今回は、発達障害のひとつ、アスペルガー症候群の人が仕事上・生活上で困る事をまとめていきたいと思います。
前回までの記事⇒発達障害とは?① ~代表的な3つの障害の特徴~はこちら
前回までの記事⇒発達障害とは?② ~アスペルガー症候群の特徴~はこちら
アスペルガー症候群の人は、特徴として「人付き合いが上手くいかない」といった特徴があります。
本人に悪気はない、むしろ本人としては気を使ったと思っている事ですら、なぜか人とトラブルになってしまいます。
目次
仕事上で困る事
仕事をする上で、職場の人はもちろん、取引先の人など、人との関わりを避ける事は出来ません。
アスペルガー症候群の人は、職場での人間関係が上手くいかなかったりすることで自信がなくなってしまい、それによって、うつ病などの二次障害に発展してしまったりする場合があります。
また、仕事に対してやる気があっても、仕事上のルールや臨機応変な対応を求められた際にどうすればいいか分からず困ってしまう事があります。
ただし、興味のある仕事に対しては能力を発揮する事もあります。
ほう・れん・そうが苦手
仕事をする上では「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)が非常に重要になってきます。
アスペルガー症候群の人は、職場の人に報告したり、業務上必要な事を連絡・相談したりする事が苦手な人が多くいます。
また、報告・連絡・相談自体が苦手というよりは、職場の人と馴染めていなかったり孤立してしまっているがために、結果的にそれが出来ていない場合もあります。
マネージメントが苦手
管理職などにつくと、上司からの指示に従って仕事をしていれば良かったときに比べ、自分で考えたり部下に指示を出したりなど、自分の仕事以外の事についても気を配らなければいけません。
相互的なコミュニケーションが苦手なアスペルガー症候群の人は、そういった事で仕事に行き詰まりを感じてしまう事があります。
興味の無い事には集中できない
アスペルガー症候群の人に限った事ではないのですが、発達障害の傾向として多いのが、興味のある事と無いことへの集中力の差が大きいという特徴があります。
関心のある事に対しては、周りが見えなくなるくらい没頭してしまう反面、関心の無い事に対しては集中力を持続する事が難しいなど、職種にもよりますが臨機応変な対応が求められる仕事上では困ってしまいます。
複数のことを同時に進行する事が苦手
アスペルガー症候群の人は、いわゆる「マルチタスク」といったことが苦手な傾向にあります。
同時進行する事が苦手で、1つの事に精一杯になってしまう事が仕事の行き詰まりに繋がってしまいます。
また、前述した管理職などになると、よりマルチタスクが求められるため辛い思いをしてしまいます。
細部にとらわれて全体を把握した仕事ができない
前述のマルチタスクが苦手と繋がる部分がありますが、複数の同僚・上司などで行うプロジェクトなどでは細部にとらわれてしまう事で、進行を妨げたりしてしまう事があります。
自分のルールが絶対
アスペルガー症候群の人には、自分のルール・やり方があります。
そのルール通りに物事を進めたいため、時に自分のルールを周りの人に押し付けてしまうこともあります。
そこで自分のルールを否定されたり、違うやり方をされてしまうと、急に大声で怒鳴ったり、パニックになってしまうこともあります。
そのため、「よくわからない人」と周りから、距離を置かれてしまい、孤立してしまうことも少なくありません。
仕事が滞る主な原因・・・まとめ
アスペルガー症候群の人はひとつの職場で仕事が長く続かない人が多いようです。
臨機応変な対応が苦手なため、接客、販売、チームで行なう仕事など、人との関わりが多い仕事は向いていないようです。
逆に、やり方が決まっているような単純な仕事のほうが得意という人が多いようです。
- ホウレンソウができない
- 締め切りが守れない・優先順位がつけられない
- チームプレイが難しい
- 協調性がない
- 空気が読めない
- 仕切りたがる
- 臨機応変な対応が求められる仕事は苦手
- 自分のルールが絶対
- 好きな事しかしない
- 集中できない
- 同時に複数の事ができない
これらの事は、アスペルガー症候群の人が仕事で困ることの一部であり、他にもたくさんの悩み事があると思います。
しかし、一番難しいのは本人が自覚できていない場合、周りの人もどう対応していいか分からなくなってしまうという所にあります。
日常生活で困る事
相手の立場になって考える事が苦手で、誤解されやすい
アスペルガー症候群の人は、いわゆる「暗黙の了解」を理解する事が苦手な傾向にあります。
また、相手の立場になって考える事が苦手なため、他人との会話のキャッチボールの中で、相手の言っている事が理解出来ない、もしくは相手の伝えたい内容と異なる解釈をしてしまいます。
そのため、必然的に会話が噛み合なかったりする事で誤解されやすいという事があります。
逆に誤解しやすいという傾向も
前述のように、他人との会話や一般的な常識・暗黙の了解などを理解する事が苦手なため、誤解されやすいという事がありますが、逆に「誤解しやすい」という傾向も多くあります。
自分の言っている事が正しいと思ってしまっている場合、=(イコール)相手の言っている事が間違っていると決めつけてしまうのです。
他人の言動を被害的に受け止めてしまったりするため、疎遠になってしまう事があります。
- ○○のせいで〜なったと思い込む
- ○○が分かってくれないだけで自分は正しいなど主張を曲げない
コミュニケーションが上手くいかない
誤解されやすいという内容と共通する部分が多いですが、根本にはコミュニケーションが上手くいかないという問題があります。
アスペルガー症候群の人は、喋る事が苦手という訳ではなく、「会話」が苦手な人が多いです。
よく、会話のキャッチボールなどと言いますが、相手の立場になって考える事、相手の考えを察する事が苦手だとそのキャッチボールが上手くいかなくなってしまいます。
一方的に話してしまい会話がなりたたない
会話が苦手というと、喋る事自体が苦手な様に思われるかもしれませんが実際は逆な事が多い場合があります。
むしろ言葉が達者で饒舌だったりすることも多いです。
ただし、自分の話したい事ばかりを話してしまい、相手の話を聞かないので結果的に「会話が苦手」ということになってしまうのです。
思った事をそのまま言いがち
悪気が無くても自分が思った事をそのままストレートに伝えてしまうと、(もちろんいい場合もありますが)問題になってしまう事があります。
繰り返しになりますが、アスペルガー症候群の人は相手の立場になって考える事ができない傾向にあるので、思った事をストレートに伝えてしまう事が多くあります。
さらにその言い方が、聞き手からするとキツい言い方に聞こえてしまう事があります。
本人に悪気が無くても、聞き手からすると怒っている様にみえたり、上から目線な言い方をされている様に感じて、敬遠されてしまうという事もよくあります。
その他の生活上で困る事
- 友達関係が上手くいかない・そもそも友達などに興味がない
- 話を真に受けてしまう・冗談が通じない
- 完璧にしないと気が済まない=融通が利かないと思われる
- 聴覚・嗅覚・視覚・味覚など感覚が過敏
日常生活の中では、仕事のとき以上に苦労する事が多く、さらにそれが周りの人から理解されないというところが難しくつらいところです。
特に「コミュニケーションが上手くいかない」という点は、仕事を行う上でも様々なトラブルの原因に繋がってしまいます。
参考:
司馬 理英子,大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック,主婦の友新実用BOOKS,2015/2/20