会社のデスクの上や、その周りもゴチャゴチャ。
会議や打ち合わせには毎回遅れるし、何をやらせても段取りが悪く、同じミスを繰り返す…。
あなたの部下や同僚にそんな人はいませんか?
もしかしたら、その人は「発達障害」かもしれません。
「発達障害の人と共に働くこと」では、職場で発達障害の人と接する場合の対応策や、どのような工夫がされれば、当事者とその周囲の人たちが気持ちよく働けるかをまとめています。
第13回は、「職場でみられる発達障害…『人が傷つくことを平然と悪気なく口にする』」の続き、「職場でみられる発達障害…『騒々しい場所が苦手。気が散りやすく飽きっぽい』」を解説していきます。
目次
職場でみられる発達障害
ここでは、発達障害が疑われる人たちの職場での振る舞いや仕事ぶりなどの例をあげて、周囲がどのように対応すればよいかを提案していきます。
アスペルガー症候群を含むASDとADHDの複合型だったり、その複合に度合いが異なったり、加えて二次障害を抱えるなど、個々でさまざまな病態がみられるため、事例が似ているからといって診断や対応策が全て当てはまるとは限りません。
また、大前提として、これらに似た様子の人を発達障害と決めつけることは最も回避するべきことです。
【事例6】…「騒々しい場所が苦手。気が散りやすく飽きっぽい」(Kさん・20代男性)
デザイン会社で働いているKさんは、いま会議に必要な書類を作成中です。
すると、Kさんの臨席隣席の上司が、他のスタッフと軽い打ち合わせを始めました。
「コンペの色見本用に、○○さんの著書の装丁をカラーコピーして添付しようか」
この会話は、Kさんとは全く関係のない話ですが、「○○さんの著書」へあっという間に興味がうつり、資料の作成を放り出して、夢中でリサーチを開始します。
ひとたび興味がうつると、しばらくはネットサーフィンから戻ることができません。
「この作品、映画化されてるけどヒットしてないんだ…。監督は誰だよ…」と、独り言が延々と続き、資料作成は進まず、会議には間に合いません。
Kさんは、会議中や打ち合わせ中でも、外からにぎやかな音が聞こえてくると、席を立って見に行ってしまいます。
また、BGMや各種機器のデジタル音、ドアの開け閉めする音などの生活音すら気になって仕方ありません。
気になりだすと落ち着かなくなり、人の話も全く聞けなくなってしまいます。
上司から「仕事に集中しろ!」と、注意されると、デスクを叩いたり、ごみ箱を蹴って逆切れするため、評価も低くなり、すっかり周囲から浮いてしまっています…。
考えられる症状
仕事中にいろいろなことが気になって、興味や関心の対象があちこち移りやすいのはADHDにみられる症状です。
また、五感が敏感なのは、ASDによく見られます。
すぐにカッとなって、キレてしまうのが度を超している場合は、ADHDの症状の一つである衝動性によるものです。
周囲の対応策
デスクには仕事に関係ないものは置かない、などを指導して、仕事から意識がそれないようにさせましょう。
人の出入りが多いドアのそばではなく、落ち着いた空間に仕事スペースを配置するといいかもしれません。
感覚過敏の症状がある場合、大声が苦手なため注意する時は、否定的、押さえつけるように言うのではなく、「~というふうにしてみたら」と、落ち着いたトーンで伝えてみましょう。
次回、「職場でみられる発達障害…『社会的マナー、礼儀作法、躾が身についていない』」、へ続く