「人前に出るのが苦手…」
「人がいるところで何かをするのが苦手…」
そんな風に感じている人は意外と多いものです。
なぜ「人が怖い」と感じてしまうのでしょうか?
社交不安症は、子どもや若者だけでなく、大人でもつらい思いをしている人が大勢いる病気です。
「社交不安症ってどんな病気?」では、社交不安症の全体像から、症状、不安の軽減法などについて、詳しく解説していきます。
第8回は、「社交不安症の基礎知識…④ 受診先」の続き、「社交不安症の基礎知識…⑤ 診察」についてみていきます。
目次
いつ、どんな時に困るかを詳しく話す
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診察は、適切な治療のスタート地点です。
症状だけでなく、「どのくらいつらいか」「日常生活でどんな支障があるか」も医師に伝えましょう。
社交不安症と、いわゆる「あがり症」の境界がはっきり分けられないように、「どの程度から治療が必要か」というのも規定はありません。
また、症状の程度と、本人が感じる苦痛が比例しない場合も少なくないため、診察では、
- いつ
- どんな場面で
- どのような症状が起こるのか
- それによりどんな苦痛や支障があるか
を詳しく伝えましょう。
診断名は変わることがある
社交不安症には、他の病気を合併することが少なくありません。
また、似た症状が現れる病気もあるため、最初から社交不安症と診断されなかったり、経過をみながら診断名が変わったりすることもあります。
正確な診断のためにも、自覚症状や困っていることは、恥ずかしがらずに伝えましょう。
困りごとは具体的に伝える
社交不安症の診断は、数値や検査だけでできるものではありません。
診察では、困っていることを出来るだけ具体的に伝えましょう。
問診
診察で最も大切なプロセスです。
例えば「人前で話すのが苦手」という場合は、
「頻度はどのくらいか」
「その時にどんな症状が起こるか」
などを、具体的に話します。
問診で伝えたこと
- いつ頃から悩んでいるか
- 一番悩んでいること
- 生活上、どんな制約や不便が出ているか
- どんな対応策をとっているか
- これからどうしたいのか
(問診をスムーズに進め、緊張いないためにも、症状や経過はメモにまとめておきましょう)
検査
社交不安症と似た病気が疑われる場合は、血液検査などが行われます。
診断・治療開始
社交不安症と診断がついたら治療が始まります。
薬物療法が一般的ですが、最近は認知行動療法を取り入れる医療機関が増えています。
関連する心の病気
社交不安症には症状が似ている病気があります。
社交不安症自体は心の病気としては比較的軽度と言えますが、うつ病と合併すると深刻になる場合があります。
似ている別の病気① 統合失調症
「人に会うのが怖い」などの症状が起こります。
社交不安症として治療するうちに、実際は統合失調症のサインだったと分かることがあります。
似ている別の病気② 回避性パーソナリティ障害
人との付き合いを完全に避けようとして、引きこもったり、他人に心を見せようとしなくなったりします。
社交不安症と区別が難しい場合があります。
似ている別の病気③ 猜疑性パーソナリティ障害
自己臭恐怖や視線恐怖が強くなり、「みんな自分のことをバカにしてみている」「臭いと思われている」と思い込んで、否定しても聞く耳を持ちません。
似ている別の病気④ うつ病(不安うつ病)
うつ病のひとつですが症状のあらわれ方が一般的なうつ病と違います。
社交不安症が先にあり、うつ病の症状もあらわれてきます。
※下記の特徴のうち、①があり、②~⑥に2つ以上当てはまれば、不安うつ病の可能性が高い
●特徴
① 強く落ち込むが、良いことがあれば気分が明るくなる
② 食欲増進、体重増加
③ いくらでも眠れ、過眠
④ 手足が鉛のように重い
⑤ 他人の顔色を強くうかがい、対人関係に過敏
⑥ 夕方から夜にかけて気分が悪い
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次回、「社交不安症の基礎知識…⑥ 合併」へ続く。