
「人前に出るのが苦手…」
「人がいるところで何かをするのが苦手…」
そんな風に感じている人は意外と多いものです。
なぜ「人が怖い」と感じてしまうのでしょうか?
社交不安症は、子どもや若者だけでなく、大人でもつらい思いをしている人が大勢いる病気です。
「社交不安症ってどんな病気?」では、社交不安症の全体像から、症状、不安の軽減法などについて、詳しく解説していきます。
第15回は、「医療機関でおこなう治療法…⑤ 自己評価を変える」の続き、「医療機関でおこなう治療法…⑥ 人の目を恐れない」についてみていきます。
目次
医療機関でおこなう治療法…⑥ 人の目を恐れない
失敗は「取り返しがつかない」か考える
「人前で失敗してはいけない」
という思い込みを打ち破るために、あえて恥をかいてみます。
この方法は、「暴露療法」、または「エクスポージャー」と呼ばれています。
不安な状況にあえて出てみる
社交不安症のある人は、他人から否定的な指摘を受けとることをとても恐れています。
そこで、認知行動療法では、ちょっとした恥ずかしい状況に自分をさらけ出すプログラムが組み込まれています。
失敗したら周囲からダメな奴だと思われるに違いない、という思い込みを打ち破るために、あえて失敗してみるのです。
「失敗=人生の終わり」ではないと気づく
有期を出して実際にやってみると、おそれていたほど自分の行動を他人は気に留めていないことがわかります。
一方、やはり笑われたり、いぶかしがられたりすることもありますが、他人が笑おうと気に留めなかろう、おそれていたほど自分に影響しないことがわかるでしょう。
失敗することが、失敗へのおそれをやわらげることになるからです。
ちょっとだけ恥をかいてみる
まず、「恥ずかしいことや失敗したらどうなるか」を予想します。
そのあと、実際に自分が苦手な場面や恥ずかしいと感じることにチャレンジします。
何に不安を感じるかで、課題を変える
特に不安を感じる場面や、こだわらずにいられないマイルールはなんでしょうか?
それによって課題を選んでもよいでしょう。
※課題の内容はいろいろだが、比較的トライしやすいのは「カバンなどからトイレットペーパーをはみ出させておく」
その他に…
・いつも身なりを整えておかなければ不安⇒よれよれの服など、だらしない服装で外に出る
・注目を集めたくない(視線恐怖)⇒頬を赤く塗ったり、顔に落書きをしたりで外に出る
【気づき1】
他人はそんなに自分に注意を払っていない
「自分を見る人は少なかったし、あからさまに軽蔑するような人もいなかった。はみ出したトイレットペーパーに気づかない人もけっこういた」
【気づき2】
少々笑われたって、ほんの一瞬のことだ
「なかには、笑ったり変な顔をする人もいて恥ずかしかった。でもそれは自分の人生には関係ない人で、ほんの人時のことだ」
結果を振り返る
恥をかくはずだと予想したことを行った結果、感じたこと、気づいたことを話しあいます。
【大丈夫!】
少しくらい失敗しても絶望するほどのことじゃない
「少しくらい恥ずかしい思いをしても、失敗しても、笑われたくらいで、自分の価値が根底から揺らぐわけではない、と実感できた」
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次回、「医療機関でおこなう治療法…⑦ 成功体験を重ねる」へ続く。
