今回は、LD(学習障害)の人が、仕事上・生活上で困る事への対処法を詳しく見ていきます。
前回までの記事⇒発達障害とは?① ~代表的な3つの障害の特徴~はこちら
前回までの記事⇒発達障害とは?④~LD(学習障害)の特徴~はこちら
前回までの記事⇒発達障害とは?⑦ ~LDの人が困る事~はこちら
目次
仕事上で困る事への対処
職場では、読み書きや計算するような場面が多いため、学習障害(LD)の人は、業務に支障が出て大変なことも多いようです。
まず、必要なのは自分が苦手な作業を知り、周囲にも理解してもらうことで、対処法を試してみることが重要です。
マニュアルを理解するのが苦手な人
文章を理解するのが苦手(読字障害〔ディスレクシア〕)な人は、読む媒体によっていろいろと工夫してみましょう。
紙のマニュアルや資料を読む場合は、黄色などの蛍光ペンで文章に色を付けたりして、視線の注意を引きます。
また、パソコンのデータなどは、読み飛ばしが起きないように、行間を狭めて、視線があちこち飛ばないようにサポートするのも有効です。
メモを取るのが苦手な人
口頭で言われたことをすぐに文字で書くことが苦手な人は、ボイスレコーダーや、音声入力で一旦録音しておき、あとで聞き返すのもいいかもしれません。
資料ならデジカメやスマホのカメラ機能を使って撮影したり、手順の説明なら動画で撮影し、あとで見返すようにします。
いずれも、上司や先輩、同僚などに自身の特性を説明して、録音や撮影の許可を取って対応していきましょう。
口頭で言われたことを理解するのが苦手な人
その場で言われたことを理解するのに時間がかかる人は、あとで見返せるように、なるべく紙に書いて指示してもらいましょう。
また、可能であれば、その場ですぐメモを取る習慣をつけ、あとで見返すのもひとつの手段です。
数字を使った作業が苦手な人
算数障害(ディスカリキュリア)の特性がある人は、計算が必要な場合に、パソコンの電卓アプリなどを活用しましょう。
また、業務の締め切りなど、仕事のペースが掴めない人は、スマホなどのカレンダー機能でスケジュールを設定し、業務の進行管理をします。
締め切りの少し前にアラームを設定するなど、自分が分かりやすいように工夫してみましょう。
仕事選びも重要
文字や数字を読んだり、理解するのが苦手なLDの人は、書類があふれるような事務系の仕事はおそらく厳しいと考えられます。
なるべく自分の苦手な特性が含まれない、例えば、造作関係の仕事や職人など、手先を使う仕事に就くのも選択肢のひとつとして考えてみましょう。
日常生活上で困る事への対処
読字障害(ディスレクシア)の特徴を持つ人が、パソコンなどで作業する時は、文字を大きくしたり、分かりやすい書体(丸ゴシックなど)にする、読む範囲以外の上下左右を隠すと、字が読みやすくなるようです。
また、文字が小さすぎて読めないという場合は、拡大コピーをするなどの対応が考えられます。
読字障害のために、バスで降りたい場所が認識できない場合は、耳からの情報に頼ってみましょう。
最近では、スマートフォンで撮った文字を読み上げるアプリなどもあるので、うまく活用しましょう。
■音声読み上げソフト「音読さん」
■スキャン&翻訳+ テキストグラバー
■画像から文字を取り込み、読み上げる「Text2Voice」
…など
読字障害は、大人になるとある程度、改善することが多いですが、それでも読書のスピードがゆっくりで何度もつっかえてしまったり、読んだ内容が頭に残りにくく、読解力も低下しています。
読字障害がある人は、眼球の動きがスムースではないため、視野が狭くなりすぎていることが多いようです。
視野を視野を広くするトレーニングや、眼球の動きの訓練などをすることで、大人でも読字障害が改善する効果があるようです。
文字を読んだり書いたり計算したり…。
学習障害を持つ人は、これらの作業中心の仕事を続けることは、なかなか難しいかもしれません。
しかし、読字障害などを持った人でも、他の方面で活躍している人は大勢います。
俳優のトム・クルーズや、画家のパブロ・ピカソ、アメリカ大統領になった、ジョン・F・ケネディも、学習障害を持っていたことで知られています。
勉強はできなくても、得意分野を伸ばすことが、活路を開くことになるでしょう。