- 健康
- 価値観
- 結果、成果
また、「怒り」には「不当性」も関係しています。
- 正当な評価が得られない
- 膨大なタスクをふられるなどの無茶ぶり
- 自分には非がないのに責められる
不当さ、理不尽さも「怒り」を呼び起こします。
その背景に、集団生活の中では秩序やルールを守ることで生き延びてきた、という歴史があります。
集団生活の中で秩序やルールを破る人がいると、集団全体に危害が及び、生き延びる可能性がガクンと減ってしまいます。
自分が属する社会の秩序・ルールにそぐわないこと、理不尽なことに、人は「怒り」を感じるようにできているのです。
また、「怒り」は、人間関係と密接に関わる感情とも言えます。
人間関係を活かすも殺すも、「怒り」との付き合い方次第だからです。
森に住んでいた時の私たちは、怒りにまかせて相手を反撃することは良しとされてきました。
しかし、現代の社会生活の中では、怒りにまかせて行動したり、言いすぎたりすると、
「怒りっぽい人だね」
と思われ、信頼が落ちたり、関係が悪くなったりします。
このような経験から、「怒り」はどうしてもネガティブなイメージが強くなってしまうのかもしれません。
と、敬遠されがちな感情「怒り」。
しかし、「怒り」の本来の機能は、
「境界線を引いて、自分の領域を守る」
この2点にあります。
では、その機能をどう発揮させればよいのでしょうか?
…次回、【怒り】~「攻撃」と「我慢」はNG!~、へ続く