会社のデスクの上や、その周りもゴチャゴチャ。
会議や打ち合わせには毎回遅れるし、何をやらせても段取りが悪く、同じミスを繰り返す…。
あなたの部下や同僚にそんな人はいませんか?
もしかしたら、その人は「発達障害」かもしれません。
「発達障害の人と共に働くこと」では、職場で発達障害の人と接する場合の対応策や、どのような工夫がされれば、当事者とその周囲の人たちが気持ちよく働けるかをまとめています。
第32回は、「職場でみられる発達障害…『人の名前が覚えられない。失礼な発言を繰り返す』」の続き、「職場でみられる発達障害…『想定外の出来事に対応できずパニックを起こす』」を解説していきます。
目次
職場でみられる発達障害
ここでは、発達障害が疑われる人たちの職場での振る舞いや仕事ぶりなどの例をあげて、周囲がどのように対応すればよいかを提案していきます。
アスペルガー症候群を含むASDとADHDの複合型だったり、その複合に度合いが異なったり、加えて二次障害を抱えるなど、個々でさまざまな病態がみられるため、事例が似ているからといって診断や対応策が全て当てはまるとは限りません。
また、大前提として、これらに似た様子の人を発達障害と決めつけることは最も回避するべきことです。
【事例25】…「想定外の出来事に対応できずパニックを起こす」(Mさん・20代男性)
20代後半のMさんは大学卒業後、父親の紹介で都内に食品関連会社に就職しました。
Mさんの業務はデスクワーク中心ですが、月に1~2度、名古屋支店へ日帰り出張が定例になっています。
通常は、新幹線で「品川~名古屋」間を往復しますが、その日は帰りの新幹線の中で、上司から「これから横浜の新店舗に顔を出していこう」と、一緒に新横浜で降りるよう指示されました。
このような時、Mさんは急な変更に対処できず、パニックを起こして怒りが抑えられないなど、不自然なほど動揺してしまいます。
「スケジュールが突然変わると、不安でどう対処すればいいのかわからなくなる」のです。
上司は、「こんなことぐらいでなぜ怒るのか」と、注意しますが、Mさんは指示を無視して、いつも通り品川で降車、帰社しました。
予定していた会議やイベントが急に中止になったり、場所や時間が変更になった時なども、考えがうまく切り替わらず不安になって、舌打ちをするなどの不機嫌な態度をとってしまいます。
そんな彼に対し、「利己的で融通がきかない」「会社員として失格だ」と、手厳しい指摘をする上司もいて、「人事の同期から『お前、ブラックリスト入りするぞ』と言われてしまいました」と、Mさんは自嘲気味に語っています…。
考えられる症状
変化、変更、想定外のことにパニックになったり、不機嫌または興奮するのはASDの症状のひとつです。
周囲の対応策
仕事には変更がつきものです。
変更が生じたら、まず本人お不安感を抑え、安心させるようになるべく早めに知らせて、具体的な対応を指示しましょう。
それが難しい場合は、変化の少ないパターン化した作業などを担当する部署への配置換えも検討しましょう。
次回、「発達障害の『純粋なエネルギー』」を活かす、へ続く