「人前に出るのが苦手…」
「人がいるところで何かをするのが苦手…」
そんな風に感じている人は意外と多いものです。
なぜ「人が怖い」と感じてしまうのでしょうか?
社交不安症は、子どもや若者だけでなく、大人でもつらい思いをしている人が大勢いる病気です。
「社交不安症ってどんな病気?」では、社交不安症の全体像から、症状、不安の軽減法などについて、詳しく解説していきます。
第9回は、「社交不安症の基礎知識…⑤ 診察」の続き、「社交不安症の基礎知識…⑥ 合併」
についてみていきます。
目次
社交不安症の基礎知識…⑥ 合併
「不安を感じやすい」ため不安症を伴いやすい
社交不安症の根っこには、「怖がりで不安を感じやすい体質」があります。
そのため、社交不安症は他の不安症を伴いやすく、別の不安症に伴って起こりやすいという面があります。
中でも、広場恐怖症やパニック症との合併は少なくありません。
また、強迫症は、かつて強迫性障害という病名で、不安障害のひとつとされていました。
不安症の根っこは共通している
不安症は、症状の特徴や不安の対象から、いくつかの病気に分類されますが、根本にあるのは「不安を感じやすい体質」です。
そのため、症状が似ており、合併することもよくあります。
社交不安症
相手からどう思われるか、特に否定的に評価されることが不安なために、恥をかくことを極度におそれます。
パニック症
激しい呼吸困難や動悸、めまい、吐き気などを伴う発作を起こす不安症です。
発作のつらさが根底にある不安感をますます強め、「また発作が起こったらどうしよう」という強い不安(予期不安)にさいなまれたり、うつ病を併発したりします。
人前で発作を起こして恥ずかしい思いをしないように引きこもるなど、社交不安症を伴うことが多いのも特徴です。
不安体質
安心感が少ない、心が不安に傾きやすいなど、「不安を感じやすい体質」が、不安症の根底にあります。
拒絶過敏性
社交不安症の「他人からどう見られているか」というコアな部分も、不安症に共通しています。
拒絶されることに過敏になり、相手に激しく反論するなど過剰に反応します。
広場恐怖症
パニック症の80%の人が併発する関連の深い不安症です。
広場とは、広いスペースではなく、人が大勢いたり、パニック発作を起こしたときに逃げ場のないような場所のことです。
「もしパニック発作が起こったらどうしよう」という不安が大きくなり、そのような場所に出かけられなくなったり、ひどくなると引きこもりを招きます。
全般不安症
通常の範囲を超えて、強い不安を慢性的に感じたり、心配のあまり日常生活に支障をきたす状態です。
神経が高ぶる(過敏になる)、緊張するといった精神症状のほかに、疲れやすい、筋肉の緊張からくる震え、けいれん、肩こり、頭痛・頭重など、様々な身体症状が起こります。
強迫症
「鍵をかけたか」「手を洗ったか」といったことに病的にこだわって、日常生活に支障をきたします。
不安症に含まれませんが、うつ病を併発しやすいなど、不安症と関連が深い病気です。
特定の恐怖症
ある特定のものに強い恐怖を感じる症状です。
何を怖がるのかは人によって様々ですが、よく知られているのは「高いところ(高所恐怖症)」「閉め切った環境(閉所恐怖症)」「針など先のとがったもの(先端恐怖症)」などです。
※このほかに、分離不安症、選択的緘黙なども不安症に含まれる。また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、「心的外傷およびストレス因関連障害群」」の一つで不安症と別の分類されます。
アルコール依存症
社応不安症では、アルコール依存症を併発するひとが多いことも大きな問題です。
不安を和らげるためにアルコールを飲むようになったり、次第にアルコールなしではいられなくなるのです。
社交不安症があってアルコール依存症を併発していた率が、約9~13%という報告もあります(アメリカ調査)
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次回、「医療機関でおこなう治療法…① 治療の進め方」へ続く。