若い人、特に女性なら、
「ダイエットのために食事制限をした」
という経験をしたことがある人も多くいるのではないでしょうか。
しかし、周りの人から見れば痩せているのに、体重が増えることを恐れて低体重を維持しようとしたり、一度に大量に食べてしまい、あとから後悔してイライラしたり憂うつになる…。
このような症状を、まとめて「摂食障害」と呼びます。
今回は、この摂食障害について詳しくみていきます。
目次
摂食障害とは?
摂食障害とは、
食事の食べ方や量、食事に関する行動の異常が続いて、体重や体型のとらえ方を中心に、心と体の両方に影響がおよぶ精神障害の総称です。
一般的に、極端な食事制限と著しい低体重を特徴とする「拒食症(神経性食欲不振症)」と、むちゃ喰いと体重増加を防ぐための代償行動を繰り返す「過食症(神経性過食症)」とに分けられます。
拒食症(AN: anorexia nervosa)
拒食症は、精神的なストレスやダイエットが原因となって発症する場合がほとんどの病気です。
自己肯定が低いため、「痩せないと周囲から認めてもらえない」という気持ちからダイエットをして、最初は体重が落ちていくのが楽しいと感じます。
しかし、次第にエスカレートしていき、周囲から「痩せすぎだ」と言われても、本人は「もっともっと痩せなくては」と強迫的に考えるようになってしまいます。
さらに、食べることに対して罪悪感を抱くようになり、やがて体が食べ物を受け付けなくなって「食べたくても食べられない」状況に陥ります。
体重低下に伴い、勉強や仕事の能率も低下し、日常生活にも支障が出てしまいます。
低栄養や低体重による体への影響は深刻な場合が多く、最悪の場合、死に至ります。
死亡率10%とかなり危険な病気なため、適切な治療が必要です。
過食症(BN: bulimia nervosa)
過食症は、拒食症とは逆に、ストレスや環境変化により、たくさん食べすぎてしまう病気です。
食べている間は自分をコントロールすることができません。
「ひたすら食べ続けてしまう場合」と「食べては嘔吐を繰り返す場合」があります。
「ひたすら食べ続けてしまう場合」はカロリー過多で肥満になり、周りが気付くことができますが、「食べては嘔吐を繰り返す場合」は見た目からはわかりにくいため、周りから気づかれないこともあります。
自分でも病気だと思っていないことが多く、援助を求めないことも少なくありません。
健康な人のやけ食いと区別できないこともあり、病気かどうかを判断するのが難しいところがあります。
その他に、摂食障害には以下のようなものがあります。
- 回避・制限性食物摂取症
ごく少量しか食べない、もしくや特定のものを食べるのを避けるのが特徴。 - 過食性障害
大半の人と比べて同じ状況、時間内ではるかに多くの食べものを食べるのが特徴。 - 異食症
食べものではないものを日常的に食べるのが特徴。 - 反芻症(はんすうしょう)
いったん食べたものを逆流してしまう特徴。
これらをまとめて摂食障害と言い、原因として主に、自己嫌悪や抑うつとの関係が深いと考えられています。
特に拒食症の患者の多くが10代から20代で、全体の90%が女性です。
しかし、最近では男性の摂食障害も増えているという指摘があります。
摂食障害になるきっかけは?
一見、ご飯を食べれば解決しそうに思える摂食障害ですが、実はそんなに単純ではありません。
摂食障害になってしまう人のきっかけは様々ですが、主な事例を挙げてみました。
過度なダイエット
摂食障害になる人の中で一番多いと言われる原因がダイエットです。
“患者の多くが10代から20代で、全体の90%が女性”からもわかるように、思春期の女性には「痩せてきれいになりたい」という願望を持っている人が多くいます。
そのため、過度なダイエットをしてしまうケースが多くあります。
「自分は太っている」というコンプレックスがあるため、周囲に痩せすぎていると言われても本人は危機感をあまり感じず、症状が悪化してしまうということも少なくありません。
精神的なストレス
体型などのコンプレックスや、職場や学校の人間関係、家庭環境などのストレスが原因で摂食障害になってしまうケースも少なくありません。
過労や、親からのプレッシャーなども原因と考えられます。
そのため、ストレスをうまく解消できなかったり、上司や親に言われたとおりにできるように頑張ってしまう、真面目な性格の人が陥りやすいという傾向にあります。
愛情が足りない
家庭環境や小さなころの経験から摂食障害を引き起こすこともあります。
両親が厳しかったり、特に母親との関係が大きく関わっているようです。
自尊心が育たないまま思春期を迎えてしまったり、両親からの強いプレッシャーで摂食障害になることもあります。
「最近太ったんじゃない?」というような家族の何気ない一言が原因になることもあります。
摂食障害になりやすい人とは?
完璧主義な人
「自分はこうでなければいけない」という考えが強いため、自分をどんどん追い詰めていってしまいます。
自分に自信がない人
コンプレックスを持っていたり、自分に自信がないため、まわりの意見に振り回されたり、自分の意志で物事を決めることができません。
しかし普段はいい子を演じていることが多いため、周りが気付かぬうちに症状が悪化していることも少なくありません。
ストレスをうまく解消できない人
ストレスが原因で摂食障害になることが多いため、うまくストレスを解消できない人は、そのつらい気持ちから過食に走りやすくなります。
摂食障害の概要となりやすい人まとめ
摂食障害は、10代~20代の女性に多く見られる精神疾患です。
拒食症は、やせることへの執拗な欲求、肥満に対する恐怖などから、食べることに対して罪悪感を持つようになり、次第に食べものを受けつけなくなってしまいます。
過食症は、ストレスや環境変化からたくさん食べ過ぎてしまう病気です。
摂食障害になるきっかけは、過度なダイエットや精神的ストレスなどさまざまです。
また、完璧主義者や自分に自信がない人、ストレス解消がうまくできない人が摂食障害に陥りやすいと言われています。
参照:
MSDマニュアル家庭版,摂食障害の概要, Evelyn Attia, B. Timothy Walsh, 2018年 7月