会社のデスクの上、その周りもゴチャゴチャ。
会議や打ち合わせには毎回遅れるし、何をやらせても段取りが悪く、同じミスを繰り返す…。
あなたの部下や同僚にそんな人はいませんか?
そう怒る前に、あなた自身はどうか、ちょっと考えてみてください。
突然切れたり、急な予定変更に激しく動揺したり、つい口にした言葉に周囲が凍りついて、「自分、浮いてるかも」と感じたり…、そんな経験はありませんか?
近年、「大人の発達障害」に関する本や、テレビや新聞などで紹介されたことで、子どものものだと思われがちだった発達障害が、大人にもあらわれる症状であることが知られるようになりました。
発達障害とは、
を指し、主に以下の3つに分類されます。
- 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
不注意で落ち着きがなく、衝動性、多動性が見られる - 自閉症スペクトラム障害(ASD)
想像力や社会性に問題がある「自閉症」「アスペルガー症候群(AS)」を含む - 学習障害(LD)
「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論」など、ある特定の能力の習得に困難が生じる
発達障害の原因は、脳の一部における『発達のアンバランス』からくる機能障害によるもので、性格や親のしつけが原因ではありません。
また、軽度から重度、あるいは複合型と、さまざまなパターンがあるため、周囲や当人もその病態が把握しにくい側面があります。
子どもの頃は、単なる「落ち着きのない子」「活発な子」と思われ、さらに軽度の場合は学校の成績もよいということもあります。
そのため、症状を見過ごされたまま大人になり、社会に出からうまくいかなくなることが重なり、初めて自分が発達障害であることに気づく人、周囲に指摘される人が数多く見られます。
また、社会に馴染めないことで、うつ病、不安障害、依存症などの「二次障害」を引き起こす場合もあり、引きこもり、ニート増加の背景にも発達障害が疑われています。
症状を抱える人が、上司、部下、同僚となると、周囲の人々は巻き込まれ、職場は混乱します。
しかし、彼らを「困った人」「仕事ができない人」で済ませてしまうのは、職場・会社にとっても損失になります。
さらに、発達障害だからといって仕事ができないというわけでは決してなく、むしろ得意分野では素晴らしい才能を見せることがあります。
ほとんどの場合、上司や部下を選べません。
逃げられない関係ならば、本人や周囲の人たちが、発達障害を正確に把握して受け入れた上で、対応することが必要となるでしょう。
人は誰しも、何らかの病理を抱えているものです。
お互いにうまく距離を取りながら、それぞれの場所で能力を発揮できれば、職場の人間関係や雰囲気が改善して、仕事のパフォーマンスも上がります。
「発達障害の人と共に働くということ」では、仕事の場で、発達障害の人と接する場合の具体的な対応策や、どのような対応や工夫がされれば、障害を抱える当事者が働きやすいか?をまとめています。
発達障害の人はもちろん、その周囲の人たちが気持ちよく働ける職場の参考になれば幸いです。
会社の中の「発達障害」…職場にこんな人いませんか?
仕事の段取りができない、言うことがコロコロ変わる、ミスを繰り返す、すぐにキレる…。
そんな上司、同僚、部下に困惑していませんか?
彼らのために職場の雰囲気が悪くなっていませんか?
それらが度を超していたら、単なる性格の問題ではなく、背景に「発達障害」があるかもしれません。
- 時間、期日を守らない。遅刻が多い。
- 人とうまく付き合えない。
- 忘れ物、失くしものが多い。
- 落ち着きがない。他のことにすぐ気が散る。
- 一方的に話す。
- すぐにキレる。パニックを起こしやすい。
- 空気が読めず余計なことを言ったり、思ったことをそのまま言う。
- ケアレスミスが多い。
- デスクが乱雑。
- 行動力があっても途中で挫折する。
次回、「想像以上に多い大人の発達障害の有病率」、へ続く