
「人前に出るのが苦手…」
「人がいるところで何かをするのが苦手…」
そんな風に感じている人は意外と多いものです。
なぜ「人が怖い」と感じてしまうのでしょうか?
社交不安症は、子どもや若者だけでなく、大人でもつらい思いをしている人が大勢いる病気です。
「社交不安症ってどんな病気?」では、社交不安症の全体像から、症状、不安の軽減法などについて、詳しく解説していきます。
第18回は、「医療機関でおこなう治療法…⑧ 薬物療法概要」の続き、「医療機関でおこなう治療法…⑨ SSRI」についてみていきます。
目次
医療機関でおこなう治療法…⑨ SSRI
社交不安症では、SSRIを中心に、症状によって他の薬を補助的に使います。
いずれも、不安や症状をやわらげる優れた働きがありますが、よく効くからといって勝手に飲む量や回数を増やしたり、良くなってきたからといって勝手にやめたりするのは禁物です。
必ず医師の処方を守りましょう。
薬の効きすぎや副作用に、自分では気づかない場合もあります。
自覚症状がなくても、周囲の人から指摘されたことなど、気になることがあったら、自己判断せず医師に相談してください。
治療の基本になる「SSRI」
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)には、脳の中にあるセロトニンという物質が減るのを防ぐ作用があります。
脳内のセロトニンが少ないと不安などの症状が出やすいため、SSRIを使うことにより感情が安定し、過剰な不安や恐怖を感じにくくなります。
また、社交不安症に伴ううつ病にも効果があるため、社交不安症の治療では第一に選択されます。
効きすぎのサインを知っておく
SSRIが効きすぎると、イライラが強くなって些細なことで怒ったり、衝動的になったりします。
急にやめない
薬の飲むを急にやめると、頭痛はめまい、手足のしびれや痛みなどが起こる恐れがあります。
不安を一時的に弱める「抗不安薬」
不安をやわられる働きがあり、飲んでから30分ほどで効果が出てきます。
そのため、苦手な状況が限られてくるタイプでは、必要な時に限って使うと、徐々に安心感を育てていけるというメリットがあります。
ただし、SSRIより副作用が出やすいことや、効果が一時的であるために補助的に使われます。
頼りすぎない
即効性があるため、ともすると使い過ぎに陥りやすいです。
医師の処方を守り、必要最低限だけ使うようにしましょう。
体の症状をやわらげる「β遮断薬」
緊張すると手が震えたり、汗がでたりするのは、交感神経の働きが活発になるためです。
β遮断薬には、交感神経の働きを鎮める作用があるため、緊張による症状をやわらげる効果があります。
体の症状を強く意識するタイプでは、症状がなくなるだけでも不安の悪循環を断ち切り、改善することがあります。
そこで、緊張が予想される時に前もって飲んでおくことがあります。
ふらつきに注意
血圧を下げる作用があるため、ふらついたり、めまいを感じたりすることがあります。
また、喘息がある人には使えません。
主な薬
| SSRI | フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) エスシタロブラム(レクサプロ) |
| 抗不安薬 | クロナゼパム(ランドセン、リボトリール) プロマゼパム(レキソタン、セニラン) |
| β遮断薬 | プロプラノロール(インデラル、ノルモテンス、ヘルツール) ピンドロール(カルビスケン) ボピンドロール(サンドノーム) |
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次回、「生活の中で心がけたいポイント…① 認知を変える」へ続く。
